第19話 仇と飲む酒
朝、街じゅうの壁に紙が貼られていた。
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【討伐依頼】
対象:通称『黒く燃えてる方(口の悪いほう)』
特徴:黒い仮面、黒い炎、高所より出現、口が悪い
嫌疑:北の関門を襲った黒い軍勢との関わり
賞金:金貨100枚(生死を問わず)
依頼主:グレンツ領主館
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賞金首になった。
俺は貼り紙の前で、しばらく動けなかった。
「兄さん、落ちこんでる?」
「逆だ」
声が震えた。
「追われる身だぞ。正体を隠し、世間に誤解され、それでも人知れず誰かを助ける。お助けキャラの最高の型だ。『奴は敵か味方か』と噂される段階に、ついに入ったんだ」
「生死を問わずって書いてあるよ」
「そこもいい」
「いいんだ」
俺は炭のかけらを拾って、通称の横に正しい名前を書き足した。
常闇に君臨せし孤高の覇
紙の端に着いた。ここでも収まらない。
「兄さん。手配書に自分で名前を書く賞金首、いないよ」
言われてみればそうである。袖でこすって消した。覇の字だけ残った。
ペルネッタは貼り紙を1枚はがして、金額の所を指でなぞった。
「金貨100枚って、銅貨で1万枚だね」
「そうだな」
「兄さんの借金は421枚」
「……そうだな」
「銅貨3枚の兄さんが、仮面つけたら1万枚かあ」
彼女は俺の顔をじっと見た。
値踏みの目だった。人買いの時より、真剣な値踏みである。
「売るなよ」
「売らないよ。発動してない兄さんを連れてっても、3枚って言われるだけだし」
売らない理由が、それだった。
「それより、もう来てるよ。本物が」
「本物?」
「賞金稼ぎ。ラザールっていうの。黒い炎の魔族だけを10年追ってる男。腕は本物だって。昨日の晩から『錆びた錨』に泊まってる」
情報料は75枚だった。借金は496枚になった。
黒い炎だけを、10年追う男。
これは、あれだ。
「復讐者型だ」
「ふくしゅうしゃ」
「過去に何かを奪われて、仇を追い続ける男だ。最初は主人公の敵として現れる。だが誤解が解けると、いちばん頼れる味方になる。お助けキャラの近縁にあたる」
「兄さんの親戚?」
「遠い親戚だ。見に行く」
「自分を殺しに来た人を?」
「敵を知らずして様式は語れない」
「それ、誰の言葉」
「今つくった」
*
酒場『錆びた錨』は、川ぞいの古い店だった。
ペルネッタが経費として銅貨3枚をくれた。つけである。499枚になった。500の手前で止まっているのが、かえって落ち着かない。
店の奥に、その男はいた。
30歳前後だろうか。黒い外套を着ている。左の頬から首にかけて、古い火傷の痕があった。壁に立てかけた大剣は俺の背丈ほどある。杯を前に置いて、1人で黙って飲んでいた。
本物だ。
どこからどう見ても復讐者型である。火傷の痕。大剣。1人酒。壁を背にした席。全部そろっている。
俺は隣に座った。
「隣、いいですか」
「……何だ、坊主」
低い声だった。こちらを見もしない。
「黒い炎の仮面を追ってるって、聞きました」
「だったら何だ」
「俺も追ってます」
初めて、目がこちらを向いた。
暗い目だった。10年、同じものだけを見てきた目だ。
その目が、俺の腕と肩を見て、すぐに興味を失った。
「賞金稼ぎか。そのなりで」
「いえ。研究を」
「研究」
「32年ほど」
「お前、いくつだ」
「17歳です」
男は杯に目を戻した。変な子どもに構う気はない、という背中だった。
ここで帰っては下見にならない。
「あの。黒い炎の人って、どんなふうに現れるんですか」
男はしばらく黙っていた。
それから、杯を見たまま言った。
「高い所から現れる」
心臓が跳ねた。
「必ず日を背にする。逆光で顔を見せない。偉そうな口をきく。殺す前に、必ず一言ある」
「分かってますね!」
立ち上がっていた。
男がぎょっとして俺を見た。
「そうなんです。高い所と逆光は基本なんです。なぜ高い所かというと格好いいからで他に理由はありません。それで偉そうな一言ですよね。あれは短いほどいいんです。『遅かったか』とか『見ていられんな』とか。あと去り際。去り際はどうですか。何か残していきますか」
「……焼け跡を残す」
「それは残しすぎですね」
男は杯を置いた。
「坊主。お前、奴を見たことがあるのか」
「……遠くから、何度か」
「どこで」
「鍋の前とか」
「鍋」
「猫の木の下とか」
男の眉が寄った。
「俺の追ってる奴は、鍋など相手にしない」
「最近、するようになったんです」
*
それから1時間、俺たちは話しこんだ。
驚いたことに、話が合った。
ラザールさんは10年かけて、黒い炎の魔族の出方を調べ上げていた。どの高さから現れるか。日の位置はどうか。何を言うか。どう去るか。
全部、俺の32年の研究と同じ項目だった。
「月の夜は必ず東側の屋根だ。背に月を入れるためだろう」
「月の逆光は夕日より弱いんですよね」
「ああ。だから奴は、夕暮れ時を好む」
「西を背にするわけですね」
「分かってるじゃねえか」
ラザールさんは俺の杯に酒をついでくれた。薄い麦酒である。受け取れた。平時の俺は、人からもらった酒を飲める。
転生して初めての酒だった。苦かった。
「お前、変な坊主だな」
「よく言われます」
「奴のことを話す時、嬉しそうな顔をする」
しまった、と思った。
嬉しいのだ。自分のことを、こんなに詳しく調べてくれた人がいる。記者は5秒で手帳を閉じたのに、この人は10年である。
ただし、殺すために調べている。
ラザールさんは火傷の痕を指でなぞった。
「10年前、村を焼かれた」
声の調子は変わらなかった。変わらないことが、かえって重かった。
「女房と、娘を」
俺は杯を置いた。
「黒い炎の中で、奴は笑ってた。顔を見た。忘れるものか」
笑えなかった。
復讐者型だ、と俺は朝に言った。遠い親戚だ、と。
型ではなかった。目の前で、人が話している。
ただ、1つだけ引っかかった。
「顔を、見たんですか」
「ああ」
「その魔族は、仮面をしてましたか」
「……してない」
「じゃあ、仮面の人は別人なんじゃ」
「仮面など、いくらでもかぶれる」
ラザールさんは杯をあおった。
「黒い炎をまとう者を、俺は他に知らん。10年探して、やっと見つけた手がかりだ。違うなら、斬ってから確かめる」
斬ってから確かめられては困る。
困るが、言えなかった。俺がその仮面です、あなたの奥さんと娘さんを殺したのは別の人です、と。言えば正体が割れる。言わなければ、この人は俺を斬りに来る。
代わりに、別のことを聞いた。
「復讐が終わったら、何をするんですか」
ラザールさんの手が止まった。
「……考えたこともない」
「じゃあ、終わったら、またここで飲みましょう。次は俺が奢ります」
「金、あるのか」
「ないです。つけで」
短い音がした。
ラザールさんが鼻から息を吐いたのだ。笑ったのだと気づくのに、少しかかった。本人も驚いたような顔をしていた。
「坊主。お前、奴の出る場所が分かるのか」
「だいたい分かります。誰かが困ってる所に出ます」
「日当10枚。案内しろ」
10枚。
花屋の配達が4枚だった。その2倍半である。
「やります」
即答した。
*
「自分を殺しに来た人の道案内をして、日当をもらうの?」
橋の下で、ペルネッタが粥の匙を落とした。
「10枚だぞ」
「兄さんを見つけたら、兄さんは斬られるんだよ」
「見つからなければいい。俺が案内するんだから、俺のいない所へ連れていけばいいんだ」
「兄さんが出る所に、兄さんはいるでしょ」
「……」
「考えてなかったね」
考えていなかった。
*
翌日から、俺はラザールさんを連れて街を歩いた。
昼すぎに、板が出た。
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【登場可能です】
対象者:鍋
理由:2分後に吹きこぼれる見込みです
場所:グレンツ、食堂
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いつもの鍋である。
「ラザールさん。ちょっと、厠に」
「早く戻れ」
路地に駆けこんで、木箱によじ登った。2回落ちた。発動して、鍋の蓋を取って、女将さんに「今日こそ食べていきな」と言われて、断って、消えた。
落ちた先は、井戸の中だった。
下町の井戸である。引き上げてくれたのは前と同じ人だった。今度は何も聞かずに桶を下ろしてくれた。慣れられている。
引き上げてもらって戻ると、ラザールさんが食堂の前で歯ぎしりをしていた。
「くそ。今、ここに出たらしい。ひと足遅かった」
「そうですか」
「お前、どこに行ってた」
「厠に」
「濡れてるぞ」
「深い厠でして」
ラザールさんは俺を上から下まで見た。それ以上は聞かなかった。聞きたくなかったのだと思う。
2日目は、猫だった。同じ木の、同じ猫である。あの猫は学ばない。
「ラザールさん。厠に」
「またか」
「腹が弱いのか」
「体力が3でして」
「腹の話をしてる」
戻ると、ラザールさんは木の下で空を見上げていた。俺は鶏小屋の羽根を頭につけていた。
「お前がいなくなると、奴が出る」
ばれた、と思った。
「……気配を読まれてるな」
「え?」
「奴は、お前が俺のそばを離れた隙を狙ってる。お前は奴に見張られてるんだ。心当たりはあるか」
「……あると言えば、あります」
「囮に使えるな」
ばれていなかった。
記者には野次馬と言われ、賞金稼ぎには囮と言われた。この街の人は、誰も俺を疑わない。疑う値打ちもないらしい。
*
3日目の夕方だった。
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【登場可能です】
対象者:石工4名
理由:8分後に採石場で落石が起きる見込みです
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鍋ではなかった。
「ラザールさん。街の東の採石場です。たぶん、出ます」
「なぜ分かる」
「……勘です」
走った。ラザールさんは大剣を背負って、俺の3倍の速さで走った。俺は途中で置いていかれた。置いていかれたのは都合がよかった。
採石場は山を切り崩した崖の下にあった。切り出した石が大小さまざまに積んである。
高い所だらけである。
しかも、石が段になっている。階段と同じだ。関門以来、2度目の階段だった。
登った。落ちなかった。
崖の上で、岩が動くのが見えた。下では石工が4人、気づかずに鑿をふるっている。
飛んだ。
*
仮面。マント。黒い炎。夕日は真後ろである。
落ちてきた岩を左手で受けた。家ほどの大きさがあった。その下で、石工が4人、口を開けて固まっている。
逃げてください。早く。
「去れ。長くは持たぬぞ」
持つ。いくらでも持てる。口が勝手に急がせた。結果としては正しい。
石工たちが這って逃げていく。1人が足をくじいていて、遅い。
その時、背中で声がした。
「10年だ」
ラザールさんだった。
大剣を抜いている。切っ先が俺の背中の真ん中に向いていた。夕日の中で、火傷の痕が赤く見えた。
「10年、探した」
人違いです!
俺じゃありません。顔を見たんでしょう。仮面を取ったら全然違う顔ですよ。3枚の顔ですよ。
「貴様の刃が向かう先は、我ではない」
人違いです、がそうなった。
弁解のはずが、何かを知っている者の台詞になっている。
「言い逃れか」
大剣が来た。
速かった。10年ぶんの重さが乗っていた。
右手の指でつまんで止めた。左手は岩を持ったままである。足元では、足をくじいた石工がまだ這っている。
すみません。今ちょっと手が離せないんです。あとにしてもらえますか。
「後にせよ。今は手がふさがっている」
仇に待ってくれと頼まれた男の顔を、俺は初めて見た。
その時だった。
空気が、熱くなった。
黒い炎は熱くない。俺が注文したのだ。熱くもないし明るくもないし何も燃えないやつで、と。
それなのに、熱い。
採石場の入り口に誰かが立っていた。
背の高い男だ。灰色の肌をしている。仮面はない。細い顔に笑いがはりついていた。そしてその体から、黒い炎が立ちのぼっていた。
俺のと同じ色である。
ただし、足元の草が焼けていた。
本物だ。
熱くて、物が燃える、本物の黒い炎だった。
「探したぞ」
灰色の男は俺を見て言った。
「我が王と同じ匂いのする者よ」
王。
魔王のことだ、と分かった。俺の強さは魔王と同じである。注文書にそう書いた。
ラザールさんの大剣が、俺の指のあいだで震えていた。
俺を見ていなかった。
灰色の男を見ていた。
「……お前だ」
声が、割れていた。
灰色の男は初めてラザールさんに目を向けた。少し考えて、思い出したように笑った。
「おや。あの村の生き残りか。まだ生きていたとは」
*
ラザールさんが灰色の男に斬りかかった。
俺の指から剣を引き抜いて、ひと跳びで間を詰めた。速かった。
届かなかった。
黒い炎が壁になって、ラザールさんを弾き飛ばした。外套の裾に火がつく。転がって消したが、灰色の男はもう手を上げていた。
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【登場可能です】
対象者:賞金稼ぎ1名
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今、発動中である。
それでも板が出た。案件ごとに、高い所からの登場が必要だからだ。
左手に家ほどの岩を持ったまま、俺はいちばん近い石材によじ登った。岩を持っていると登りにくい。
飛び降りた。
2人のあいだに着地した。
灰色の男の炎が俺に当たった。
熱くなかった。俺の体に届く前に、火のほうが散った。
さて。
俺は左手の岩を、そっと地面に下ろした。石工は全員逃げている。
ここは採石場だ。
まわりにあるのは、切り出した石と、これから切り出す山だけである。門もない。畑もない。長屋もない。壊していけない物が、1つもない。
転生して初めてだった。
加減しなくていい。
殴った。
拳は灰色の男の横を通りすぎた。目が慣れていないので、はずした。
後ろの山が縦に割れた。
割れ目は頂上まで走って、向こう側の空が見えた。切り口は鏡のように平らだった。
「……脆い山だ」
山のせいにするな。
灰色の男の笑いが、消えていた。
2発目は当てた。当てたというより、つまんだ。襟首である。最強の敵を前にしても、体はこの持ち方しか知らない。
灰色の男は俺の指の先でもがいた。炎が俺の腕をなめたが、何も起きなかった。
倒せる。
指に少し力を入れれば終わる。
入れなかった。
後ろに、ラザールさんがいる。
大剣を杖にして、立ち上がろうとしている。10年である。この人は10年、この瞬間のために生きてきた。
それを、通りすがりの俺が終わらせていいはずがない。
魔王を倒すのは主人公の役目だ、と俺は女神様に言った。
仇を討つのは、仇を持つ者の役目である。
灰色の男を地面に押さえつけた。
ラザールさんを振り返った。
あなたの相手です。どうぞ。
「貴様の獲物だ。好きにせよ」
ラザールさんは俺を見た。
それから、押さえつけられた灰色の男を見た。
大剣が上がった。
灰色の男は最後まで笑おうとしていた。そして俺に向かって言った。
「王は、もう貴様を見ているぞ」
大剣が落ちた。
灰色の体は内側から崩れて灰になった。風に散って、何も残らなかった。
*
採石場は、静かだった。
ラザールさんは、灰の散った地面を見下ろして立っていた。
泣いてはいなかった。笑ってもいなかった。10年かけて登ってきた梯子の、いちばん上の段がなくなったような顔をしていた。
終わったら、何をするんですか。
考えたこともない、とこの人は言った。
何か言いたかった。
終わりましたね。お疲れさまでした。約束、覚えてますか。次は俺が奢るって言ったやつです。あの店で待ってます。
駄目だ。
それを言ったら、酒場の坊主が俺だと分かってしまう。言うな。飲みこめ。茶の時と同じ失敗をするな。
「……終わったな」
ここまではよかった。
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【解決を確認しました】
【退場します】
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指先が透けていく。
ラザールさんが顔を上げた。何か聞こうとしていた。お前は誰だ、と。なぜ俺に討たせた、と。
「さらばだ。次は、我が奢る」
言ってしまった。
茶の時と、まったく同じ失敗をした。
夕日の中に黒い炎がほどけていくあいだ、俺はずっと、口を縫いつけておけばよかったと思っていた。
*
落ちた先は、採石場の石切り穴の底だった。
水がたまっていた。腰まであった。
這い上がって、採点をした。
高い所。石材。階段状。10点。
逆光。夕日。10点。
到着。8分前。10点。
戦闘。山を割った。初めて加減しなかった。爽快だったので12点。
台詞。最後の1つで0点。
頭を抱えた。
ペルネッタは採石場の外でロバと待っていた。
「山、割れてたね」
「割った」
「石工の親方が喜んでたよ。1年ぶんの石が切れたって。切り口がきれいだって」
「加減しなかったんだ」
「初めて役に立ったね、兄さんの加減しないやつ」
ロバの背に揺られながら、俺は灰色の男の言葉を考えていた。
我が王と同じ匂いのする者。
王は、もう貴様を見ている。
北の関門の黒い鎧も、あの男の手の者だったのだろう。魔王が、俺を探している。
魔王と同じ強さで、と注文したのは俺だ。魔王に「貴様、いったい何者だ」と言ってもらえるかもしれないから、と笑って。
言ってもらえそうである。
あまり嬉しくなかった。
「それより兄さん。あの賞金稼ぎ、どうするの」
「どうする、とは」
「酒場で待ってるんじゃないの。約束したんでしょ。次は奢るって」
「……聞いてたのか」
「窓の外で。経費出したの、あたしだから」
行かなければならない。
約束である。お助けキャラは約束を破らない。
ただ、今日あの人の前で、仮面の俺は同じことを言ってしまった。次は我が奢る、と。
ばれる。
今度こそ、ばれる。
「奢る金は」
「ない」
「つけね。15枚」
借金は514枚になった。500を越えた。
その晩、俺は『錆びた錨』の戸の前に、長いこと立っていた。




