93 世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ 海人の小舟の 綱手かなしも
世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ 海人の小舟の 綱手かなしも
源実朝|鎌倉右大臣 (鎌倉時代の武将・公卿、鎌倉幕府第3代将軍)
若者訳
いや待って、今の世界、普通に尊すぎん?
あそこ見て!?
漁師のおっちゃんたち、小舟を綱でヨイショヨイショ引っ張ってんだけど!!
え、なにこの平和すぎる光景。
エモすぎて心が鎌倉幕府なんだが!?
もうさ、世の中ずっとこのままでよくね??
争いとかトラブルとか、マジ勘弁!
世界さん、アプデしなくていいんで! この平和な日常、永久保存でお願いしまァす!!
現代語訳
この世の中は、いつまでも変わらずにあってほしいものだ。
渚を進む漁師の小舟、その舟を引く綱の光景が、なんともしみじみと心に染み、愛おしく感じられることよ。
この歌は、『万葉集』と『古今和歌集』の古歌を踏まえて詠まれた歌。
『万葉集』の「常にもがもな」から「いつまでも変わらずにあってほしい」という願いを、『古今和歌集』の「浦漕ぐ舟の綱手かなしも」から、舟を引く海辺の情景と「かなしも」という表現を受け継いでいる。
実朝はそれらを組み合わせ、渚を行く漁師の小舟という何気ない日常の風景を眺めながら、「世の中もこのまま変わらず、平穏であってほしい」と願う歌にした。
なお、後に実朝が若くして暗殺されたことから、その運命と重ねて読まれることもある。
が、暗殺を予感して詠んだ歌と考える根拠はない。
『金槐和歌集』では「舟」という題で収められている。




