51/69
51 かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを
かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを
藤原実方(ふじわら の さねかた)(平安時代の官吏、歌人) |藤原実方朝臣
若者訳
いやマジでさ、『好き』って一言すら言えないんだけど!?
こっちはもう感情が、伊吹山のもぐさ並みにメラメラ燃えてるのに。
君はたぶん、“え? 何も知らんけど?” って顔してるよね??
こっち、心の中で大火事なんだけど!!!
ガチヤケドしそう……。
現代語訳
こんなにもあなたを恋しく思っていることさえ、私は口に出して言えないのです。
ましてや、伊吹山のさしも草が燃えるように激しい私のこの想いを、あなたがご存じなはずがありません。
この歌は、作者が、恋する相手に強い想いを抱きながらも、それを口に出して伝えられない切ない心情を詠んだもの。
伊吹山の名物である「さしも草」は、よく燃える草として知られており、作者はそれを自分の胸に燃え盛る恋心になぞらえた。
「せめてこの想いだけでも伝えたいが、それすらできない。だから相手がこの激しい恋心を知るはずもない」という、平安貴族の秘めた恋の美意識が表現されている。
この歌は『後拾遺和歌集』に収められ、後に百人一首五一番として選ばれた。




