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猫の紳士と翻訳家の異種恋愛物語  ~獣人と人間の恋愛の行方や如何に~  作者: トリ寝る
6章

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58 ロードロールだっ!3

「さっき、王様から直々に来た。悔しいが、王様には逆らえん。隠し扉を開いてもらおうと思ったのもそのためだ。だがあいつ、勝手に庇いやがって……ったく。」

「……本当に、言ったんですか。」

「あぁ、言ったとも。……もしかして俺のことが信用できないか?」


 そういってこちらに近づいてくる人に、杖を向けた。

 つまり、武器を向けた。いつでも魔法を打って殺せるように。


 通常こんなことをしたらどんな奴隷でも即死刑なのだが、私の元の立場に、ヨシノワールさんが残してくれた言葉もあるので、ここはそれを後ろ盾にして、死刑を免れるかと思ったのだ。


 予想通り、男がわたしのことを指差して「死刑!」にしようとしては、寸前のところで止めていた。私の予想していた通り、私が死んでしまうとまずいのだろう。


「しゃーねーな。おい!書類持ってこい!」

「は!」


 頭を掻きむしりながら、イライラをどうにか抑えているようであり、無意識に足もトントンと叩き続けていた。


 しばらく足トンの音しかこの部屋に響かず、たまにドアをチラチラと見ていた。


 そしてしばらくすると、部屋のドアから覗き込んで、様子を伺ってから入ってきた一人の兵士がいた。

 大きな巻物をもっていて、それがさっき言っていたやつだろうか。


「ほれ、これを読め。」

「わかりました」


 それを丸ごと私に渡してきた。巻物を読むのは慣れていたが、私の手にしては大きすぎて、少し読みにくかった。


 そこには、国交予約受理という文字と、そこにサインをしたものの名前が載っていた。


 私も初めて見たものだが、国交は事前予約制だということにまず驚いた。いつも突然来るからそれが当たり前だと思っていたのだ。


 読み進めていくと、挨拶に定型文に、国交で話し合いをしたいことが書かれていた。


1.移民の増加の検討について

2.人間の就業について

3.これからのファランの対応、それと前記内容についてのこちらの意思について。

4.テューラ・マンダの処遇について


 まさかの、私の名前が載っていたのだ。しかもでかでかと。


「私の名前……?」

「あちらの王様は、お前のことをたいそう気に入っているらしい。言伝によれば王より信頼しているってさ、きな臭いな。」


 男は舌打ちをして、腕を組んで私が読み終わるのを待っていた。


 そしてその内容をまとめると、1は、今エーテルにいる獣人の数をもっと増やすこと、2は人間をファランに大多数招待し、就業させることの許可。3はそれを契約しない場合のファラン側の対応、4は私の地位についての相談、ということになる長文がつらつらと並べられていた。


 そして、国会は8月の16日に開かれることとなった。


「終わりました。」

「返せ。」


 乱暴に受け取られると、また、ちっ、と舌打ちをした。

 かなり乱暴にやられたため、手を切られてしまった。


「俺は行く。とりあえず、把握しておけ。」


 そういって、後ろを振り向いたらすぐにドアを閉められた。乱暴に閉められたために、ドアからの衝撃破が来ていた。


 そして私は、そのまま一人になったのであった。


 これから私はどうしたらいいのだろうか。


 隠し部屋の中にすべて荷物が入っているため、どうしたらいいのかわからなかった。


 この部屋で待っているしかないのだろうか。


 とりあえずは、この部屋が匂うので窓を開けた。解放感が増し、部屋の空気が循環する。


 だがそこには物足りなさが広がっていた。やはりヨシノワールさんが筋トレしていないと穴が開いたような物足りなさを感じてしまう。


 あの人はずっと筋トレをしていて、筋肉痛になっても水分が足りなくなっても筋トレをしていた。なのでもちろん途中でぶっ倒れたりするのだが、それでも立ち直ったらすぐに筋トレだという。


 かなりめちゃくちゃな人であった。しかしそのおかげで私は自由に過ごすごとができていた。


 考え事をしたり、魔力鍛錬を暇つぶしにしたり……なるべく戻った時のためになることをしていた。勉強道具は持っていなかったため、言語習得ができなかったのが唯一の大きな心残りだ。小さい紙1枚くらいは持ってくるんだったな、と後悔した。


 それにしても、急に静かだ。


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