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猫の紳士と翻訳家の異種恋愛物語  ~獣人と人間の恋愛の行方や如何に~  作者: トリ寝る
5章

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50 決行!2 猫

 ちょうどそいつがこちらにもう1本打とうとしている時に、トンが後ろから接近してきた。


 そして軽々とそいつを蹴り飛ばすと、トンは檻を抱えてまた森の中へと消えていった。おそらく木陰の後ろに隠れているのだろう。


「な、なに……?」


 檻の中にいる彼女の声が遠くでも聞こえる。


 確実にマンダの声であり、そこで私は歓喜しそうになったが、そちらの近くに弓兵がトンに向けて1発打とうとしている姿もあった。


 さすがにあそこでは私も食い止めることができない。


 しかも矢が打たれたら彼女も死んでしまう可能性がある。それだけは嫌だ。


「俺が行く!」


 耳栓から声がする。

 そこで、勇気を出したゲーシュさんがその弓兵に突撃していった。


「うおらぁぁぁぁっ!」


 弓を引ききり、今にも打ちそうなタイミングで体当たりし、どうにか軌道をそらすことに成功した。


「トン!離れろ!!」


 私はありったけの声で叫ぶ。


 トンは声にすぐ気づき檻を持って素早く移動をしたが、ギリギリ爆発に巻き込まれて前に倒れ、檻を倒してしまった。


 私はその一連の間に弓兵の方に急ぎ、そいつの武器を奪ってから顎を蹴り飛ばして気絶させた。

 ゲーシュさんが弓兵と一緒に倒れていた。肩を使って息をしていて、足も震えている。


「やったか?」

「……たぶん。」

「おいおいたぶんかよ!しっかり殺しておいた方がいいんじゃあないのか?」

「さすがに殺したらこちらの立場も崩れるんだ。」

「こちらが死んで本末転倒ってなるよりかはマシだろうが……っておい!後ろ!」


 ゲーシュさんとつかの間の休憩を楽しんでいると、後ろを急に指差して顔を青ざめさせた。


 すぐに後ろを向くがその時にはすでに遅かったようで、後ろにさっき舌を切ったはずの男がいた。


「ああああああ!」


 雄たけびを上げながら私の腹を狙って剣を突き立ててくる。


 すぐに横に逸れてそれを何とか避けたものの、今度はその剣の鞘がもう片手に持たれているのに気づかずに、それで胸下の凹みを突かれてしまった。


 内臓が押され、強制的に息が出て、また吐き気を強く感じてしまった。


「ぐふぅっ!」


 突いた瞬間、占めた!とでも言う様にその男はにやっと笑った。


 私は後ろに倒れ、剣を突き立てられる。


 そのまっすぐな、月明かりに照らされて輝いているいる剣筋と、その不気味に大きな鎧は、私に恐怖と絶望を強く突き付けた。


 やはり鍛え上げられているだけある。

 強い。


 私はここで死ぬのだろうか。とも思わせられるほどであった。


「ほのしゅうしんふせいか!」


 舌が動かないのかなんといっているのかわからなかった。その後すぐに剣を横に持ち、首を狙い剣を振り下ろした。


 その時だった。

 剣筋が見えなくなったとたん、俺の顔に何か青くて薄く、堅いものが出てきた。


 シールドだ。


「ドン!」


 檻から手を伸ばしていたドンは馬車が壊されたときに、檻ごと地面に落下した。


 だが大破した影響で杖なども落ちてきたが、ギリギリ手が届かないところに堕ちた。そこで隙をついたトロが隣に杖を飛ばした。


 がっしりと自分の杖を掴み、その男、ではなく私に向けて杖を向けて、こう唱えた。


「〈シールド〉!」


 その声はやけに大きく聞こえた。その瞬間、私の顔と首の周りに青い板が出現した、ということだ。


「なに……」


 剣が途中で止まり、男は驚いて剣を自分のもとに引こうとした。


「〈ウェーブ〉!」


 また同じくドンの声が聞こえる。ウェーブは強い風を発生させる魔法だ。


 男はそれに殴られたように吹き飛ばされ、崖の壁に激しく背中をぶつける。がはぁつ!と大きなうめき声が聞こえて、ぐったりと男は座り込んで気絶してしまった。


 シールドもそれと同時に粉になり宙に舞っていった。


「ドン!」とトロが駆け寄って言う。


 トンも同じくこちらに駆け寄ろうとしたが、彼女の檻を傷つけないように集中をしているらしかった。


 もともとの依頼は彼女の奪還であることをそこで私は思い出した。そのことをドンは忘れていなかったようで、自分が恥ずかしくなり、同時に感謝も送った。


 やがて彼女の檻がこちらに持ってこられる。


「カイラ!」


「マンダ!」


 その瞬間二人同時に叫んだ。


 お互いの顔をやっと見ることができて、嬉しさがこみあげ、出さずにはいられないのであった。


 彼女も俺も、涙がわき出てきていた。



 だがそこで油断をした。


 突如として足に激痛が走る。


 かかとが切断されたのだ。直後に「よっしゃあ!」と喜びに満ちた声が遠くから聞こえる。どうやらさっき気絶させたはずの弓兵のようだ、と声からすぐにわかった。


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