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猫の紳士と翻訳家の異種恋愛物語  ~獣人と人間の恋愛の行方や如何に~  作者: トリ寝る
4章

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44 回収

それもとても太っている。しかも私はおそらく、その顔を見たことがあった。

 王家だろうか。


 周りからは、驚きの声が多数上がっていた。


「おぉっとここで!出ました今回の最高金額!4千モア!」


 そう司会者が元気に言っていると、そこら中から悲鳴と驚きの声が上がった。一部の観客は渋っているようであったが、さすがにこれ以上は出せないと思ったのだろう。諦めて次の奴隷を狙いに行ったようであった。


「さぁて!この体も心も財力も太っ腹なおデブを超える者はいるか?!」


 しばらく待っても、それ以上の値段を出してくるものは、一人もいなかった。


 これで獣人の圧倒的な力で制圧されるということはなくなったのであろう。と私は内心安心してしまった。

 そのかわり地味ないじめをされるだろうが、痛いのよりかはマシだ。


 そして私の値段は4000モアで結局決まった。


 そうして、私は奴隷になると覚悟を決めるしかなくなってしまった。



 ここまで、事が進むのがあまりにも早すぎる。

 普通奴隷オークションとかに出されるのは1日とか経ってからではないのか。と思ったのだがフィクションの話だから違うのか……な?


 それにしても彼は、カイラはいったい、どこで、何をしているんだ!

 と、叫びたかったが、やめた。


 きっと探してくれているのだろうと信じてはいたが、不安であった。

 逃げ出したくなる気持ちも心の底にはあった。


 しかし本当に逃げ出してしまったら、騒ぎになり、抑えつけられ強制的に連れていかれるか「執行」されるだけだ。


 早く彼よ来てくれないか。と切に願うばかりであった。



 私を飼ったその人は、顔全体を大きな仮面で隠していた。

 あまり話さない人物であり、パーティー中でも端にいるし、なにかを聴かれいても、ただ頷くだけであったのがみえた。


 金魚鉢に入れられたままステージから回収され、乱雑に登る用の梯子を投げられると頭に当たって血が出てしまった。


「いったぁ」

「やっば」


 するとその梯子を投げた黒い影の獣人が青ざめながら、裏に引っ張られていくのが見えた。


 そこでそいつは「殺される!殺されるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」と、全力で叫んで抵抗していた。


 その声の迫力に脅されながらも、後ろにいた檻の時の監視員に「早く出ろ」と冷酷に言われた。殺されたくない!と思い慌てて出ると、金魚鉢から飛び降りで裸足で固い地面に着地したが、体勢が崩れて尻餅をついてしまった。


 監視員がポケットから杖を取り出し、さっきは唱えていなかった謎の言語で魔法を唱えた。

 私はその言葉に耳を澄ました。


「……」


 それは、ところどころエーテルの言語も混ざっているようだが、舌打ちやリップ音などが入っている奇妙で変な言語であった。だが、もしかしたら解読できそうでもあるところが複数個所あった。


 独自の魔法詠唱であろうか。後で調べてみるとするか。


 ……と言っても後がいつになることやら。

 その頭は魔法で治癒され、傷は一瞬で直り、血も乾いた。


 その後に「人間は脆いな……」とだけ吐き捨てられた。

 そんなこと言われても全身に毛がないのだから仕方ないじゃないか。と心の中で反抗したが一切外には出さないでおく。


 そもそもゴブリンも毛がなかったな。はは!


 そのあと、私は買い取った人間の奴隷となった。だが肝心なその人は代行人らしく、本当の主に会うのは家に着いたからだそうだ。


 心の底からドキドキして体がその心音に合わせて揺れていそうだ。


 初めましての挨拶をしたがもちろん無視され、あとは「ついてこい」と言われるだけだった。


 その人は体も大きく、豊満な体をしていた。

 冷たい表情をしており、奴隷の事も何も思っていないような素振りであった。


 なんだか無言で残飯処理でも掃除でも色々させられそうだ。と勝手に思っては、身震いがした。


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