11 会議、という名の報告会
エピソードが抜けておりました
大変申し訳ございませんでした(2026/7/2追記)
それから人通りの多い商店街を歩くこと1時間。
昨日の反動で続いていた筋肉痛に耐えながら、町の中央通りを一直線に伸びている緩やかな坂道を登って行った。
やっとの思いでお城の前に私達はつき、門の前で堂々と立っていた立派な筋肉を下犬の兵士らしき人に話しかけた。
「あ、あのー、こんにちは。」
「は。何用でしょうか?」
兵士さんは敬礼をして私の方向を向いて礼をした。後ろの彼にも気づき、また礼をした。
私はあの依頼書をバックの中から出した。
ずっとバッグの奥底に入っていてぐちゃぐちゃになってしまったが、読む分には問題はない程度であった。朝慌ててバックの中に突っ込んだせいであろう。
「王様からご依頼がありまして、その依頼の詳細を聞きに来たのですが……あっこれが依頼書です。」
その依頼書を受け取ると、見にくそうに顔をしかめながら中を確認した。
「拝見いたします。……はい、確かに受け取りました。ではこちらへ。レゴ!門番は任せたぞ」
「は!」
もう一方の端にいた、同じく筋肉質な猿の兵士にそう言うと、猿の兵士レゴは敬礼をして返した。そして犬の兵士さんが手招きをして誘導してくれた。
どうやら彼とは知り合いなようで、城の中に入る途中に楽しそうに話していた。
ファランの独特な発音から聞こえてくる内容は、殆ど麺の話だ。歯が細いので間から漏れるとか、香ばしくておいしいとか。きっと二人ともラーメンが好きなのだろう。
彼も昼飯などで手作りのラーメンを出すと特に嬉しそうにして、がっついてはそのまま一日中気分がいい日が多かったなあ、と思い出す。
仕事が終わって帰ったら、家の近くにあるレストランに寄るか。と心に決めた。
あそこは他の店より本格的なのでちょっと高いが、さすがに旅の後ならいいだろう。
だが寄る時間があるだろうか。予想はないに傾き、半分諦めた。
広い庭を歩いていき、メイドたちに挨拶をしながら城内に入ると、そこには銀世界のような白く美しい空間が広がっていた。
壁がすべて大理石でできていて、柱の装飾がきめ細かく丁寧に刻まれている。目の前に大きく曲がった階段があり、その上には大きな絵が描かれていた。
絵の右にある大きな扉が王様の部屋だという。
私は勝手に、もっと奥の方に厳重な廊下を向かった先かと思っていたので、近いな。と意外に思った。
そのドアの前に向かうと、兵士は4回ノックをした。
するとドアの奥から王様の「入れ〜」というだるそうな低い声が聞こえて、その後にドアの向こう側の遠くからノックが返された。
私自身、実はファランの王様に会うのはこれで数回目だが、それでもこの緊張感には慣れず、心臓の鼓動はなかなか止まることはなかった。
兵士はその大きく重そうなドアを軽々と開けた。
その先には、目が眩むような白い空間に、赤や金、黄色を基調とした豪勢な飾りや家具、絨毯、造花があった。
なにかパーティーでもするのかと思うほど豪華な装飾は、その王様の財力を表していた。
一方王様は窓の外を眺めていて、首元から大きな赤くふわふわなマントを背負っていた。
マントの上からもやせ細っていると分かるほどに肩幅が細く、すらっとした体系をしている灰色の猫獣人であった。
目つきは鋭く、青く輝いている目つきを想像してしまった。
だがその顔は振り返ると、予想とは違って朗らかであった。
その豪華な服装からやっと王様であるとわかったほど、その顔つきに威厳などはまったくなかった。
私達の方にゆっくり向かってくると、マントを後ろにひるがえし、大きく地震のあるお辞儀をしてくださった。そこで見えた体はとても細く、余分な脂肪が全く見受けられなかった。なんとすらっとした美しい体なのだろう。
「よくぞ来てくださりました。カイラに、人間の交流者様」
「久しくお目にかかります。私は外交大臣のテューラ・マンダと申します。」
「久しいです。王様。名前変わりまして、テューラ・カイラでございます」
二人でいっしょに深々とお辞儀をすると、王様は目を細め少しだけ私を観察する。その視線にびくりとしたが、これは毎回のことなので多少慣れた。
私の全体を見終わると、笑顔で出迎えてくれた。
とてもいい笑顔で、緊張がほぐれてしまいそうであった。
「よいよい。そんなに緊張をなさらなくても。あなたの印象はカイラからの手紙でよく読まさせていただいております。……いい奥さんですね」
「え、いいやそんなことないですよ!いつも彼にお世話されてばかりでございまして、あはは」
私は急に褒められて照れ笑いが出てしまった。
「王様、その辺にお願いいたします。」
「ごめんね、つい……とりあえず、今日はよろしくお願いします。」
王様は手を出し、握手をお望みになられたので、私はその手を軽く握った。
するととてもうれしそうに大きく手を振られた。
想像以上に力が強く、思わず体も引っ張られて上下してしまったほどだ。
なんという力なのだろうか。
彼もおんなじようにされ、見た目の想像以上の力にびっくりしていたようだった。
やはり以前よりももっと力が上がっているような。
と一瞬思ったが気のせいであろう。
「じゃ、あとは奥で話しましょう。」
「は。」「わかりました。」
カイラは敬礼をし、私は人形のように、硬くもしっかりとした完璧なお辞儀をした。




