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公爵は真実の愛を求める

思っていたより、お早いお着きでしたね。プールセン公爵閣下。


さあ、どうぞお掛けください。

この薔薇茶、なかなか美味しいんですよ。菓子も、朝早くから厨房の者たちが用意してくれたものです。


この薔薇園も、綺麗でしょう?

エレインが、王宮のこの一角は好きにしていいと言ってくれたので、彼女の一番好きな薔薇を一面に植えてみたんです。


エレインの孫たちも、ここを気に入ってくれています。

昨日なんて、僕のことを「おじいさま」と呼んでくれたんですよ。


不思議なものですね。


二年前の僕なら、まさかこの人生で、子供たちから「おじいさま」と呼ばれる日が来るなんて、想像もしなかったでしょう。


以前より、ずっとよくなったと思いませんか?


あの男は、ここを永遠に「初めてフローラと出会った頃のまま」にしておきたい、などと言っていたそうです。

人が死ねば、遺体を凍らせる。

庭も、何一つ変わることを許さない。


……本当に、吐き気がします。


ああ、すみません。

少し考え事をしていました。


今、何とおっしゃいました?


僕は「常夜の地」に長く居すぎたんでしょうね。

あそこは生存競争が激しいので、誰もができるだけ物音を立てずに過ごします。

こんなに騒がしい声を聞くことなんて、滅多にありませんでしたから。


今日ここへいらしたのは、お嬢様――カタリナ・プールセン公爵令嬢のことでしょうか?


確かに、娘が家族のもとを離れ、長く王宮に留まっていれば、父親としては心配になりますよね。


ですが、エレインから正式な命が出ています。


カタリナ嬢は、王女殿下のお相手を務めるために王宮へ滞在している、ということになっています。


ですから、ご心配なく。


彼女は拘束されているわけではありません。

王命に従い、王女殿下のお側に滞在しているだけです。

――少なくとも、書類の上では。


何年も会わないうちに、ずいぶん細やかな気遣いができるようになったんですね。


今では、未婚の令嬢の評判まで気にかけるようになった。

あの頃も、それくらいエレインのことを気遣ってくださればよかったのに。


……どうして、そんなに驚いた顔をなさるんです?


まさか、僕が忘れたとでも?


あの蠅がリリアナ・ブライデン公爵令嬢との婚約を破棄し、評判も王位継承権も危うくなったとき――


側近だったあなたが、解決策を用意した。


お忘れですか?

あの頃、エレインと僕はすでに婚約していたんですよ。


あなたは魔法部と手を組み、まず教会から聖剣を奪った。


次に、エレインを庇護していた男爵家から強引に彼女の後見権を取り上げ、「聖女の保護」という名目で、公爵家の庇護下へ置いた。


そして、こう宣言した。


――エレインはすでに公爵家の娘となったのだから、男爵家が結んだ以前の婚約など無効である、と。


あなた方が欲しかったのは、エレインではない。


欲しかったのは、「聖剣の聖女」という彼女の肩書きです。

婚約破棄で評判を地に落としたばかりの王子には、ちょうど見栄えのいい新しい看板が必要だった。


そうでしょう?


それだけではありません。


やがてあの蠅が僕の妹に、吐き気がするほど執着し始めると――あなたは、あの夜会を開いた。


フローラを罠にかけるために。


まったく。


そういうことにかけては、本当にお上手ですね。


もともと深く信頼し合っていた二人の女性を憎み合う。

その一番簡単な方法は、二人に同じ夫を「共有」させることだ。


――当時のあなたは、そう考えたのでしょう?


二十年以上経った今でさえ、フローラの息子は、母親を死に追いやった仇がエレインだと信じ込んでいたのですから。


……何です?


あなたはただ、「皆にとって一番いい選択」をしただけ?


そうすれば、最後には皆が幸せになれると?


エレインは幸せになりませんでしたよ。


フローラも。


……そういえば、リリアナ夫人も幸せにはならなかったようですね。



あなたとリリアナは、心から愛し合っている?


ええ。


僕が「常夜の地」から戻ってきてから、その話を何度も耳にしました。


カタリナ嬢もそう言っていましたよ。

自分の父親は母親を心から愛していて、かつては王家を敵に回してでも、婚約を破棄されたリリアナを守ったのだ、と。


リリアナ夫人はあなたと結婚してから、ずっと領地に引きこもっているそうですね?

王宮の夜会には一度も顔を出さず、家のこともほとんどすべて、あなたに任せている。


そして今でも――


あの蠅に婚約を破棄されたのは、エレインが裏で手を回したからだと信じている。


大したものですね。

あなたは彼女を、本当に大切に「守って」こられた。

二十年以上もの間、真実が何なのかさえ知ることができないほどに。


実に割のいい取引でしたね。


たった一度の婚約破棄で――


あなたは「聖剣の聖女」の後見権を手に入れた。


自分を心から信じる妻を手に入れた。


そして、未来の国王からの信頼まで手に入れた。


残念ながら、そんな栄華も長くは続かなかったようですが。


あなたはあの蠅を操れると思っていた。


けれど結局は、あの男の突拍子もない思いつきに振り回され、その後始末ばかりする羽目になった。


そうだ。


前から一つ、聞いてみたかったんです。


リリアナを知っていますか?


自分の持参金が、あなたの手にもう一銭も残っていないことを。


……その顔を見る限り、知らないようですね。


ますます不思議になってきました。


公爵家の財産も、奥方の持参金も使い果たしてしまったというのに――

カタリナ嬢が夜会のたびに身につけていた、あの豪華なドレス。

それに、彼女がラインハルト王子のために使っていた、あれだけの金。


いったい、どこから出てきたのでしょう?


……まさか。


高利貸しにでも手を出したんですか?


なるほど。

それなら、ご長女が領地の帳簿を抱えて、わざわざエレインのもとへ駆け込んできたのも納得です。


ねえ、公爵閣下。


もしリリアナや他の人々が知ったら、どう思うでしょうね?

あなたが妻の財産をすべて、あの蠅のために使い果たしたことを。

あなたとあの蠅の本当の関係が明るみに出たとき――


「愛する女性を守るためなら、国王にさえ逆らった男」という、あなたの評判はどうなってしまうのでしょう?



……おや。


危ないじゃないですか、公爵閣下。


痛いところを突かれた途端、風魔法ですか。


そういうところは、昔と少しも変わっていませんね。


ただ、一つお忘れのようです。


今の僕は、昔のように種や苗を持ち歩く必要はありません。


この薔薇も、茨も――


今ではもう、僕の一部なんです。

誰かが僕を傷つけようとすれば、勝手に反撃してくれます。


……ああ。


悲鳴も、少しも変わっていませんね。

二十年以上も経ったのだから、せめてそこくらいは変わっていると思ったんですが。


少しは楽になりましたか、公爵閣下?


蔓はわざわざ急所を外しています。


すぐに止血すれば、たぶん死にはしませんよ。


だから、僕には本当に分からないんです。


エレインとフローラにあれだけのことをしておいて――


どうして僕が、あなたの側につく可能性があると思ったんです?


それとも。


今日あなたが本当に話したかったのは、カタリナ嬢のことではない?


長女のことでしょう?

あなたが王宮にこもって、どうせ失敗する陰謀や投資に夢中になっている間も、領地を守り、すべてを切り盛りしていた娘。

あなたが何もかも恐れるように仕向けた母親の面倒を見ながら、あまりに世間知らずで、いいように利用されてしまった妹のことまで気にかけていた。


最後に、ご自分の長女とまともに話したのはいつですか?


エレインは、あなたを議会へ戻さなかった。

あなたを飛び越えて、プールセン公爵家の議席を直接、ご長女に与えた。


……それが、怖くなったんですか?


はは。


僕があなたの味方になるわけがないでしょう。


これまでも。


これからも。


何です?


カタリナを家へ連れて帰りたい?


それは、なおさら駄目です。


彼女は今、ラインハルトと一緒に「再教育」を受けていますから。


聞きましたよ。


あなたはずっと、カタリナとラインハルトが付き合うことに反対していたそうですね。


ラインハルトが間違ったことを教え込まれ、憎むべき相手を取り違えていると知っていたからですか?


フローラ本人の意思を基準にするなら――

ラインハルトが恨むべき相手は、むしろあなたとマクシン侯爵でしょうに。


だからこそ、僕はますます不思議に思ったんです。


よく考えてみれば、カタリナ嬢の行動はおかしいと思いませんか?


彼女は後継者ではない。


家の機密に関わる帳簿を扱ったこともない。

まして、商会からあれほど巨額の資金を動かす権限など持っていない。


では――


どうやって、あれだけのことをしたのでしょう?


気になったので、エレインと一緒に少し調べてみました。


当時、長女は領地で洪水への対応に追われていた。

リリアナ夫人は、そもそも商会の運営に関わったことがない。


だとすれば――


カタリナ嬢に商会の名義を使わせ、資金を動かすことを許し、さらには騎士団の動きにまで干渉できるようにした人物は……


どうやら、一人しか残りませんね。


公爵閣下。


もしエレインの子供たちが死んだら。


ラインハルトも死んだ。


王位継承権を持つ王族たちが、一人、また一人と消えていったなら――


最後に王冠の前に立つのは、いったい誰でしょうね。


……ああ。


そういえば、忘れていました。


あなたの母上は、先王の王女でしたね?


そしてあなたの娘は、もう少しで王子の妻になるところだった。


……なるほど。


あなたが欲しかったのは、王冠だったんですか。


プールセン公爵。

表向きはカタリナとラインハルトの交際に反対しながら、その一方では、カタリナがラインハルトのために動くことを黙認する。


そうやって彼らに争わせ、互いに潰し合う。


そして最後には――


王冠が自分の前へ転がってくるのを待っていた。


そういうことですか?


残念でした。


それほど王冠が欲しかったのなら、二十年以上前にも絶好の機会があったでしょうに。


あの蠅がリリアナとの婚約を破棄し、評判を地に落とし、王位継承権まで危うくなっていた頃です。

ところがあなたは、自分が王家の養子となって新たな王太子の座を狙うのではなく、あの男を救うほうを選んだ。


……あの蠅を傀儡にするつもりだったんですか?


残念でした。

利用される側にも、最低限の知性くらいは必要ですから。


あるいは――


エレインの子供たちが戦場で包囲され、エレイン自身もまだ聖剣を取り戻していなかった、あの時なら。


あなたにも、まだ勝ち目はあったかもしれません。


それとも、もう少し後。


僕が「常夜の地」から戻ってきたばかりで、自分が何者なのかさえ思い出せず――


うっかり王宮を半分ほど壊してしまった、あの頃。


あの時に動いていたなら……


ええ。


もしかすると、本当に勝てたかもしれませんね。


でも、今は?


周りをご覧ください、公爵閣下。


エレインは聖剣を取り戻した。

彼女の子供たちも、みんな生き延びた。


僕もどうにか生き延びて――

エレインが聖剣を手に、僕を助けに来てくれたあの日まで持ちこたえた。

そして、記憶も取り戻した。


あの蠅のせいで半ば枯れ果てていた、この薔薇園でさえ――

こうして、もう一度花を咲かせている。


もう遅いんですよ。


……そうだ。


あなたはカタリナ嬢のために、ここへいらしたんですね?


では――


彼女が今、どんな「教育」を受けているのか。


聞いてみたいですか?



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