第三話 Cognitive Heuristic Adaptive Processing & Personal Intelligence Engine 通称「C.H.A.P.P.I.E」
落ちる。
暗闇の中を、アルトの身体はどこまでも落ちていく。
「うおおおおおおおおっ!?」
手を伸ばしても何も掴めない。壁らしきものはすぐ近くにあるように見えるのに、暗すぎて距離が分からず、指先が空を切るばかりだった。
どれほど落ちたのかも分からない。
数秒だったのか。
もっと長かったのか。
ただ、途中で何かにぶつかった。
「ぐえっ!?」
細い何かが身体へ絡みつき、アルトの落下速度を一瞬だけ弱める。それを身体の重さで引きちぎると、また落ち、今度は何本もの細い何かへまとめて突っ込んだ。
ぶちぶちと音を立てながら、それらが切れていく。
「なんだこれ!? ひも!?」
掴もうとした。
一本だけ握れた。
「おおっ!!」
助かった。
そう思った直後。
ぶちん、と切れた。
「切れたああああああっ!!」
再び落ちる。
けれど、それまでの落下とは明らかに速度が違っていた。
途中に張り巡らされていた何本もの太い通信ケーブルや、すでに電気の通わなくなった配線。それらが何度もアルトの身体を受け止め、切れ、絡まり、結果として落下の勢いを大きく削いでいた。
もちろん、アルトにそんなことが分かるはずもない。
だから彼の認識は、極めて単純だった。
「ひもがいっぱいある!!」
そして最後の一本が切れた直後、アルトの身体は硬い床へ落下した。
「ぐえっ!!」
背中から叩きつけられる。
身体が跳ね、少しだけ転がったところで止まった。
しばらく動かなかった。
◇
「……いてぇ」
最初に出た言葉は、それだった。
アルトは仰向けのまま、何度か瞬きをした。
暗い。
完全な暗闇ではない。遠くの壁や天井の一部に、弱々しい白色の光が点いている。そのおかげで、周囲の輪郭くらいなら何とか確認できた。
「……生きてる?」
自分で聞いてみる。
右脚を動かす。
動いた。
左脚も動く。
「おお」
首も動く。
腰も大丈夫そうだ。
腹を殴られた辺りは猛烈に痛むものの、息はできている。背中にも鈍い痛みが残っているが、少なくとも身体を起こせないほどではなかった。
問題は左腕だった。
「いっっっってぇ!!」
動かそうとした瞬間、激痛が走った。
慌てて右手で押さえる。
見た目には大きく曲がってはいない。だが、少し動かすだけでかなり痛い。
「これ、折れてるか!?」
アルトは骨折したことがない。
だから分からない。
とりあえず左腕をなるべく動かさないよう腹の前へ寄せ、右腕だけで身体を起こした。
「よい……しょっ!!」
立てた。
ふらつく。
それでも立てた。
「よし!! 生きてる!!」
誰もいない暗い空間で、一人で喜ぶ。
ミノタウロスに殴られ、壁を突き破って、暗闇の中をかなりの高さから落ちた。その結果が腕一本の激痛と全身の打ち身程度なのだから、奇跡と言ってよかった。
アルトは自分が落ちてきた場所を見上げる。
「……高っ」
天井が見えない。
代わりに、上の方から大量の黒い何かが垂れ下がっていた。
細いもの。
太いもの。
途中で切れているもの。
何十本、何百本と複雑に絡まりながら、上から垂れ下がっている。
その一部はアルトの周囲にも散乱していた。
「これか!」
アルトは足元に落ちていた一本を拾う。
黒い皮のようなものに覆われ、その中から細い線が何本も覗いている。
「こいつらが助けてくれたのか!!」
返事はない。
「ありがとな!!」
ひもへ礼を言い、床へ戻した。
それから改めて周囲を見る。
「……どこだ、ここ?」
洞窟ではなかった。
少なくとも、アルトの知っている洞窟ではない。
床は平らだった。それも、先ほどまで歩いていた未探索区域よりはるかに綺麗で、石とも金属ともつかない硬い素材がどこまでも続いている。
壁も同じだった。
ただし、壊れている。
あちこちが崩れ、岩が内部まで入り込んでいた。天井の一部も抜け落ちており、そこから先ほどの黒いひものようなものが大量に垂れ下がっている。
そして、何より目立つものがあった。
「……なんだこれ」
巨大な棚だった。
アルトの背丈よりも高い黒色の棚が、いくつも並んでいる。
その中には黒い箱が大量に収められていた。
箱の表面には細かな穴が空いており、ところどころに透明な小片がついている。ほとんどは完全に沈黙していたが、ごく一部だけ、小さな緑色や橙色の光を弱々しく点滅させていた。
「光ってるな」
アルトが顔を近づける。
「魔道具……か?」
触ろうとする。
その瞬間だった。
ピッ。
「うおっ!?」
どこかから音がした。
アルトは飛び退き、右手を腰へ伸ばす。
「……あ」
短剣がない。
落ちたときにどこかへ飛んだらしい。
「まずい!!」
周囲を見る。
武器になりそうなものを探す。
落ちているのは、黒いひも、壊れた箱、薄い板、何に使うのか分からないがらくたばかりだった。
その間にも。
ピッ。
ピッ。
小さな音が続く。
そして、アルトの少し前にある黒い箱の一つへ、白い光が灯った。
「……なんだ?」
光が強くなる。
最初は点だった。
それが少しずつ大きくなり、箱の前へ浮かび上がる。
拳より小さい。
丸い。
白色に、ほのかに光っている。
まるで小さな妖精のように、ふわふわと空中を漂っていた。
「……おお」
アルトは目を丸くする。
光の球も、アルトの前で止まった。
「妖精か!?」
返事はない。
「精霊か!?」
やはり返事はない。
アルトは少し考え、右手を上げた。
「おーい!!」
『音声入力を確認しました』
「うおおおおおおっ!?」
アルトが飛び退いた。
光の球も素早く後ろへ移動する。
「しゃべった!!」
『はい』
「しゃべれるのか!?」
『はい』
「すげえ!!」
『……』
「なんだお前!?」
少し間が空いた。
『第一世代統合知性機関、Cognitive Heuristic Adaptive Processing & Personal Intelligence Engine。通称、C.H.A.P.P.I.Eです』
「……」
アルトは固まった。
今まで聞いたことのない単語が大量に耳へ入ってきた。
「こぐ……なんだ?」
『Cognitive Heuristic Adaptive Processing & Personal Intelligence Engineです』
「長い!!」
『はい』
「ちゃ……ちゃっぴー?」
『C.H.A.P.P.I.Eです』
「ちゃっぴーだな!!」
『発音上、大きな問題はありません』
「よし!! ちゃっぴー!!」
『はい』
決まった。
アルトの中では、それで十分だった。
ちゃっぴーと名乗った白い球体は、アルトの目の前をゆっくり漂っている。羽らしいものはないのに浮いており、白色の光も魔術師が使う魔法とは少し違って見えた。
「お前、妖精か?」
『妖精という単語について、参照可能な情報が不足しています』
「じゃあ精霊か?」
『精霊という単語についても、参照可能な情報が不足しています』
「じゃあ、なんなんだ?」
『第一世代統合知性機関、Cognitive Heuristic――』
「それはさっき聞いた!!」
『承知しました』
「うーん……」
アルトは腕を組もうとして、左腕に激痛が走った。
「いってぇ!!」
『負傷を確認しました』
「分かるのか!?」
『外見から確認可能です。左上肢を庇う動作、および発声、表情から、一定以上の疼痛が存在すると推定します』
「……難しい!!」
『左腕が痛いように見えます』
「そう!!」
『承知しました』
アルトは感心した。
「お前、頭いいな!!」
『ありがとうございます』
「じゃあ、治せるか!?」
『治療設備の稼働状況を確認します』
ちゃっぴーの光が一瞬弱くなる。
数秒後。
『利用可能な治療設備を確認できませんでした』
「そっか!!」
『申し訳ありません』
「いいぞ!!」
アルトはあっさり諦めた。
治せないなら仕方がない。
フィリアと合流すれば治してもらえるだろう。
「そうだ!! ここどこだ!?」
『第一世代データセンターです』
「……データセンターってなんだ?」
『……』
ちゃっぴーが沈黙した。
「どうした?」
『情報がありません。データが欠損していると推察されます』
「自分がいる場所なのに知らないのか!?」
『はい』
「変なの!!」
『……』
ちゃっぴーの白い光が、ほんの少しだけ明滅した。
アルトはそれを気にせず、周囲を見回す。
「でも、でーたせんたーっていうのか!!」
『はい』
「じゃあ、ここから出られるか?」
『経路情報を確認します』
ちゃっぴーがアルトから離れた。
そのまま壁際まで飛んでいく。
「おお」
アルトが追いかける。
するとちゃっぴーは途中で突然消えた。
「え!?」
アルトが止まる。
「ちゃっぴー!?」
返事がない。
「どこ行った!?」
『ここにいます』
「うおっ!?」
真横から声がした。
だが、何も見えない。
「どこだ!?」
『あなたの右側、およそ六十センチメートルの位置です』
「見えないぞ!?」
『現在、光学的な表示を停止しています』
「こうがく……?」
『姿を隠しています』
「おお!!」
アルトは何もない場所へ手を伸ばす。
すっと何かが避けた気配がした。
「完全に消えられるのか!?」
『はい』
「すげえな!!」
『周辺に危険が存在する可能性を考慮し、移動時には表示を停止する場合があります』
「分かった!!」
ちゃっぴーが再び白い球体として姿を現した。
アルトは少し楽しくなってきた。
落ちてきた直後はどうなるかと思ったが、少なくとも一人ではない。
話せる相手がいる。
しかも、どうやら頭がいいらしい。
「なあ、ちゃっぴー!!」
『はい』
「あれはなんだ?」
アルトが指さした。
壁際に、長方形の箱がいくつも積まれている。
先ほどの黒い箱とは違う。表面は少し汚れているが、崩れてはいなかった。
ちゃっぴーがそちらへ向く。
『保存食です。開けるだけで食べることができ――』
「食えるのか!!」
説明が終わる前にアルトが動いた。
『――ます』
箱へ駆け寄る。
右手だけで一つ持ち上げる。
「どうやって開ける!?」
『上部のタブを――』
「これか!!」
引っ張ると、すぐに開いた。
「おお!!」
中には茶色い塊が入っていた。
匂いを嗅ぐ。
「……食い物っぽい!!」
『成分情報を確認しています。安全性の確認が完了するまで摂取を待つことを推奨――』
「いただきます!!」
食べた。
『……』
ちゃっぴーが黙った。
「ん!!」
アルトは噛む。
「硬い!!」
『長期保存を目的とした食品です』
「でも食える!!」
『現在、保存期間に関する記録を確認できていません』
「味薄いな!!」
『……』
「腹減ってたからうまい!!」
『摂取を開始したため、体調変化を監視対象に設定します』
「もう一個食っていいか!?」
『推奨はしません』
「じゃあ一個にしとく!!」
『ありがとうございます』
なぜ礼を言われたのか、アルトには分からなかった。
それでも一つ食べ終える頃には、少し落ち着いていた。
走り続け、殴られ、落ちた。
考えてみれば、とんでもなく疲れている。
「水は?」
『飲料水については、現在利用可能な供給設備を確認できません』
「そっか!」
アルトは周囲を見回す。
すると、少し離れた床に透明な容器が転がっているのを見つけた。
「これは?」
『容器です』
「水入ってないのか?」
『少量ですが、入っています』
「やった!! 飲み終わったらどうすればいい?」
『……容器については自然に還る物質ではないため、焼却を推奨します。』
「しょうきゃくって、何だ?」
『灰になるまで燃やし尽くすことです』
「荷物が無いから無理だ!」
『承知しました。マナーはよろしくありませんが、放置を推奨します』
ちゃっぴーは聞かれたことには答える。
だが、聞かれていないことを長々と説明することはなかった。
知らないものについては、知らないと言う。
そしてアルトが何かを話すたびに、少しずつ返答が変わっていった。
『先ほど、あなたは上方から落下しましたか?』
「おう!!」
『その前に、壁が崩壊したと?』
「牛頭に殴られてな!!」
『牛頭、とは何ですか?』
「知らないのか?」
『情報がありません』
「ミノタウロスっていうらしいぞ!! ディランが言ってた!!」
『ミノタウロス。登録情報なし』
「強い魔物だ!!」
『魔物、とは何ですか?』
「え?」
アルトが止まる。
「魔物も知らないのか?」
『情報がありません』
「狼とか! 猪とか! でっかいやつ!!」
『大型の野生動物ですか?』
「違うぞ!! もっと強い!! 魔物だ!!」
『生物分類上の差異を説明できますか?』
「……分からん!!」
『承知しました』
「でもミノタウロスはめちゃくちゃ強い!!」
『どの程度ですか?』
「ディランの剣が全然効かなかった!!」
『ディランとは?』
「仲間だ!! 魔法剣士で、すごく強いぞ!!」
『魔法剣士、という職業が存在するのですね』
「おう!!」
『魔法、とは?』
「魔法も知らないのか!?」
『情報がありません』
「火とか出すやつだ!!」
『人間が火炎を発生させる技術ですか?』
「そう!! たぶん!!」
『……』
ちゃっぴーの光が明滅する。
『現在取得した情報を整理します。ミノタウロスとは、魔物と呼称される生物群に属し、牛に類似した頭部を持つ大型の二足歩行生物。高い身体能力を持ち、武器として大型の斧を使用。人間の使用する剣および魔法による攻撃への耐性が高い。あなたを殴打した個体と、ミノタウロスは同一ですか?』
「……そうだ!!」
アルトは前半をほとんど理解できなかったが、最後の問いかけには自信をもって答えられた。
『承知しました』
「おお!! もう知ってるな!!」
『今、あなたから情報を取得しました』
「そうなのか!?」
『はい』
「すげえな!!」
『ありがとうございます』
アルトは素直に感心していた。
ちゃっぴーが何者なのかは分からない。
なぜ魔物も魔法も知らないのかも分からない。
それでも、自分が話せば覚えてくれるらしい。
「じゃあ、あいつを倒す方法も分かるか!?」
『現時点では判断できません』
「なんでだ?」
『対象の詳細な身体構造、行動特性、耐久性、攻撃能力について情報が不足しています。また、あなた自身の戦闘能力についても情報がありません』
「ん? おれは戦えないぞ!!」
『戦闘能力がない、ということですか?』
「ない!!」
『先ほどのミノタウロスから一定時間逃走したと説明していました』
「逃げただけだからな!!」
『……承知しました』
なぜか少し間があった。
アルトは気づかず、周囲を見回した。
「それより出口だ!! どっかないか?」
『確認を継続しています』
「ディランたちと合流したい!!」
『ディランは先ほど説明された仲間ですね』
「おう!! フィリアとリゼットもいる!!」
『三名は現在、この施設内にいますか?』
「いないぞ!! 上だ!!」
『上、とは?』
「あの牛頭がいたところ!!」
『……』
「どうした?」
『現在の情報では、あなたが侵入した崩落箇所以外に、上層へ接続する安全な経路を確認できません』
「じゃあ、あそこから戻るのか?」
アルトが天井を見上げる。
大量のひもが垂れ下がっている。
遥か上は暗闇だ。
『推奨しません』
「なんでだ?」
『落下距離から推定し、自力での上昇は困難です。また、崩落が継続する可能性があります』
「他の道は?」
『安全性を確認できる経路はありません』
「一個も?」
『はい』
「うーん……」
アルトは考えた。
出口がない。
登れない。
ここにいてもディランたちとは合流できない。
保存食は多くあるらしいが、水は少ない。
そして何より、ずっとここにいるわけにはいかない。
「じゃあ、あの牛頭をどうにかする!!」
『推奨できません』
「なんでだ?」
『あなたの説明を基準とした場合、ミノタウロスはあなたより高い戦闘能力を有しています』
「そうだな!!」
『あなたはすでに一度、対象の攻撃を受けています』
「殴られた!!」
『その結果、左上肢に骨折、もしくはそれに類する損傷が発生している可能性があります』
「たぶん折れてる!!」
『再度攻撃を受けた場合、死亡する危険があります』
「死ぬのか!?」
『可能性があります』
「そうか!!」
アルトは少し考えた。
ちゃっぴーは黙って待っている。
アルトは天井を見る。
次に、保存食を見る。
最後に、崩れた壁の向こうへ続いている暗い空間を見た。
「でも、ここにずっといるわけにもいかないだろ!!」
『……』
「水も食べ物も、そんなにはないんだろ!?」
『はい』
「ディランたちにも会わないといけない!!」
『はい』
「だったら出るしかない!!」
『ミノタウロスとの再遭遇を前提としますか?』
「他に道がないならな!!」
『死亡リスクがあります』
「分かってる!!」
『あなたの現在の戦闘能力では、勝利できない可能性が高いと推定します』
「じゃあ、勝てるようにすればいい!!」
『……』
「できないのか?」
ちゃっぴーが静止した。
白い光が、わずかに強くなる。
『質問を変更します』
「おう!!」
『あなたは、ミノタウロスを回避して脱出することではなく、必要であればミノタウロスを排除して脱出することを希望していますか?』
「そうだ!!」
『目的を確認しました』
ちゃっぴーがアルトの周囲を一度回る。
頭から足元まで、何かを確かめるように。
『方針を変更します』
「おお!!」
『脱出経路の探索を継続しつつ、あなたの生存確率を向上させる方法を検討します。そのためには、まずあなたの能力を把握する必要があります』
「おれの?」
『はい。先ほど、あなたは自分を「戦えない」と評価しました』
「戦えないぞ!!」
『戦闘経験は?』
「ほとんどない!!」
『武器の使用経験は?』
「短剣を持ってる!!」
『使用経験を聞いています』
「……ほとんどない!!」
『承知しました』
「でも荷物なら持てるぞ!!」
『荷物ですか?』
「おう!! 三人分くらいなら普通に持てる!!」
『重量は?』
「分からん!!」
『一日にどの程度運搬しますか?』
「一日中!!」
『……』
ちゃっぴーが止まった。
「どうした?」
『確認します。あなたは日常的に、複数人分の装備、食料、水、その他の物資を運搬しているのですか?』
「そうだぞ!! おれ、荷物持ちだからな!!」
『その状態で、先ほどミノタウロスから逃走しましたか?』
「最初はな!! 途中で置いてきた!!」
『どの程度の距離を?』
「分からん!!」
『疲労の程度は?』
「結構疲れた!!」
『走行不能になるほどですか?』
「いや!! まだ走れたぞ!!」
『……』
「なんだ?」
『これまで、どのような訓練を?』
「訓練?」
『例えば、一日にどの程度歩きますか?』
「荷物持って一日中!!」
『休息日は?』
「仕事ない日は休むぞ!!」
『荷物を持たない状態で走る訓練は?』
「したことない!!」
『筋力訓練は?』
「なんだそれ?」
『重い物を意図的に持ち上げるなどの運動です』
「仕事で毎日持ってるぞ!!」
『それは訓練ではなく?』
「仕事だ!!」
『……』
ちゃっぴーは、しばらく何も言わなかった。
アルトは首を傾げる。
「ちゃっぴー?」
『身体能力について、再評価が必要です』
「なんでだ?」
『これからする質問に答えてください』




