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魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
異世界と現実

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第127話 俺ってズルいかなぁ? 皆それ言うよねぇ。


 「ふぅ、けが人はもう終わりですか?」

 「は、はい。避難した時に転んで擦りむいた子ぐらいで」

 

 「そっか。いやぁ被害が少なくて安心しました」

 「良かった良かった」


 「は、ははぁ……」


 あれから事が終わり、その後始末に追われる事となった。

 まずはけが人の治療だが、幸いにも子供の擦り傷程度で損害は軽微だ。


 家屋などの被害はバリアの余波で削られた村長の家と鉱山くらい。

 こちらも損害は少ない。


 かなりの大騒ぎになったけど、死者も出なかったし軽く済んで良かったっ!!


 「こんなデカい化け物が山の中に……」

 「山の化け物がこんなのを育ててたなんて……」


 鉱山の真ん前で息絶えた10m規模の怪獣の死骸。

 こちらの基準では小型だが、慣れてない彼らからすれば大型だろう。


 10mと言ったら象よりも一回りも大きい。

 しかも強力なレーザービームを撃ってくるのだからより質が悪い。


 事前に退治出来て良かった。いや本当に。

 

 「硬っ……。え、硬っ。なんだこいつ硬いぞ」

 「ナイフが欠けたっ!? ツルハシをぶつけてもびくともしないぜっ!!」


 松明の火に照らされながら人々が死んだ怪獣を解体しようと集まっている。

 しかし強靭すぎる皮膚と肉に苦戦しているようだ。


 「どんだけツルハシをぶつけても傷一つ付かない……。な、なんだこいつ」

 「これ……。どうしろって言うんだよ」


 「やっぱり普通の道具じゃあ無理みたいですね。よいしょっと」

 

 俺はウォーカーに乗り込んで、転がる怪獣にアンノウンランスを切り入れていく。

 すると硬い怪獣の死骸はスパスパと切れ、輪切りになっていった。


 「うぉ……。ツ、ツルハシを振りかぶっても傷すら付けられなかったのに」

 「ああも簡単に……」

 「なんだあのゴーレムは……」

 「すげぇ……」


 なるべく運びやすいように細かくしていく。

 ともかくこれを地面に埋めたら後始末は終了だろう。


 「村の連中が驚いてるわよ。やっぱりアンノウンランス」

 「驚異的な威力だわ」



 「そうですねぇ。戦闘で使う機会はなかったですが」

 「一撃離脱しながら目標地点を狙う。強襲型怪獣。とでも言うべきかしら」

 「あんなのが出てくるなんて、脅威だわ……」


 「強襲型……。なんだかカッコいい言葉ですよね」

 「馬鹿な事言ってんじゃないわよ」


 博士と取り留めのない事を言い合いながら、それから全てが完了した。


 「では村長。解体も終わりましたんで」

 「あ、は、はい……」


 「じゃあ俺達はもう村を出ますんでっ!! 皆さんが無事で良かったっ!!」


 終わったし、よしっ!! じゃあ次の動物を探しに行こうかっ!!


 「は?」

 「ん?」

 「え?」

 「おお?」


 エディンくんが色々言ってた語録の事を気になってたけど。

 しかしここまで事態が大きくなったら国も動くだろうし、さっさと村を出て行った方が良いだろう。


 ひとまずの危機は去った。村人達も全員無事だった。

 結果は上々っ!! って訳で次の動物を探しに行こうっ!!


 フィーネちゃんやエディンくん。知り合った人と離れるのはちょっと寂しいけど。

 でもここで俺が出来る事は無い訳だし。


 「ちょ、ちょっと待ったあんたっ!!」

 

 うん?

 

 「なんです? 博士」


 あ、博士って言っちゃった。まぁいっか。体裁整えるの面倒だし。

 どうせこのまま出ていくんだから敬語で良いだろ。


 「それじゃあ博士、行きましょうか。次はどんな動物が見つかりますかねぇ」

 「いやいやいやっ!!」


 「ちょ、ちょっとっ!!」

 「ま、待ってくださいニート様っ!! こ、このまま。出ていくおつもりですか?」


 「ええ、まぁ。俺は旅人ですし」

 

 事がここまで大きくなった以上、これ以上の滞在は出来ないだろう。

 ウォーカーの事とかも説明しないといけないし、そうなると時間の浪費になる。

 ならば早々に旅立って新たな動物を探しに行こう。

 

 ねっ。


 博士っ!!


 「ちょ、ちょっと待ちなさい馬鹿っ!!」


 はい?


 「なんですか博士。ともかくもう行きましょうか。新しい動物探しっ!!」

 

 「いやいやいやいや」

 「ちょ、ちょっと」


 ええ?

 

 「どうしました? そろそろ行かないと」

 「いやっ!! いや……」


 どうしたんだろう。博士ならさっさと行こうって言うと思ったのに。

 まぁいいや。


 「じゃあ行きましょう。では村長様。皆さんが無事で良かったです」

 「いや、あのニート様っ!!」


 「ま、待って先生っ!!」

 

 あら。


 「やぁフィーネちゃん。良かった。君も無事だったんだね」

 「痛いところはなぁい?」


 「な、無いよ……」


 なら良かった。村人はみんな無事だ。いやぁ。良かった良かった。


 「あ、あの先生っ!!」

 「うん、なんだい?」


 「え、い、行っちゃうの?」

 「うん、全部終わったしね」


 事がもうちょっと穏やかだったら良かったんだけど、大事になっちゃったしね。

 ここは早々と移動した方が良いだろう。


 そうすれば。


 彼らも余計なしがらみから解放されるし。


 って訳で。


 「じゃあね。さよならフィーネちゃん。怪我には十分注意してね」

 

 みんなありがとうっ!! 短い間だったけど、滞在楽しかったよっ!!


 「ま」

 「待って先生っ!!」


 「うん?」


 「ま……」

 「まだ十分にお礼言ってないよっ!!」


 うん?


 「ズルい……」

 「ズルいよ助けられたまま行っちゃうなんてっ!!」


 ええ?


 「まだ……」

 「まだ私達なんにも先生に返してないよっ!!」


 「なのに行っちゃうなんて……」

 「そんなの」


 「そんなのズルいよっ!! 先生っ!!」


 おお?


 ズルい。


 たまに言われる言葉だな。智代ちゃんにも言われたっけ。


 「いやぁ。でも急ぐ旅だから」

 「そ、そんなに急ぐ旅なのですか?」


 はいそうですよ村長さん。なにせ人死にがかかってますから。

 よく考えたら見つけられた生物はまだ1匹。


 先は長い。いやほんと長い……。

 どっかで動物園とかないかなぁ。無いか……。


 ともかくそんな訳で急ぐ旅。

 夜だけど、まぁこっちにはフロートユニットがあるし。


 「急ぐ旅なので、これで失礼します」


 そう言う訳で新たな旅へっ!! 次はどんな動物が居るかなぁ。


 「ま、待ってくださいニート様っ!!」


 ええ?


 「あ、貴方は村の恩人です。なのに何もお返しせずにこのまま返すなんてっ!!」


 あら?

 あらあらまぁまぁ。


 「いやぁ、そんなお構いなく。自分でした事ですから」

 「ですのでこれで。いやいやほんとに」


 村長さんからしても俺はもう居ない方が良いだろう。

 お礼とか言ってるけど、まぁこれは社交辞令だろうな。


 適当にご挨拶して彼の体裁を整えてあげて、それから出発。

 それが礼儀ってものか。なるほどなぁ。


 「ど、どうかお礼をさせてくださいニート様っ!! このまま返せませんっ!!」

 「いえいえお礼なんて。お気持ちだけでも、本当に」


 「そんな、本当にっ!! このまま帰られては困りますっ!!」

 「ははは。いえいえ。急ぐ旅ですのでぇ」


 このくらいで良いか? よし、さっさと帰ろうか。

 今度は人に紛れるような大きな街を探そうかな。

 あ、そうだ冒険者ギルドとかってあるって聞いたぞぉ。

 なら冒険者になって世界中を回らなきゃっ!! それで沢山動物を見つけてぇ。


 うんうん、なんだか楽しくなってたぞっ!!

 それじゃあ。


 「では村長。お宿をありがとうございました。この御恩は忘れません。それでは」

 

 「そう思って頂けるのならっ!!」

 「どうか帰るなんて言わないでくださいっ!! 貴方は自分が何をしたか分からないのですかっ!?」

 

 随分粘るな。そんな事言われても。


 「貴方は我が村を救ってくださったのです。あの巨大な化け物」

 「あの化け物はこの村に住み着いていた。アレを放置していたら」

 「我が村は……。近い内に滅んでいたでしょう」


 「そうですねぇ。助かって良かったです」

 「それを貴方が退治してくださったっ!! 貴方は我が村の恩人ですっ!!」


 「はぁ。でもまぁ全部終わりましたので」

 「終わっていないっ!! 我々は貴方に何も返していないのですよっ!!」


 「いえいえ。お気持ちだけでも」

 「何を仰っているんですかっ!! 今貴方をここで返せば村長の沽券にも関わりますっ!!」


 沽券? ええっと。


 「恩人1人歓待出来ない長だと皆に笑われますっ!!」

 「貴方は我が村の村民を全て救って下さった」


 「ああぁ。いや、それは成り行きというか」

 「ズルいです」

 

 え?」


 「貴方は我が娘の命も救ってくださった。その上我が村の存続まで……」

 「それほどの大恩を抱えさせたまま」


 「それを返させないて」

 

 「そんなの……。ズルいではないですか」


 ズルい? なんで?

 俺は俺なりに頑張ったつもりだけど……。皆どうしてそんな事言うんだろうなぁ。

 俺は。


 俺は、ズルいのか?

 

 う――ん。

 

 「あ、あの博士……」

 「良いじゃない少しくらい」


 ええ?


 「少しくらい、滞在しても」

 

 ええ? 博士ならさっさと行こうと言うと思ったんだけど。


 「あ、アニエスちゃん」


 「いや、ここは出ていくのは。ちょっと私もどうかと」

 「私もそう思いますニャン」


 あら、味方が居ない。なんで?


 「先生……」

 「うん?」


 フィーネちゃんが俺の腕を掴む。口調は穏やかだが、結構力を込めている。

 ような。


 「先生、行っちゃ駄目だよ」

 「お礼」


 「お礼させて。ね、先生……」


 お礼。そんな事言われても。

 

 この村に俺の欲しいものは何一つないし。

 滞在する意味が、無いんだけど。


 「ええと」

 「うう……。もっと居てよぉ先生ぇ」


 あらら、泣いちゃった。

 あらあら。


 「あら――。分かったよぉ。もう一日くらいは居るから泣かないでね」

 「うう。ぐすっ、えぐっ……」


 子供に泣かれちゃ帰る訳にもいかないか。

 なんでみんなこんな粘って引き留めようとするんだろう。


 色々と面倒事が増えるだけだろうになぁ。

 

 「おお、先生っ!! 滞在してくださいますかっ!! 精いっぱいのお礼をさせて頂きますっ!!」

 「ああ、良かった……。本当に。村が助かって良かった。良かった」


 あら村長さんも泣いてる。まぁ命からがらって感じだし、そうかもね。


 「ニート先生っ!!」


 うん? 誰だ?

 えっと、中年くらいの男性。あら、エディンくんも一緒。


 「先生っ!! ああ、エディンから全て聞きましたっ!!」

 「先生があの子を化け物共から救ってくださったと……」


 「こいつはとんだドラ息子ですが、それでも俺の大事な子供」

 「うう……。それを助けていただき、ありがとうございましたっ!!」


 「お礼をっ!! お礼をさせてください先生っ!!」

 「先生は村の救世主だぁ。おかげで命拾いしたっ!! ありがとう。ありがとうっ!!」

 

 「ありがとうございますっ!! 先生っ!!」


 ううん? ええとぉ……。



 「なんか皆必死ですねぇ。なんでしょうか博士」

 「当たり前でしょう。馬鹿ねあんた」


 ええ?


 「悪い事をしたら罰を受ける。「良い事」をしたら賞賛される」

 「あんた、その歳になって」


 「そんな事も分からなかったの?」

 

 良い事?

 良い事……。


 「人助けするのに良いも悪いもないですよ」

 「当たり前の事をしただけなのに」


 「皆どうしてこんな大騒ぎするんだろう」


 

 「………………………………」


 

 「まぁ良いわ」


 「ともかく「英雄」としてしっかり働いたんだから」

 「その報いってやつ」


 「しっかりと……」

 「これはどういう事なんですっ!?」


 「ああ?」


 「これは……。なんです、このでっかい生き物はっ!!」

 「なんですなんです」


 「何なんですっ!?」


 「ああん?」


 なんか、闇夜の中でっかい竜? みたいなのに乗って女の子が降ってきた。

 なんかこう、寒そうな服を着た……。ウチのバトルスーツに似てるか?


 体のラインが出ててちょっとエッチ。


 しかしアレだな。


 こういう賑やかな感じ。

 お祭りみたいで、ちょっと楽しいかもっ!!


 

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