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魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
異世界と現実

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第126話 これも庭で拾ったんだっ!! 庭にはいっぱツララが生ってる。


 「しゃあっ!! じゃあ京介ウォーカーを「召喚」なさいっ!!」

 「いよっしっ!! 出でよウォーカーくんっ!! なんちゃってっ!!」


 俺はアイテム欄の中に入ってるウォーカーを取り出し、乗り込んだ。

 

 「せ、先生っ!! こ、これはっ!?」

 「ああ、うん。えっと」


 「ゴ、ゴーレムっ!! ゴーレムでゴワスっ!! ゴーレムっ!!」

 「ニ、ニート様はゴーレム使いなのニャンっ!!」


 「ゴーレム使いっ!! 凄いっ!! 流石先生っ!! デウス様の生まれ変わりだっ!!」


 はいはいデウスデウス。

 って訳でデウスって事で、怪獣退治をしちゃうぞう。


 「目標怪獣のサイズはSサイズってところね。だいぶ小さいわ」

 「でもブレスの強さから見てだいぶ最適化されてますね。ああいうのは強いですよ」


 「でっかいチュパカブラって感じ? ゴジラタイプじゃない人型か」

 「さて、どんなものかしらね」


 「まぁどっちでも良いですよ」

 「ランスで切り裂いちゃえばっ!!」


 ウォーカーを操縦し怪獣に向かわせてる。どんな相手でもランスで切り裂いてしまえばっ!!

 俺は手に持たせたアンノウンランスを怪獣に向けて横に一閃した。


 「あら、避けた」


 目標怪獣はずんぐりとしたゴジラタイプではなく人型。

 っという事も、ありその手足を使い四つん這いになって攻撃を避け。

 そのままの姿勢でこちらに迫ってきた。


 「あらよっと」


 それを転がって回避する。ウォーカーの卵型の体型はこういう時に便利だ。

 しかし素早いな。生まれたばかりだってのに良く動く。


 「先生、あ、あのでっかい敵は」

 「でっかい怪獣だよねぇ。あんなのが山に入り込んでたなんてねぇ」


 「怪獣……。あ。あれが伝説のキュクロープスですか?」


 あら今度は北欧神話? 彼の語録の出所を知りたい。

 あとで色々聞いてみよう。


 「ともかくさっさと奴を倒してしちゃいなさいっ!! ウォーカーならやれるでしょっ!!」


 博士が急かしてくる。それもそうかとランスを手に再び向かい……。


 「あ、逃げたっ!!」


 向かおう、っとしたのだが、敵がその場から逃げ出した。

 四つん這いの体を器用に動かしながら目標がその場を脱してしまった。


 「逃げたっ!! ブレスが効かないと体勢を立て直したっ!?」

 「いや、これは……」


 戦う為に生まれた怪獣が早々戦意喪失など起こすものか。

 ならばあの怪獣の動きは……。


 「人家に移動して人間を殺す気だっ!! 早く追わないとっ!!」


 怪獣の目的は人間に「嫌がらせ」する事。ならばあのサイズの怪獣がする事はただ一つ。

 そのサイズを利用しての家屋の蹂躙と住人の虐殺だっ!!


 「こ、ここから一番近いのは俺達の集落だっ!! 村の皆が危ないっ!!」

 

 「せ、先生っ!!」

 「分かってるっ!!」


 「あいつを、追わないとっ!!」

 

 俺はウォーカーを転がしながら、奴を追った。

 しかし転がりながら移動ってユニークで良いな。地形に左右されないし。

 やはり博士は先見の明がある。偉いぞ博士っ!!


 っと言う訳で。

 

 皆を助けないとっ!!



 「う、うわぁっ!! な、なんだぁっ!!」


 怪獣がたどり着いたのはダブリン村。村に着いた怪獣は一声咆哮し寝ている住民を叩き起こす。

 優しさからではない。逃げ惑う住民を蹂躙する為だ。


 怪獣には人間を苦しめるという本能が備わっている。

 その本能から人間を叩き起こし、慌てる住人を見て悦に浸るつもりなのだ。


 「で、でっかい……。お父さん、な、なにあれ」

 「化け物……。化け物だっ!! な、なんだアレはっ!!」

 「あなた……」


 村長夫妻も家から出てきた。村の外には闇夜の月に照らされた巨大怪獣。

 怪獣は村で一番大きい建物の村長宅の前に立ち、恐らく見せしめの為だろう。


 前かがみになりブレスの体勢を。


 「させるかぁっ!!」


 ブレスが。繰り出される前に突撃する。その卵型の体型を利用してのエッグアタック。

 卵に似たウォーカーだからこその攻撃。えい、この卵の先端アタックを喰らえっ!!


 「ギィイイ――」


 しかし、あまり効果は無さそうだった。やはり素の肉体はどうにもならないくらい硬い。

 体勢を立て直した怪獣がブレス攻撃を繰り出した。


 やはりブレスを行う為のモーションが短いっ!! 普通の怪獣ならもうワンクッション挟むのにっ!!

 ブレスが来るっ!!


 俺はなるべく怪獣の前に出てそのブレスがフィーネちゃんの家を壊さないよう苦慮する。

 ウォーカーの手に持たせた「つらら」でブレス攻撃を防ぎ続ける。


 「ひ、ひぃいいいいいっ!! なんだっ!! なんなんだぁあああっ!!」

 「火が……。何なんですこれはっ!! 貴方ぁあああああっ!!」

 「きゃあああああああっ!! こ、怖いよぉおおおお――っ!!」

 

 ウォーカーの後ろで村長夫妻が慟哭している。幸いフィーネちゃんは夫妻に守られ無事だ。

 村長の家も……。うん、端っこがちょっと溶けてるけど無事だっ!!


 ブレスの勢いが収まっていく……。

 今だっ!! 俺は武器をランスに持ち替えて敵怪獣に迫った。


 しかしそれを察した怪獣はこちらが来る前に逃げだした。

 逃げて、また別の地点に向かっていく。


 なんとも見切りが早い怪獣だ。こんなタイプは見た事がない。

 

 「見た事ないタイプだわ。逃げるなんて。今までの怪獣には居なかった」


 そうだ。怪獣と言ったらただまっすぐ向かってくるタイプばかりだ。

 猪突猛進。唯我独尊。今までの怪獣に「退く」などという概念は無かった。


 「異世界に逃れて、退路を確保する術を覚えたのかしら」


 そうなのだろうか。

 

 「同じ戦法を取ったら同じ事になりそうですねぇ」


 だったら。


 どうする?



 「うわぁああああああっ!! なんだこの化け物はぁああああっ!!」

 「で、デカい化け物が……。な、なんだ、なんだぁあああっ!!」


 「ひ、ひぃいいいいいっ!!」

 

 怪獣はそのまま鉱山地帯の住宅地へ向かっていた。先ほどと同じく咆哮を行い住人を叩き起こす。

 その声に驚いた住人が家の中から出ると、そこには巨大な怪獣が。


 家よりも二回りほど大きいその巨大怪獣に皆が恐れをなし逃げ始める。

 逃げる先は己の職場。魔石鉱山だ。


 皆我先にと鉱山の中へと逃げ込んでいく。穴の中、そこならば安全だろうと。

 怪獣はそれを見守っている。


 見守り、そして人間達がそこに全て入り込んだ事を確認した後。

 ブレス攻撃の体勢に付いた。そのままブレスで根絶やしにするつもりなのだ。


 インターバル短めに、怪獣のブレス攻撃が鉱山目掛けて飛んでくる。

 今度は邪魔な「卵」はない。

 だから精いっぱい最大限のブレスを放とうと、間を多く持ちチャージして……。


 そして、放つっ!! いざ鉱山が弾け消えんとするその時に。


 「こ、このっ!! 貴様の非道ゆ、許さんぞっ!! ぐぅう頭が痛いっ!!」


 ウォーカーが三度、ブレスの前に立ち塞がった。

 例のつららを用い、またも怪獣のブレス攻撃を防ぎ続けている。


 3度目。っという事もあり、怪獣もイラついてる様子だった。

 限界までっ!! その思いからか前2回のブレスよりも強く、長くブレスを放つため全力を出す。


 「うぉおおおおっ!! 勢いが……。勢いが強いっ!!」


 あからさまに威力が増したそのブレス攻撃にウォーカーが押されていく。

 「つらら」の力もあってか抑え込めているが、全力を出した怪獣のブレス攻撃はその勢いが強く。

 ウォーカーはその勢いに押し負け、吹き飛ばされてしまいそうになっていた。


 「こうも短期間に強力なブレス攻撃を放つ事が出来るなんて」

 「一撃離脱。そしてブレス攻撃。明らかに改良されている怪獣だわ。戦略的に動く怪獣」

 「なんとも地獄な光景ね。敵も進化してるって訳」

 

 「れ、冷静に分析してないでなんとかしてくださぃいいいいいい――っ!!」

 「大丈夫でしょ。こんな時の為に」



 「英雄が居るんだしね」



 ブレス攻撃の猛攻が続く。己の内部が焼き切れても良い。

 目の前の敵を撃ち滅ぼさんと。


 「意外と一生懸命なんだな」

 「その一生懸命さを他でも行かせたら」


 「もっと他の生き方もあっただろうにねぇ」


 怪獣の耳元で何か囁く。それに気づきブレスを止め怪獣が声のした方を。

 向いた。そこには「つらら」を持った人間が立っていて。


 「悪いが」

 「一本だけじゃないんでね」


 「ギィ……」

 「ぎぃいいいいいいいいいいいいいいいいい――――っ!!」



 

 俺は怪獣の肩に乗り、そのまま怪獣の喉元を引き裂かんと。

 つららを、一閃した。


 「ギィイイイィイインぎゃああああああああああああああああ――――っ!!」


 怪獣の首はつららの斬撃を受け大きく傷が付く。その傷から滝のような大出血が。

 大絶叫と共に怪獣の鮮血が周囲にぶちまけられる。

 月夜に照らされたその赤い間欠泉は。


 ほんのちょっと、綺麗に感じた。

 ほ、ほんのちょっとだよぉ?


 もだえ苦しむ怪獣からストンと地面に落ちウォーカーの元に駆け寄る。


 「アニエスさ――ん。大丈夫かな――?」


 開口一番、気にするのはアニエスさんの様子。

 彼女には俺の代わりとしてウォーカーに乗って貰っていた。


 他の人では頭が破裂すると言われたウォーカーの脳波コントロール。

 彼女の具合はどうだろうか。


 「う、ううぅ……。頭が痛い。でゴワス」


 どうやら体調不良を感じてはいるけど無事のようだ。

 やりたいというので乗って貰ったが、よく耐えてくれたようだ。


 「へぇ、意外と耐えるじゃない。普通の人なら頭爆発するけど」

 「ば、爆発つぅっ!? でゴワスかっ!?」


 そうみたいでゴワスよぉ? ともかく無事のようだ。

 一撃離脱を繰り返す奴に対抗しての二面攻撃。どうやら成功したようだ。


 いやぁ。


 丁度良くつららが「2本」あって良かったっ!!

 幸運に救われたなっ!! なんて。


 さて。


 冗談を言っている間に怪獣が力尽き地面へと落ちる。

 他怪獣よりも強化され「生物兵器」としての側面が強くなったからだろう。


 「急所」が出来て倒しやすくなった。

 そんな気がする。


 「普通の怪獣なら喉元を攻撃されたくらいでへこたれたりはしないのに」

 「コンセプトを経て生物兵器としての完成度を高めた結果」


 「弱点が出来た。そういう事かしらね」


 そういう事なんでしょう。


 「貴方、分かってて狙ったの?」

 「いやぁ、偶然ですよ偶然」


 「あ、そう」

 「流石、英雄様は運がよろしい事でねぇ」


 「あははっ!! そうですねぇっ!!」


 さて。


 これで一先ずひと段落かな。


 さぁてさぁて。


 「せ、先生……。終わったんですか?」


 ああ、終わった。だからこれからは。

 楽しい楽しい。戦後処理をしないとね。


 ああ、いやほんと。


 月が、綺麗だなぁ。


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