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魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
異世界と現実

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第117話 仲間を人質に取られて……。くっ!! 早く事件を解決しないとっ!!


 「事件を解決とか……。あんた何言ってんだ?」

 「ですから、疑いは自分で晴らすという事で」


 「はぁっ!? いやあんたが邪精使いでっ!!」

 「いやいやいや。このままこうしていても埒が明かないですし」


 「ですので」

 「俺がっ!!」


 「しっかり調査するという事でっ!!」


 「……………………」


 「はぁ?」


 

 

 ◇ ◇ ◇



 

 あれから。

 

 「おら、こっちだ兄ちゃんっ!!」

 「はい――。ありがとうございます」


 あれから、監視付きとはいえ村の中を移動する事が出来るようになった。

 「調査」の名目で村の中を案内してもらう事になったのだ。

 俺の事を邪精使いだのなんだの言っていたが、根気よく説明したら。


 チャンスくらいはくれてやる。


 っという話になり監視として村の男が数人付き、現場に移動する。

 残念ながら博士達は捕らえられてしまった。まぁ人質。という話なのだろう。


 「ちょっとっ!! こんな茶番に付き合ってられないわっ!!」

 「体勢を立て直して別の場所に移動しましょうっ!!」


 博士はそんな事を言っていたが……。

 しかし旅の恥はかき捨て。では良くないだろうと思う。

 何度も言うが不法は慣れるというものだ。

 ならば下手に逃げて自らの心を汚すよりは、しっかり汚名をそそぎ綺麗になりたい。


 っと言う訳で。


 

 異世界の村を移動してるっ!!

 おお――っ!! なんか本当、異国って感じだっ!!


 細い一本道にレンガ造りの家屋が連なり、中央には教会だろうか。

 細長い三角屋根の建物が中央にある。


 通りすがりに馬車が通り過ぎ、荷物として石? いやこれは鉱石だろうか。

 ガシャガシャと音を立てながら石が積まれていった。


 「あの石は何なのです?」

 「ああんっ!? んなの関係ねぇだろうがっ!! この邪精使いめっ!!」

 「さっさと歩けっ!!」


 あら。まだまだ邪精使いとしての疑いが晴れていないからだろうか。

 皆の反応が荒々しい。両脇に屈強の男達に囲まれ針のむしろ状態だ。

 男達からはツンとすえた洗ってない獣のような匂いがする。


 どうやらあまりに入浴の習慣がないようだった。

 

 「あのね、アレは魔石を運んでるんだよ」

 「魔石? ふんふん、なるほど魔石ね」


 魔石? 魔石とはなんだろうか。

 一般常識である可能性を考え知った風な事を言うが。

 魔石を採掘する……。とは。どういう事だ?


 「ここの魔石はね。それなりに質が良いの。大昔の小さい魔物が石になってね」

 「そこから良い魔石が出来るんだぁ」


 魔物が石になり魔石となる? つまり石油みたいなものか?

 石油も植物プランクトンなどの死骸が固まり出来たと聞くが……。

 そういえば「ダンジョン」の発生も同じ原理だと聞く。


 「魔石」それに何らかの力があるのだろう。そして彼らはそれを採掘している。

 こんな山奥に村があるという事は、ここは鉱山を中心とした集落なのだろうと推測する。


 鉄や銅などの資源とは違うまったく異質の資源。

 なんだか面白くなってきたぞっ!! 魔石って一体何なんだろうなぁ。


 「それでねっ!! この魔石の鉱脈はウチのおじいちゃんが見つけ出してっ!!」

 「それからおじいちゃんは村長になってそれからお父さんがっ!!」


 「あらあら、そうなのかい。頑張ったんだねぇ」


 薬で助けた少女。フィーネちゃん。彼女も一緒になって現場に向かう。

 俺の疑いを晴らすお手伝いをしてくれるらしい。

 とても元気で活発な少女で、曰く頻繁に森に入ったり木を登ったりしていたらしい。

 だからこそ、何らかのきっかけで破傷風を発病した。

 そういう事なのだろう。元気なのは良い事だが、こういう時代では命取りになる事もある。

 なんだか自然の恐ろしさっての感じるなぁ。


 「フィーネちゃんはどんな遊びが好き?」

 「えっとね――。森でキノコを取ったり、リスと遊んだり。鳥を捕まえたりしてるよっ!!」

 

 野生動物と関わる事が多いのか……。やっぱりそっちから?

 自然に囲まれた生活というのは憧れるが、こういうリスクもあるから油断が出来ない。

 ともかく生きていて良かった。俺達があそこで通りがからなかったら……。

 そう考えると彼女とも妙な縁を感じるなぁ。


 「そっかぁ。動物さん沢山居るのかい?」

 「いっぱい居るよっ!! なんてたって森の中だしね。それくらいしかやる事ないし」

 

  そっかそっか。良い事だ……。


 「お友達とは遊ばないの?」

 「お友達は……。私は村長の子供だから。そういうのは……」


 あらま悪い事聞いちゃったかな。そっかぁ。彼女は確かに現地社会の上層に居る子。

 そういう事なら、色々とあるんだろうなぁ。


 俺も昔は乳姉妹だとか言われてた子が居たけど。

 彼女にはそういう子は居ないんだろうか。それなら。


 「そっかぁ。じゃあおじさんとお友達になろうか。短い間だけどさっ!!」

 「あははっ!! まだまだおじさんなんて言えないよぉ。ニートさんもうちょっと若いでしょっ!?」


 あら。ほんとは30超えてるんだけど……。

 まぁいっかっ!! 若く見られて嬉しいかもっ!!


 でも。


 「おじさんはもう36歳なんだよ。もう年なんだ」

 「ええっ!? はぁっ!? 嘘っ!! お父さんより年上なのっ!?」


 あらま……。お、お父さん俺より年上なの?

 か、髪とか。結構ツルツルだったけど……。


 「そ、そうなんだよぉ。ふふふ、若く見えるけど、もう年でねぇ」

 「ま、マジかよあんた俺より年上なのかっ!! 馬鹿なっ!!」


 共に歩く男達も驚いている。俺を見てもっと若いと思ったらしい。

 ふふふ、しかし残念ながら俺はもう年代物なのだ。

 まぁ、人生経験はぁ。そんなにないけど……。


 「36っ!? マ、マジかよっ!! あ、そ、そうかっ!!」

 「邪精に血を吸わせて、それから若さを得たんだなっ!! この邪精使いめっ!!」


 我天啓を得たり。っとばかりに最初俺の事を邪精使いだと罵っていた彼が叫ぶ。

 家畜の血で若返りか。それは、なんとも。


 「ふふふふふ、実はそうだったのだ。私血吸い人間のバンパイアっ!!」

 「家畜の血をチューチュー吸って若返りを図っちゃうぞうっ!!」


 手のひらを開き手を上げて、ガオーってな感じでおどけて見せる。

 逆効果になるかもしれないが、これくらいは。

 どうだぁ?


 見張りの男達は怪訝な顔。なんだこいつって感じ。

 しかしフィーネちゃんは。


 「あはははははは、なにそれっ!! おかしいっ!!」


 お、笑ってくれたっ!! 大人の冗談を笑ってくれる良い子なんだっ!!


 「なにやってんだよ……。まったく」

 「はぁ……」


 見張りの彼らの緊張も、ちょっと緩んだ気がするぞ。

 まぁ代わりに呆れられちゃったけど。でも下手に緊張されるよりはいっかっ!!


 「こ、このっ!! 邪精使いがっ!! 俺は騙されないぞっ!!」


 一番俺の事を疑っている彼。年はぁ。10代……。うーん20代?

 ともかく成人に近づきつつある男子だ。


 彼は随分と邪精使いという言葉にこだわる。

 彼、か。名前はなんて言うんだろう。まぁ、今は聞けないだろうが。


 「ともかく被害者さんの家へ。疑いは自分で晴らすっ!! 頑張りますっ!!」


 手をグッと握り決意する。この問題が解決すれば、きっと村人達との仲も改善する。

 そうすれば色々と情報だって聞く事も出来るし、交流も楽しめる。


 なんだか急な出来事になってしまったが、長い目で見れば色々と知り合いも増えたし。

 異世界を見て回れて、大変よろしいっ!


 あとで博士にお土産話聞かせてあげよっ!!


 「ここだ。この家でやられたんだ」


 案内されたのは。他の家よりちょっとみすぼらしい。

 レンガ造りとは違う。藁と木で出来たような家。


 その家。っというかその集落は村の外れにあって小奇麗に整備された村中央とは違い。

 まぁ、なんというか「貧しい」という印象を受ける場所。

 ツンと鼻腔に届く糞尿の匂いが……。っていうかアレ? なんで匂いを感じる事が出来るんだ?

 もしかして俺が教えられていない他の機能もあるのかな。


 それを聞こうにも博士は居ないからどうしようも出来ないけど。


 「ほら、そこの家の家畜だ」


 連れ出された先にはちょっと、こう。古めかしい木の家だ。

 屋根は茅葺きで、まぁ、穴が開いてるのか崩れている。雨漏りとか大変そうだ。

 一見廃墟のように思えるのだが、ここに本当に人が?


 「アイリスさん、入るぜ」


 入った瞬間、むっと血の匂い。それに糞尿が混じったような。

 横を見ると家畜小屋のようなものが。どうやら家畜と同じ空間を共有する作りらしい。

 昔の日本の家屋にもこのような形があった。


 だからこそ驚きは無いが、なんと言うか。色々と部屋も汚いな。

 掃除とかしてないんだろうか。


 「ああ、あんたか……。入って、おくれ……」


 中からか細い女性の声が聞こえている。声のかすれ具合から中年女性だろうか。

 入ってくれ。と言われたため皆で家に入る。


 土間のような作りの玄関から靴を脱いで上がるスタイル。

 住人の見た目は西洋的だが、こういう所は日本式の息吹を感じる。


 玄関を抜け居間の方に行くと……。


 「きゃっ!!」


 フィーネちゃんがその姿を見て思わず声を上げる。

 それと同時に酷い匂い。フィーネちゃんは女性を一目見た後。

 そのまま口を塞いだまま立ち去ってしまった。どうやらその姿に驚いたらしい。

 まぁ、これは……。

 

 女性は花が咲いていた。咲いていた。まぁうん彼女は。

 酷い乳がんだった。末期の、花が咲いたような状態。


 大きな大きな腫瘍がそこにあって……。


 「うわっ。わ――。あ、薬打っておきますねぇ」


 だから思わず再生剤を打ってしまった。

 打って数分後、女性の腫瘍はポロリと落ちた。


 癌みたいな病気は再生剤を打てばコロっと治ってしまう。

 俺は腫瘍を落とした後、彼女にポカリスエットを飲ませ体の調子を整わせる。


 食欲も出てきたらしいから、桃の缶詰を一缶与えた。

 女性は「美味しいっ!!」っと喜んでぺろりと平らげてしまった。


 体が悪い時はやっぱり桃缶が一番だよねっ!!

 ともかく目の前の問題は解決した。


 さて、そういう訳なので。


 「えっと、では詳しい状況を教えていただきますか?」


 

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