表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
異世界と現実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
119/138

第116話 唐突なサスペンス。ニート探偵出陣だっ!!


 「邪精使いめっ!! よくもウチの家畜をっ!!」

 「血吸い妖精を使って俺達の家畜を狙ったなっ!! このっ!!」


 急に屋敷に4、5人の村人であろう人達が入り込んできた。

 身なりは麻の上着一枚とズボン。その服は土にまみれ明らかに洗われていない。

 その顔は黒く……。うーん明らかに労働者風な男性達。


 彼らがよそ者であろう俺を見て、なにやら叫んでいる。

 邪精使い、とは。そんな存在が居るのだろうか。


 「ま、待ちなさい皆っ!! この方々はそのような方達ではないっ!!」

 「嘘だっ!! こいつは俺の家畜を殺したんだっ!!」


 「違うもんっ!! ニートさんはそんな事しないもんっ!!」

 「あ、フィーネちゃん。良かったなんともなかったんだな。いやそんな事より」


 「そいつは邪精使いだっ!! リャナンシーを操って俺達を滅ぼそうとしてるんだっ!!」


 村人達は妖精姿の彼女達を指さして吼え続ける。

 リャナンシー。なーんかどっかで聞いた事ある言葉のような……。

 

 あ、そうだっ!! 「悪魔召喚」シリーズのゲームのキャラにそんなのが居た気がする。

 悪魔召喚シリーズは世界中の悪魔を元にしたゲームで。

 その中に、そんなのが居たような……。いや詳しい事は知らないけどさ。


 「リャナンシーだっ!! こいつはリャナンシーだっ!!」

 「だから違うとっ!! 話を聞きなさいっ!!」


 村長さんと村人達の攻防が続く。ともかくアレだ。

 初対面の人に会ったのだから。


 「どうもおはようございます。私はニートと言う者です。どうぞよろしく」


 挨拶、大事だよねっ!!


 「あ、ああ?」

 

 「連れの彼女達は一番大きい子がアニエス。青髪の子がコリーヌと春美」

 「どうも。お初にお目にかかります」


 ぺこりとご挨拶。初対面なのだから挨拶は大事だ大事よ。

 

 「ところで貴方のお名前は?」


 こちらも名乗ったのだから、名前、聞いて良いよねっ!!

 どんな人なんだろうな――。


 「そんな事はどうでも良いっ!!」


 あら? あらあら、怒っていらっしゃる。


 「申し訳ありませんが初対面だと記憶しております。私が貴方に致しましたでしょうか?」


 なんで怒ってるんだろう。リャナンシーってなに?

 なんでこっちの悪魔の名前を彼が知っているんだろう。あ、もしかして召喚者関係?


 「貴様がっ!! 邪精を使って俺の家畜の血を吸ったんだろっ!!」

 

 「だからっ!! リャナンシーは迷信だと言ったでしょうがっ!! いい加減になさいっ!!」

 「彼は私の客人ですよっ!! 失礼なっ!!」

 

 「いいやっ!! こいつは邪精使いだっ!! 悪魔リャナンシーだっ!!」

 「俺の家畜を返せっ!! 返せっ!! 返せっ!!」


 男性は酷く怒っている。凄いエネルギッシュな感情を感じるっ!!

 これが異世界の男性かぁ。凄く怒ってるけどこういうのも新鮮かも。


 「ともかく私の名前はニートです。よろしくお願いします。お会い出来て嬉しいです」

 「はぁっ!? き、貴様っ!! 舐めてるのかっ!! この家畜殺しめっ!!」


 「申し訳ありませんが、人違いでは? 私は昨日ここに来たばかりの旅人です」

 「それに、動物の血などを吸ったりしません」

 「今は村長様に食事を用意して頂き、食べる寸前でして」


 美味しそうなご料理。異世界ご飯だっ!!

 博士が朝になんかシートみたいなのを口に張ってくれた。

 これを使って異世界の食物を召喚しながら食べるらしい。


 なんだか凄くハイテクだっ!! それを試したくてしょうがないのだっ!!

 どんな感じで入っていくのかな――。


 「だからっ!! 貴様が夜、妖精に命じて血を吸わせたんだろうっ!!」

 「そんな事をして一体どんな意味があるのか。すいませんよく分かりません」


 「どんな意味って……。な、何かの魔術に使うんだろっ!!」

 「魔術? 血でどんな魔術をするんですか?」


 血を使った魔術、そんなのがあるのかな?

 異世界だしなんかありそうだっ!! それともそういうおまじない?

 ふんふん。血を使ったあれこれはこちらの世界でもあったし。


 う――ん。魔術とか。どんな事するんだろっ!!


 「魔術……。血を使った魔術とかがあるのですか?」

 「それは……。邪精使いならなんでもあるだろっ!!」


 「邪精使いとは? そんな職業があるのですか?」

 「それは……。ともかくお前が悪いっ!!」


 「ふむぅ。しかしですね。獣の血を吸うなんて言われても」

 「それで、その家畜はこの子達のサイズで吸えるような小さい家畜なんですか?」


 「う。いや」

 

 「ウサギくらいの家畜だったら……。でも血なんて吸っても」

 「美味しくは、ないですよね? っというか妖精は血を吸うんですか?」


 「それはっ!! 悪い妖精。リャナンシーだから吸うんだろっ!!」

 「先ほどからリャナンシーと言われますが。それは一体何なんです?」


 「リャナンシーはリャナンシーだろっ!! ともかく、貴様は邪精使いだっ!!」

 「う――――ん」


 なんだか会話が堂々巡りしているような。

 リャナンシーに邪精使い。それは何かと尋ねるとふわっとした言葉しか出てこない。

 つまりどっちも現実には存在しない?

 

 何らかの民間伝承か何かなのだろうか。


 「申し訳ありませんが、ウチの子達は家畜の血を吸ったりしません」

 「そちらの勘違いであると思います。そもそも何の証拠もありません」


 「ウチの子は血を吸ったりなど」

 「おいっ!! この妖精っ!!」


 うん? 春美博士が男性に絡まれてる。あらあら、あまり乱暴しないで下さいね。

 女の子には優しく優しく。


 「この妖精、血を持ってるぞっ!!」

 「こ、このっ!! は、放しなさいっ!!」


 血を、持ってる?

 

 うん? 博士?


 「こ、これはそんなんじゃなくて……。ち、違うのよっ!!」


 男性に手を握られて、その先には……。注射器?

 博士はその手に注射器を持っていた。その中身は。


 並々と血で満たされている。


 「これが証拠だっ!! やっぱりこいつはリャナンシーだっ!!」

 「お前が、お前達が俺達の家畜を殺したんだなっ!!」


 「ち、違うわよっ!! っていうかこれくらいの血であんなデカいのが死ぬわけないでしょっ!!」

 「なにがリャナンシーよっ!! 馬鹿らしい。だから頭の悪い人間は嫌いなのよっ!!」

 「さっきから馬鹿みたいに意味わかんない事言ってっ!! ああ? この馬鹿どもがっ!!」

 

 「低能っ!! ゴミクズっ!! 何か邪精使いよっ!! どうせ適当に言ってるだけなんでしょっ!!」

 「弱い立場の人間見つけてスケープゴートにするつもりなんでしょっ!!」


 「学の無い奴がやりそうな事よっ!! な――にがリャナンシーよっ!!」

 「あんなのの血なんて吸って何になるって言うのよっ!! ふざけた事言ってんじゃないわよっ!!」

 

 「このクソ低能のレッドネック共がっ!!」


 レッドネック? 何だろう。難しい言葉だな。

 ともかく博士も怒ってしまった。そういえば最近は鳴りを潜めてたけど。

 博士も結構、沸点が低いんだったなぁ。


 「なんだこの精霊は、口が悪いっ!!」

 「やっぱりこいつ等がやったんだっ!! 俺達の家畜を殺したんだっ!!」


 「違うもんっ!! 変な事言うのは止めてっ!! この人は私を助けてくれたのよっ!!」

 「お薬をくれたのっ!! 悪い人じゃないもんっ!!」

 

 「そ、そうだ。私も彼の身元を保証する。邪精使いなんてそんな」

 「そんなおとぎ話いつまて言ってるんだっ!! いい加減にしなさいっ!!」


 「だが他に何が原因で家畜がああなるって言うんだよっ!!」

 「あんな死に方……。絶対にありえないっ!!」


 「あれはリャナンシーがやったんだっ!! そうに違いないっ!!」

 

 う――ん。どうやら彼らは凄く興奮している様子。

 家畜が殺された……。何かの事件なのだろうか?


 「地元の治安組織に連絡などはしたんですか?」

 「ああん? 奴等がこんな事で動く訳ないだろっ!! 殺人と盗み以外は我関せずだっ!!」


 ああ。あまり深い捜査はしてくれないのか。

 謎の家畜殺害事件。


 そして、その第一容疑者にされている自分……。


 これって。これって……。

 ちょっとしたサスペンスなのではっ!?


 おおっ!! こういうドラマ、結構好きなんだぞっ!!

 2時間ドラマだっ!!

 ふむふむ、こういう時疑われている俺がする事は……。

 

 「ともかくっ!! 貴様をしょっぴいてやるぞ邪精使いめっ!!」

 「縛り首にしてやるっ!! お前なんかっ!!」


 「実はですね」

 「ああんっ!?」


 「実は私、冒険者ギルドから頼まれた調査人でして」

 「ああん? なんだって?」


 「今回の事件を解決する為、あちこち回っているのです」

 「はぁ?」


 「彼女が持つ血は、家畜の血ではなく実はウチに出たネズミの血なのです」

 「はぁ? なんだ貴様嘘を付くなっ!!」


 「実は、私はその血を使って「犯人」の怪物を追い詰め、退治しようとやってきた……」

 「私は、そうっ!! 冒険者ギルドから派遣されたモンスターハンターっ!!」


 「不敵なニートとは俺の事っ!!」

 「ご安心ください皆さんっ!! この難事件っ!!」


 「この私がマルっと解決して差し上げますっ!!」


 「…………………………」

 「…………………………」

 「…………………………」

 「…………………………」


 「はぁ?」


 こういう時こそ自分の足で稼ぐっ!!

 疑われているからこそ、その疑いを自分で晴らさねばっ!!


 よーしニート探偵。


 ただいま出陣だ――っ!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ