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魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
悲哀っ!! 正社員激闘編っ!!

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第102話 ぶい……。ぶい、なんだって?


 「やぁやぁニートさん。あんな可愛いお知り合いが居たなんて罪な事だわねぇ」

 「春美博士。どうも。何か御用で?」


 春美博士が来た。良かった。やっぱり生きていたようだ。

 「ロード」されたような感じはない。彼女はまだ「最初」の彼女だ。

 無事で良かった。たかしくんばかり気にかけていたから不安だったのだ。

 

 「春美博士、生きていらしたんですね。またお会い出来て嬉しいです」


 彼女には悪いけど。

 もう俺が彼女の助手を続ける事は。


 「テレビの件だけど」


 ん。


 「新政府の動きは早いわ」


 新政府。やはり議会は占領された。

 戦時統治が始まる。ううう……。また堅苦しい事始めそう。


 「今はまだ法律の整備が出来てないから人を送って回収するに留めてる」

 「でも2、3日もしたら本格的に行動を始めるわ」


 本格的に。


 「全国からテレビと回収と破壊を命じるつもりよ」

 「もうこの世にテレビという存在がある事も許さない」


 「ノア地区の被害はそこまでだったんですか?」

 

 「100万人以上死んだ。一地区に人を集めすぎたわね」

 「避難の為にビルを下げたけど、そのビル内部にテレビがあったから小型種に大勢殺されたわ」


 「そう、ですか」


 「その中で無事救出されたのが2人。救ったのは私が作ったウォーカー」

 「残党怪獣を30体以上撃墜し、スポンサーの社長令嬢と社長本人の命を救った」

 

 「私の評判はそりゃあうなぎのぼりよ。臨時司令様からも感謝状を頂いたわ」


 「ウォーカーにはそれだけのポテンシャルがあります。アレは良い物です」

 「そうね。私もそう思うわ」


 「でも」


 「アレはパイロットの腕もあったと思うわ」

 「他の人じゃあ、あれほどの活躍は出来なかったでしょうね」


 「ねぇ?」


 「英雄さん」


 あら。


 「それは」

 「ありがとうございます」


 まぁ、うん……。


 褒めてくれて。

 嬉しい。


 なぁ。


 「…………………………」


 「それで」

 「それで」


 あら、言葉が被った。

 ふふふ、こんな事もあるもんだねぇ。


 「それで」


 せっかちなのだろう。春美博士から話始める。


 「それで」


 うん?


 「それ、で……」


 あら。


 「どうかしました?」

 

 

 「…………………………」



 博士が黙ってしまった。

 俺に。


 何か言いたい事でもあるのだろうか。


 「あんたは」


 「はい?」

 「あんたは……」


 「はい?」


 随分言い淀んでるな。

 何か。


 言い辛い事でもあるのかな。


 それって。


 さて。

 なんだろう、か。


 「テレビ」


 はい?


 「もうテレビは使えないわ」

 「使えない、ですか……?」

 

 「そこにある。それだけで許されない」


 それはさっき聞きましたよ。博士……。


 「だから」

 「あのゲームは、もう出来ないわよ」


 「……………………」

 「そう、ですか」


 テレビの存在を許さない。

 マリスは人の生活の一部から恐怖をねじ込ませてくる。


 スマホの件もそう。昔は猫も杓子も使っていたけど。

 今はもはや忘れられたアイテムだ。


 あれでもうだいぶ死んだから。

 テレビもそうだったんだけど、流石にみんな娯楽が欲しかった。

 みんな大丈夫だと思ったんだろうなぁ。


 俺もそう思ってたけど。


 「いずれテレビを所有するだけで罰せられる未来が起こる」

 「プロジェクターの画面すら取り締まる気だわ。つまり映画も駄目って訳」


 「世知辛い世の中が来るわ。反対派も居るには居るけど」

 「ノア地区の被害状況を言われたら何も言えなくなる。人口の4分の1を失ったらね」


 「だから貴方は異世界にはいけない」


 「残念な事だわね」


 うう……。


 それは、色々困る。

 異世界に行かなきゃあ……。


 マリスを。


 「でも」


 うん?


 「でも、抜け道は用意出来るわ」

 「抜け道、ですか?」


 「そう」


 博士が床に何かを置いた。

 これは?

 

 「網膜投射型VR端末よ」


 ぶい。なんだって?


 「VR。つまりバーチャルリアリティーの略」

 「ぶいあーる? えっと、博士?」


 「これは「画面」を介在させない網膜スキャン型のVR装置よ」

 「網膜に直接映像を転写させ映像を直接目に映す」


 「これならテレビは必要ないわ」

 「ちなみに画面共有も可能。同じの2つ作ってきたから」


 博士は先程と同じ装置を手に持っていた。

 VR装置。これが。


 「3Dプリンターで作ったの。これくらいの物ならささっとね」


 VR……。


 使える。

 かな?


 俺はとりあえず付けてみた。


 とりあえず使い方が分からなかった。


 「ほら、そこの横のボタンを押すのよっ!!」

 「横? 横ってどっちですか?」


 「右よ右っ!! ほら、そこのスイッチっ!!」

 

 右のスイッチ。これか。なんかボタン小さいな。

 もう博士ったら。もっと大きいスイッチにしてくださいよー。


 なんて茶番はともかく。

 VR……。


 行ける、か?


 俺はスイッチを押して、そのVRとやらを。

 試してみる事にした。

 

 一瞬目に赤い光のようなものを見える。

 それから。


 画面が、現れた。


 そこには。


 「え……?」

 「な、なにっ!? 失敗したのっ!?」


 博士が焦ったような声を出しながら俺の肩を揺らす。

 上手く行かなかったと思ったのだろう。


 いや。


 装置は上手く起動した。

 そこにはアンデールがあった。


 成功だっ!!

 成功した、けど……。


 そこには。


 そこには多数の死体が転がっていた。


 死体。死体。死体。アンデールのその床は真っ赤に汚れ。

 一面にはかつて人だった存在が無数、転がっていた。


 見渡すと、アニエスさんらしき死体もある。

 その服装に見覚えがあった。首はなかったけど。


 アデルバート氏の死骸も。彼の衣服は特徴がある。

 貴族の衣装を着て四体は、無事だ。

 しかしその内の一体。首だけが無くて……。


 「ほぅ、ようやくお出ましか」


 声が聞こえる。何者だ。声がする方。石畳広がる大広間。

 その横にある螺旋階段。


 その上に。

 大鎌を持った男が座っていた。


 「あんたが来るのを待ってたぜ「英雄」さん」

 「俺は魔王軍幹部が1人。エクゼキューターのアザゼル」


 「あんたを倒しに来た」


 「今後の魔族の発展の為」



 

 「英雄、貴様を殺す」

 

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