112 夢のラーメン作り Vol.2
今回は麺作りになります!
今回、ミーグさんにもらった牛骨はおよそ8キロ。出来高としては25人前ちょっとといったところだ。
それを踏まえて、麺は130g×30人前で約4キロを作ることにする。
まずは小麦粉の量を考えよう。
加水率は40%にしておく。
小麦粉が2800gあれば、1120gの水が必要になる。だいたい4キロだ。
だいたいでいいんだよこういうのは。
これまでの経験で、大体の量はわかる。
『加水率は1%違うだけで世界が───』なんてことを言ったかもしれないが、そもそもこの世界に、精密に重さを測る便利な計量機器がなかった。
とはいえ、天秤とおもりがあったので、それを使って重さを測ることにする。
まずは、測り終えた水とかんすいを混ぜる。
かんすいは、使用する小麦粉の約1%を混ぜれば良いので、今回は28g使用する。
粉状のかんすいは、水に溶けにくい。コツとしては、少しずつ溶かし入れ、泡立て器のようなもので混ぜることだ。
菜箸などで混ぜていては、かんすいが溶けないことが多い。
「よし」
───サッ
─────シャカシャカシャカ
次に塩を加え、再び混ぜる。
塩も、かんすいと同じ量だ。
コツはないよ。塩は一気に入れても問題ない。溶けるから。
コツというか、順番を間違えて先に塩を入れてしまうと、かんすいが余計溶けにくくなるので注意してね。
今回のような高加水の場合は水が多いのでなんとか溶けるけど、低加水になるとなかなか溶けなくなる。
卵を使う場合は、ここで卵を入れる。
今回は卵は使わない。
お次は小麦粉だ。
おそらく2800gあるであろう小麦粉に、今混ぜた液体を加える。
最初は箸で、水分を行き渡らせるように、ほぐしながら混ぜる。
しばらく混ぜると、だんだん重たくなってくるので、力を抜いて、手で混ぜる。
この際気をつけるのは、ここの段階ではまだ捏ねてはいけない。
今おこなっているのは、水分を全体的に行き渡らせることだ。
ここで捏ねてまとめてしまえば、水分を含む場所と含まない場所に、どうしてもバラつきが出てしまう。
水を含んでダマになっている生地をできるだけ細かく引きちぎり、底の方に粉状の小麦粉が溜まっているので、それを下から上に持ち上げ、引きちぎった生地とひっつけるようなイメージだ。
長年の経験だよこれは。
水を含んだ小麦粉は卵を入れてなくても黄色みがかる。
水を入れて間もなくは、この黄色みがかった水っぽい生地の部分と、水を含んでいない白っぽい小麦粉そのものの部分に分かれている。
これを、全体が同じ黄色みがかった色になるまで、ひたすらと「ちぎっては粉とひっつける」という作業を繰り返す。
すると、全体がパラパラとした、均一な生地になっていく。
小麦粉のような粉っぽいものではなく、しっとりした粗いパン粉のようなものになる。
これが、捏ねていいよという合図だ。
「どうせ捏ねるなら最初から捏ねればいいじゃん」と思うかもしれないが、本当にダメだから。何度も言うよ。
これだけは強調しておく。
ある程度捏ね終わりひとまとめになったら、乾かないように気をつけながら30分ほど寝かせて、次は足で踏む。
清潔な布を敷き、その上に生地を乗せ、さらにその上から清潔な布を敷く。
あとはひたすらと踏んでいく。
とはいえ、踏む際に気をつけることも実はあるんだよ。
さっき何度も言ったように、しっかり全体に水分が行き渡るようにしておかないと、ここで踏んだ時に、水分の少ないところからボロボロになってしまう。
これは多加水であっても、注意が必要なことだ。
あとは、どうしても端っこの方はボロボロになりやすい。
多加水の場合はマシだけど、33%くらいを下回ってくると、どれだけさっきの工程をやってても、多少はボロボロになってしまう。
そういう場合は、端の部分を中に折り込んだりして、なるべく端を綺麗にしてやる。
などなど、いろいろ気をつける。
ある程度踏めたら半分に折り畳んで、再度上から踏む。
これは、コシを生むために必要なことだ。
コシとは、生地が重なり合って薄く伸ばされ、負荷がかかることによって生まれてくる。
私は普段、足で踏むとき全部で2回折り畳んでいたので、とりあえずはそれに従って同じことをもう一度繰り返す。
「ふぅ〜〜。つかれたぁ〜」
これ、結構疲れるんだよね。
ももあげした時もそうだったけど、なぜかこういう時はちゃんと疲れる。
私の身体はどうなってんのよ。
とはいえ今回は多加水だから、生地は多少柔らかい。
低加水で、強力粉の中でもより硬い小麦粉を使えば、もっとしんどくなる。
私がこの世界に来る直前に食べたラーメン三郎で使われている麺。
まさしくそれが、低加水かつトップクラスに硬い小麦粉だ。
あれを自作しようもんなら、正直女子の私では厳しいレベルで硬い。
「じゃあ次は…」
ここからは、本来なら製麺機を用いて圧延、複合圧延をしていく。
しかし、この世界に製麺機はない。
だって麺がないんだもん。
ナンはあるのに麺はない。おかしな話だよ。
仕方ないので、私の脳筋魔法でどうにかする。
まず、原動力となるのは風魔法だ。
次に、土魔法でローラーを2つ作る。
麺を圧延する上で重要なのは、ローラーを使うということだ。
ただ単に上から圧力をかければいいってもんじゃない。
厚さは今の生地より少し薄いくらいの間隔にし、2つのローラーを風魔法で浮かせる。
見た目は、ただ宙に浮いたローラーだ。
四角く踏んでおいた生地を縦長に4等分にし、長方形型にする。
1つずつローラーに挟み、風魔法を使いローラーを回転させ伸ばしていく。
くぅぅぅ〜〜っ!!!
念願の圧延を前に、私にはなんの言葉も出ない。
感動だよ。
4枚の生地が伸ばし終わる。
次は、ローラーの間隔を少しだけ広げ、2枚重ねて再びローラーをかける。
複合圧延だ。
これが、コシを生む最も重要な工程だ。
同じように、残りの2枚も1つに重ね、複合圧延していく。
出来上がった2枚の生地よりも、また少し薄いくらいの間隔にローラーをセットして、それぞれをまた圧延する。
もう一度、また間隔を薄くし圧延する。
そしたらまたローラーの間隔を少し広げ、2枚を1つに重ね、複合圧延する。
こうして1枚の、長方形型の生地が出来上がった。
これを再び少しずつ薄く伸ばしていき、完成だ。
複合圧延の工程により、生地が4枚重なっている状況になっている。
ここからさらにもう何回か複合圧延する場合もあるが、今回目指している麺はここまでで大丈夫だ。
この出来上がった生地、まぁ麺帯っていうんだけど、これを乾かないように布を被せ、再び1時間ほど寝かせる。
かれこれ1時間が経過した。
あとはカットだ。
これはもう、私の風魔法で一発よ。
まずは麺の長さを決める。本来は30センチ程度なのだが、後で手揉みするので、それよりも少し長めにしておく。
最後に、幅は2.8ミリほどかな。
よしっ。
─────スッッ!!!!!
─────サァァァァッ!!!!
「うぉぉおおぉぉおぉぉーーーっ!!」
「はしゃぎすぎじゃ」
麺、できたよ。
というわけで、こんな感じですw
次回は返しと呼ばれるものを作っていきます!




