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110 学院のとある放課後


 午後の授業が終わり、私たち5人は私の家へと向かう。

 私の家ということは、つまり城なんだけどね。

 そういえば、シーナとセリは私の家が城の中ということは知ってるけど、メルとリィクの2人はまだ知らないんだった。


 先に言ったら絶対来そうにないなので、城の入口の前でネタバラシしよう。

 もし入口の前であたふたしてたら、転移すりゃいいよね。


 始めから転移しちゃってもいいんだけど、なるべくこういう時に転移は使いたくない。

 元いた世界ではぼっちだったから、みんなで喋りながら下校するのが楽しみでもある。


 我ながら悲しい前世だ。


「じゃあいこっか!」

「おーっ!」


 シーナだけ心の底からノリノリだ。


 他のメンバーは覚悟が決まったのか、楽しそうな表情をしているも、どこか落ち着きがない。


「セリに至ってはそんなに緊張する必要ないじゃん。面識あるんだし」

「わたしあの時何か失礼なこと言ってなかったっけ……」

「ブフッ。そんなこと考えてたの」

「わ、笑わないでよ! リンの感覚の方がおかしいから!」

「私は普通だって」

「「「「 それはない 」」」」


 4人から論破された。

 何も言い返せないよ。


 そんなことを話しているうちに、王城の入口に着いた。

 元々、学院と城は併設されているような感じだ。あっという間に着く。


「リン? こっちは城しかないよ?」

「そうだよ?」


 メルの顔に「?」が浮かんでいる。

 リィクも「もしかしたらフレア様を迎えに来たということか?」と言っている。


 惜しいね。

 もちろん、今から迎えに行くよ。


「そういうこと。じゃあ入ろっか」

「入ろっか、って、入れるの?」

「当たり前じゃん」

「そうよ? あたりまえじゃない」


 私の言葉に、シーナが被せてきた。

 続けて何か言い始めた。


「リンのあのすごい、なんだっけ、国家魔法…魔術…? なんとか級魔術師? のおかげ」

「リンすごい…」

「ばかっ!! ちがうからっ!!」

「ちがうのっ!?」


 ほら、メルが勘違いするからやめてよ。

 この子はこういうの信じちゃうからダメだって。


 その様子を見たシーナは笑っている。

 セリも、これから起こるであろうことを考えているのか、緊張がほぐれて笑顔になってきている。


「いくよっ!」

「あ、え、まって─────」


 メルが何か言っていたが、いつまで経っても城の前でしゃべってるのも迷惑だ。さっさと入ることにする。


 門を通る時、私はもちろんだけど、シーナとセリも最近では顔パスだ。

 まぁ私とシーナの場合は、ここ家だけどね。


 それはそうと、今日はメルとリィクもいる。

 一応2人の身分を確かめてもらう必要もある。


 門番の顔を見ると、見たことある顔だ。


「あっ、グレンさん。私たちのカード、確認いりますよね?」

「どうしましょう。リン様のカードには国王からの刻印が押されてありますので、リン様が連れてこられた方であれば信用に値するため、わざわざ我々が確認する必要はないことになっております」

「あ、そうなんですね。この2人、私たちと同じクラスの子で、そんな危険な要素全くないので私のお客さんということで通してもらえますか?」

「わかりました」


 すると、王城への入口に通じる、ごっつい門が開かれる。


「「 ………? 」」


 いつまで固まってんのよ。


「ほら! メルもリィクも! いくよ!」

「リン…?」

「リンだよな…?」

「えっなに」

「リンって王族なの?」

「ちがうから、はやくして」

「ちがうのに、入れる…? リン()…? だけどリンの役職とは関係ないって…。刻印…? グレンさん…?」


 ダメだ。メルが正気を失っている。


「とりあえず入ったらわかるから! いくよっ!」


 メルの手を引っ張り、半ば強引に城の中に入る。


 しばらく歩いていると、フレアの部屋の前まで着いた。


「フレアー!」

『リンさん!』


 するとすぐにフレアが出てきた。


 ていうか、もうここでよくない?


「ねぇフレア。私たち、フレアの部屋は使っていいの?」

「もちろんいいよ。わたしの部屋でいいなら! 何もないけど…」

「フレアがいいなら、もうフレアの部屋でいいじゃん」


 私の言葉にリィクの足が震えている。

 その横にいるメルの思考は……うん。どこかに行ってしまっている。

 セリは、うん。なんやかんやで大丈夫そうだ。


 流れるようにフレアの部屋にお邪魔する。

 

「ふぁ……あぁ………ぁー」


 メルの目が宙を見ているよ。

 

 


 その後、仲良くなるきっかけとして、私が土魔法を使ってトランプを作ったのだが、思いの外、高評価だった。

 私の知っているルールはせいぜい4〜5種類ぐらいしかなかったけど、十分楽しんでくれたみたいだ。


 個人的にはオセロや将棋よりも、麻雀を作りたいところだね。

 暇ができたら作ってみようかな。

 

 さて、最初はメルもリィクもぎこちなかったが、途中から慣れてきたのか普通に楽しく会話も交えていた。


 今更ながら、友達が増えるというのはいいことだ。

 自分の周りに友達がいればいいと思っていたけど、自分の友達と友達がつながって友達になってくれれば、もっと良いということに気がついてしまった。

 賛否両論かもしれないけど。


 本当は、フレアの家族と一緒に食事の予定だったけど、いきなり国王と食事はさすがにみんな嫌そうだったので、私たちだけの食事部屋を用意してもらうことにした。


 フレアに頼んで執事さんにそう伝えてもらうと、フレアが言うには、執事さんは最初からそのような手筈で整えていたらしい。


 恐ろしいよここの執事さん。


 

 さて、そうこう楽しんでいるうちに、時刻は夕方だ。

 みんなで食事をする頃には、完全に友達(?)になった。


 めでたしだね。


 ちなみに食事をとっていると、扉の向こうから「少しぐらい構わんだろ! 愛しい娘の友人なんだ!」「あなた! いけません! 早くこっちに来なさい!」「あ、ちょっ! ま!」「ちょっと! グレンも手を貸して頂戴!」「はっ!」「ま、まっ─────」


 なんて会話が聞こえてきた。


 私は学んだ。


 あまりにフレンドリーなのは、時として人を傷つけることがあるんだってね。

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[一言] 執事さん恐るべし。
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