104 食を追い求めて
チーズの生産地に向かっている道中、いろいろなことを考えていたが、シーナに「そんな思い詰めた顔しないでほしい」と言われたのでやめた。
私、そんなに顔に出やすいの…?
シーナとテアと話しながら移動していると、そろそろ教えてもらった村に着く頃だ。
「そろそろ降りた方がいいかな?」
「そうじゃの」
「わかったわ。あとはみんなで歩いて行きましょう」
いきなり村に上から女の子2人とドラゴンが降ってきたら困るからね。
村から徒歩5分ほどのところに降り、認識阻害を解く。
この村は、王都や街からはかなり逸れた場所だから、多少村に近い場所で認識阻害を解いても問題ないはず。
王都や町の近くでは、認識阻害を解いた瞬間に遠くから誰かに見られている可能性が高い。
もちろん、探知魔法を使えば人がいるかどうかはわかるだろうけど、探知魔法はなるべく使いたくない。
なぜかって?
この間、ふと『これ、やってることストーカーじゃん』って思ってしまったからだよ。
さてと、歩いてる途中で魔物に付き纏われるのも嫌なので、魔力を適当に外に撒き散らしておく。
歩いてると、ようやく村の入り口に着いた。
かなり田舎なのか、見渡す限り人がいない。
「なんか静かすぎない?」
「もしかして場所間違えたのかしら」
それくらい人がいない。
外で農作業してる人や家畜の面倒を見ている人がいてもいいはずなんだけど…。
うーん。
「とりあえず村に入ってみて、回ってみようか」
「そうね」
村に入る。
テアには一応私の中に入っていてもらうことにする。
「とりあえずあの家を訪ねてみれば誰かいるかも」
私たちは一つの家の前に立った。
結構でかい。
ノックをして「すみません」と声をかけてみるも、返事はない。
探知魔法…うーん……。
もう一度声をかけてみようかな。
「すみませーんっ!」
今度は少し大きめの声を出してみる。
─────ガサッ
何やら音が聞こえた。
─────ッ
その直後に何か声が聞こえた。
「ねぇ今何か聞こえた?」
「う、うん……それに……」
誰かいるの…?
けど、誰も近づいてくる気配はない。
誰かいるのに、気配がない…?
この村、もしかして………
訳アリの………
……ごくっ。
「ねぇ何か嫌な予感がするんだけど。シーナ、お、お願いね」
「わたし、その、こ、怖いのは、ダメなの…よ…」
「ちょ、ちょっと! 私もなんだけど!」
どうやらシーナもビビってる様子だ。
心霊系はさすがに無理だよ、私も。
け、けど、クシミルさんが来るぐらいだ。
だ、大丈夫な…
─────ギィッ…
「「 ひぃぃっ!? 」」
扉が少しずつ開く。
自然と私とシーナが手を握りあい、身を寄せる。
シーナも心底ビビっているのが伝わってくる。
ふ、普通に考えて、そ、そんなわけな─────
( あなたたち、何をしているの!? )
「「 ヒィッっっ!? 」」
いきなり扉の奥から人が出てきて、かなりの小声で驚かれた。
小声なところが余計にびっくりするからやめてよ!
(あ、あの…)
(2人とも! もういいから、中に入りなさい! 早く!)
な、何が起こってるの?
とりあえずお姉さんに従い、シーナと建物の中に入る。
「ここを登ってちょうだい」
はしご?
なんで家の中にはしご?
階段もあるようだけど………
「あの…」
「あなたたちがどこから来たのかはわからないけど、説明は後よ。とりあえず早く」
「わかりました」
本当に急いでる様子だ。
ここで変に駄々をこねても仕方ない。素直に従うことにする。
はしごを登ると、すぐにはしごを引き上げ、誰も登れないようにしている。
上には人が50人ほどいた。
それも、部屋ではなくて食料倉庫のようなものだ。
「あの、こんな時にすみません…」
「いいのよ。あなたたちよく無事だったわね」
「えぇっと?」
「魔物よ。見てないの?」
「あぁ、えぇっと…確かにちょっとはいましたけど…」
空飛んできたから魔物なんて見てないよ。
「穴は見なかった?」
「「 穴? 」」
なんのことだろう。
「意識できるような穴は見ませんでしたけど…」
「ねぇお爺ちゃん。どういうことだと思う?」
お爺ちゃんとやらが顔をしかめている。
お爺ちゃん……? そんな歳には見えないけど…。見た目は40代後半だ。
「お嬢ちゃんたち。俺はこの村の村長をしておる。ミーグという」
「初めまして。リンといいます」
「シーナです」
「どうしてこの村に来たのか聞いてもよいかな?」
「チーズを買いたくて。クシミルさんという王都の料理人さんに教えていただいてきました」
「なんと。それは有難いことだが、今は無理なんだ…」
まぁ、何事もなく平和な状況じゃないことはわかるよ。
すると、シーナが戸惑いながらもミーグさんに質問する。
「あの、何かあったのでしょうか?」
「穴を見とらん上に、実際にこうして生きておるんだ。おそらく2人は奇跡的に生きておる」
「「 ……? 」」
私とシーナがお互いの顔を見つめ合う。
『わたしたちテアの上に乗って来ただけだよね』
『そ、そうだけど、この人たちはそのこと知らないし…』
『もう少し聞いてみるわね』
シーナがもう少し聞いてくれるそうだ。
「あの、穴というのは…」
「地中から魔物が現れてな。そいつが出入りしておるんだ」
「「 地中から魔物? 」」
ワーム…?
けどその類ってことだよね…。
やべ、私無理な気が…。
「だからこのような高い場所に避難されているのですか?」
「その通りだ。奴らは集団で這いずり回ってくる。階段もだ。だが壁は無理なようでな」
なるほど。だからはしごを使ってこんなところにいるのか。
「ミーグさん、村の人たちは無事なんですか?」
「ここにいるもので全員だ。助けを求めに行ったものも合わせて5人ほどは、やられてしまってな」
遅かったか。
「どうやら地面を歩く音に反応するようでな。ここから動けんのだ。なぜ2人がここまで来れたのかはわからん」
「そ、それは…ほんと偶然助かってよかったです」
『魔物に遭遇したくないから、魔力撒き散らしてました』なんて言えない。
我ながら白々しいよ。
ともあれ、今すぐ討伐したいけど…
虫は無理だよ…。
よし、ここはシーナに任せて…
「リン。じゃんけんよ」
チッ。やっぱりそうなったか。
シーナも虫は苦手なタイプだ。セリはいけるらしいけど。
私が2人にじゃんけんを教えたことで、こういうことを決めるときはじゃんけんをすることになっている。
「「 じゃんけんポンっっっ!!!! 」」
─────負けた。
「じゃあわたしはここを見ておくからリンは行ってきてくれるかしら」
「ぅー」
「じゃんけんは絶対よ。ふふ」
「仕方ないな! もう!」
転移すれば騒ぎになりそうなので普通に上から飛び降りた。
「ま、待ちなさい!」
放ったらかしにしてた村の人たちが、私を止めようとする。
が、それをシーナが止める。
「そういうのは大丈夫ですから。リンは強いですわよ」
『シーナあとはお願い』
『仕方ないわね。頑張って誤魔化すわ』
「だ、だけど! さすがに女の子1人じゃ…!」
「まぁまぁ落ち着いてくださいな」
なんとも頼もしい。
それに、私にはある作戦がある。
今日から日曜日も1話投稿にしようと思います〜〜!すいません、、、
最近少しバタバタして続きが書けてなかったんですけど、毎日投稿はなるべく続けられるよう頑張りますのでよろしくお願いします〜!




