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第三十五話 「嘘みたいだろ、死んでるんだぜ」
映写機横の狭い休憩室。
映写機音と、モールの館内放送が混じり合う。
特別なんて、どこにもないように感じる。
「でもね、私は美食家、食べれば元気になるのよ。」
「この世界のすべての食材に感謝を込めて、いただきます。」
先輩が、私のお弁当を覗き込まない。
あれ?
先輩?
どうしたの?
ちょい、泣いてる?
「どしたんすか?」
「館長……」
「館長?今日は珍しく休みでしたね?」
「知らないのか?」
「え?」
「……嘘みたいだろ、死んでるんだぜ。」
「タッチか!いや、不謹慎ですから。」
先輩が、全然笑ってなかった、何でだろ?
次の日も、館長は来なかった。その次の日も、その次も……
本社から派遣されてきた館長代理の女性に、思い切って聞いてみた。
「あの、館長はどうしたんですか?」
「え、聞いていないの?」
「え……死んだんですか……」
「個人情報だから、全部は言えないけど、死んではいないわ。でも、もうここに来ることはないと思うわ。」
私は、何も言えず、立ち尽くした。




