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第三十話 「やっぱりレモンティー」

映写機横の狭い休憩室。

映写機音と、モールの館内放送が混じり合う。

特別なんて、どこにもないように感じる。


「でもね、私は美食家、食べれば元気になるのよ。」

「この世界のすべての食材に感謝を込めて、いただきます。」


先輩が私のお弁当を覗き込む。


「お前のフルコースの『メイン』俺が食っていいか?」

「釘パンチ喰らわしますよ。」

「……そうだよな。」


先輩は冷蔵庫を開ける。

何も入っていない。

ガラーンとしている。

先輩は、静かに冷蔵庫を閉めた。


「チキン食べます?」

「……いつも、勝手に食材奪っちゃうダメな先輩だったんだなぁ……」

「先輩、何で先輩の方が落ち込んでんすか。」

「そういうあんたは立ち直り早いわねぇ。」

「……あ、昨日、よそのクラスの子と歩いてたって?」

「え?」

「え?」

「ああ、雫と夕子ね。今のは素の会話だった。」

「あ、すいません。」

「い〜え〜大丈夫ですよ〜」


先輩はチキンをむしゃむしゃ食べていた。

なんか、上手いことチキンを奪われた気がする。


むしゃむしゃ


2個目盗られたし……


むしゃむしゃ


3個もいきやがった……


「ありがとう、ごちそうさま〜チキンの後は、やっぱり〜」

「レモンティー」

「よろしく、買ってきてね〜♪」


なんかパシらされてるし。

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