29/48
第二十九話 「バーロ、お前のことくらい、声聞きゃわかるさ。」
フェンスの向こうに見える滑走路。
風の音と、ジェットエンジンの音が混じり合う。
特別なことがありそうで、どこにもなかったと感じてる。
「でもね、私は期待しちゃってたわけですよ。」
「まあ、分かるよ、分かる。鉄人28号はズルいよなぁ……」
「そうなんですよ。でもねぇ……」
先輩と私は、思い出しスンってなる。
「ないわぁ最後までないわぁ……」
私たちは思い出す。
搭乗口
去り行く王くん
爽やかな笑顔
もじもじする私
私を肘でつつく先輩
急に戻ってきた王くん
スマホを取り出す王くん
「忘れてました」って言う王くん
アドレス交換!?
ってなる私
「これがママです」
ママの写真を見せられる私たち
スンってなる私たちに、爽やかに手を振って去っていく王くん
先輩と私は、思い出してスン、スン、スン……ってなってる。
フェンスの向こうで、王くんの乗った飛行機が離陸して行った。
「ママ、ママ、ママ、ママのバカヤロー!」
「ええ……あ!毛利蘭が、工藤新一から、事件を理由に断られたあと、『事件、事件、事件、事件のバカヤロー』って言ったセリフのオマージュ!」
「正解!先輩、よく分かりましたねぇ〜」
「バーロ、お前のことくらい、声聞きゃ分かるさ。」
「先輩、ラーメン食べて帰りましょ〜」
「奢りな。」




