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第二十九話 「バーロ、お前のことくらい、声聞きゃわかるさ。」

フェンスの向こうに見える滑走路。

風の音と、ジェットエンジンの音が混じり合う。

特別なことがありそうで、どこにもなかったと感じてる。


「でもね、私は期待しちゃってたわけですよ。」

「まあ、分かるよ、分かる。鉄人28号はズルいよなぁ……」

「そうなんですよ。でもねぇ……」


先輩と私は、思い出しスンってなる。


「ないわぁ最後までないわぁ……」


私たちは思い出す。


搭乗口

去り行く王くん

爽やかな笑顔

もじもじする私

私を肘でつつく先輩

急に戻ってきた王くん

スマホを取り出す王くん

「忘れてました」って言う王くん

アドレス交換!?

ってなる私

「これがママです」

ママの写真を見せられる私たち

スンってなる私たちに、爽やかに手を振って去っていく王くん


先輩と私は、思い出してスン、スン、スン……ってなってる。


フェンスの向こうで、王くんの乗った飛行機が離陸して行った。


「ママ、ママ、ママ、ママのバカヤロー!」

「ええ……あ!毛利蘭が、工藤新一から、事件を理由に断られたあと、『事件、事件、事件、事件のバカヤロー』って言ったセリフのオマージュ!」

「正解!先輩、よく分かりましたねぇ〜」

「バーロ、お前のことくらい、声聞きゃ分かるさ。」


「先輩、ラーメン食べて帰りましょ〜」

「奢りな。」

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