第二十七話 「アイスクリーム」
映写機横の狭い休憩室。
私に話しかけられて、爽やかに私を見つめる王くん。ちょっと、イケメン。めっちゃ見てきてるし。あれ?好きだったっけ?
なんか特別が、今からはじまるように感じる。
「でもね、私は、私は、私はピーナッツが好き!」
「ピーナッツ?」
「ココココ、違いますわね。ぶっ殺しますわよ。」
「私ね、私ね、私……送別会やりたい!」
「ああ、ありがとうございます。嬉しいです。」
「本当?やったー!」
先輩と私はハイタッチする。
「ココココ、せっかくなら王くんの好きな物を聞き出しなさい。」
「王くん。」
「はい。」
「何が好き?」
「アイスクリーム?」
「え?」「え?」
先輩も、私も驚いて王くんを見る。
ついに、王くんが私たちのワールドを認めてくれたのか?
私たちの仲間になりたいのか?
これから特別が本当にはじまるのか?
「ママのごまアイスクリームが大好きです。」
先輩と私は、スンってなった。
「すげよ、こいつはすげぇ……」
「不意打ち、不意打ちの天才。もう李牧。」
「李牧ではないです。」
「……李牧は知ってんのかい。」
「李牧、知ってます。七国時代の英雄です。」
「そりゃあそうか、中国だもんな。」
「マンガの方じゃなくてね。」
「マンガ?」
先輩と私は顔を見合わせた。
「無いですよね?」
「無いですわね。」
王くんは不思議そうな顔をしてる。
「じゃあ、送別会はごまアイス出してる中華料理を予約しとくな。」
「あ、中華料理、できれば嫌です。」
「え?なんで?」
「ママの中華料理以外おいしくないです。」
先輩と私は、スンを超えるスンってなった。
「この無敵感、もう蒙武じゃねえ?」
「歴戦の強者感は、廉頗クラスですね。」
王くんはすごく困った顔をしてる。
「僕、何か変ですか?」
「変じゃない変じゃない。」
「王くんは、そのまま王くんでいなさい。」
「はい。」
王くんは爽やかに笑う。
先輩と私は、王くんの横でスンーーーってなってた。




