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第二十五話 「ピーナッツが好き!」
薄暗い洗面所。
髪を乾かしてる先輩。
特別なんて、どこにもないように感じる。
「でもね、私はこの家のあるじ。少しくらい洗面所あけてくれません?」
「ちょっと待ってよ、あんたのところのドライヤー風弱くない?」
「せめて、歯だけでも磨かせて……」
「無理!髪乾かすの!」
ピーーー
乾燥機が完了を告げる。
開けると、先輩のブラウスとスカートが出来上がっていた。
「めっちゃ自分家並みに使ってるじゃないですか。」
「仕方ないじゃない、帰れなかったんだから。」
「1日くらい、洗わなくてもいいじゃない……」
私がつぶやくと、髪を乾かしながら先輩が振り返る。
すっごく眉間にシワが寄っている。
「昨日ね、あんたのこと背負ったのね。」
「……はい。」
「あんた途中から寝やがったのね。」
「……はい。」
「私のブラウスによだれたらしたのさ。分かる?」
「あの、ご迷惑をおかけしました。洗面所お使いください。」
「うん、そうする。」
私は、シュッと洗面所を逃げ出した。
私は、洗面所の外から先輩に声をかける。
「あの先輩!」
「何!」
「お詫びになんか買います!何が良いですか!」
「……アーニャ!ピーナッツが好き!」
先輩、怒ってなかった。




