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第二話 「あんたばかぁ?」
薄暗い従業員通用口。
惣菜の油と鮮魚の匂いが混じり合う。
特別なんて、どこにもないように感じる。
「でもね、私はシンデレラ。このトンネルを抜けると、お姫様になれるのよ。」
従業員バックヤードをスキップで走り抜ける。
ホール出口の前で、一度戻ってスキップし直す。
「おい、危ないぞ!」
私の後ろにフォークリフトが迫っていた。
私は、空パレットの上に派手に転んだ。
「黄色い線の中に入っちゃダメだろ。」
「すいません。」
フォークリフトが、私の後ろで、ピーピー音を出しながら仕事をしていた。
私はトボトボと、ホールの中に入っていく。
まだ薄暗いホールには、従業員もまばらだった。
手の平から、血が滲んでいる。
「……あんた、ばかぁ?」
私は螺旋階段を登って、2階シネマに向かう。
階段の上から眺める景色は、いつもと変わらなかった。
「どこまでいっても明日はある。」
私は、少しだけ笑顔になった。




