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第一話 「明けない夜はないんだから。」
雨の降る交差点。
車の匂いと雨の匂いが混じり合う。
特別なんて、どこにもないように感じる。
「でもね、私はシンデレラ。このスクランブル交差点を渡りきると、お姫様になれるのよ。」
青信号。
私はスキップしながら横断する。
最後まで、渡りきってから、少し戻ってもう一度スキップする。
信号が点滅して、私は急いで渡りきった。
私の後ろをタクシーが猛スピードで走り抜ける。
私のお気に入りのコートに泥はねができた。
「……コートの中なら平気なの。」
私は笑顔を作った。
「でも、涙が出ちゃう。」
私はクスリと笑う。
私は、自宅の玄関を開けた。
ガチャリ
見慣れた部屋。
聞き慣れた音。
生乾きの匂い。
私は現実に戻される。
「明けない夜はないんだから……」
私は窓の外の夜景を眺めた。
夜景だけは、いつでも綺麗な13階だ。
「外の世界はどんなに素敵か……」




