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第十八話 「忘れないでおくれ〜♪」

薄暗い映画館の座席。

スクリーンに映る役者が輝いている。

映画を見ていると、特別になった気がする。


「今日はね、私は観客。静かに見るのよ。」


今日は、月に一度のスタッフナイト。

最新映画から、リバイバル上映まで、

スタッフの好きな映画が一本だけ流されるのだ。

お客さんの帰ったあとのスクリーン。

スタッフだけで映画鑑賞。

まばらな座席は、没入感たっぷりだ。

お客さんと違って、飲食も自由。

私は、モールで惣菜を買い込んできた。

少しくらい音を立てても、誰にも怒られない。

王くんは向こうの方で、春巻き食べながら見てる。

先輩は、王くんから奪った肉まんを食べてる。

館長は、野菜スティック食べてた。


私は、右手に唐揚げ、左手にポテトフライだ。

ドリンクは、右にコーラ、左に烏龍茶だ。


じゃんけんで勝った私は、『ローマの休日』をチョイスした。

スクリーンで見たことはない。

大スクリーンで見るオードリーヘップバーンは、すごく素敵だった。


私もなれるかな。


私は、初めて映画を見た日を思い出す。

お父ちゃんに連れられて、映画館に行った。

何を見たのか、全く思い出せない。

映画のあとで、何かを歌っていたような記憶が残ってる。

それだけは、すごく鮮明に残ってた。


「……忘れないでおくれ〜♪」

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