12/43
第十二話 「ラピスラズリの高原へ」
雨がからっと上がった帰り道。
濡れた草と、私の汗の匂いが混じり合う。
特別なんて、どこにもないように感じる。
「でもね、私は雫。ラピスラズリの高原に行くのよ。」
私は、走った。
昨日の場所へ。
私は、焼きモロコシと、アジフライを持っていた。
「猫く〜ん。猫く〜ん。」
私が、いくら呼びかけても、ムーンは出て来ない。
「すいません。」
私は、急に声をかけられて、
驚いて振り返る。
聖司くんか?
お巡りさんだった……
「ああ、またあんたか。今日は何してたの?」
「ちょっと、猫を……」
「そっか、でも、野良猫に餌はあげないでね。近所迷惑になるから。」
「……はい。」
「もう、帰ってくれる。」
「あ、焼きモロコシ食べます?」
「悪いね、公務員だからさ。物は貰えないよ。」
「あ、はい。すいません。配慮が足りなくて。」
「気をつけて帰るんだよ。」
お巡りさんが手を振ってくれる。
私は、会釈しながら、帰宅した。
「この世の全ての食材に感謝を込めて、いただきます。」
私は、アジフライと焼きモロコシを平らげた。




