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第十一話 「ダメだよ!これお母さんのだよ!」

雨が降った止んだりする帰り道。

雨の匂いと、土の匂いが混じり合う。

特別なんて、どこにもないように感じる。


「でもね、私は美食屋。食べれば元気になるのよ。」


私は、手に持った袋の中の焼きモロコシを見つめた。

仕事帰り。

モールの中で、特設店がやっていた。

思わず買ってしまった。

良い匂いがしている。


「冷める前に帰〜ろ」


私は、スキップしだす、

その時だった。


「ぶにゃあ」


ダサい鳴き声が聞こえる。

声の方を振り向くと、

白くてデブい猫がいた。

明らかに焼きモロコシを狙ってる。


「ダメだよ!これお母さんのだよ!」


私は、全力でマンションまで走る。

猫はついて来なかった。

ふう、やれやれ。

ふと、気がついた。


「もしかして、ムーンだったのか……」


史上最大の失敗に、

私は、焼きモロコシをやけ食いするしかなかった。


「残さず食べるということは、奪った命へのせめてもの責任だ。」


私は、焼きモロコシの亡骸に手を合わせる。


……ダメだ。

後悔が勝っていた。


「たぶん、ムーンだったよな……」

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