4-14 ルーク式魔法特訓
表現の変更と修正をしました。
周りが落ち着いてきた。
騒然とした食堂内も、大方落ち着いてきた。
でこぼこコンビのエンタとイエンは、これから自室へと戻ると言う。別れ際に、エンタが、イエンを慰めていた。
なんだかんだで、いいコンビだよ。こういうのって、いいよね。
- ナオト。こちらへ -
ルークが、こちらを彼自身の意識の表層へと誘う。こちらは今、何かをする予定はない。それで、近くの椅子に座り、ゆったりとした体勢に整えた後、その誘いを受けた。
ルークの意識の表層に潜ると、この身体の制御ができない。流石に、呼吸や拍動などの、生理的な生命活動は働いているので、命の危険はない。それで、外見上、ぼけっとしたような状態になる。
同じく、ぼけっとしていても、突っ立っているより、ゆるりと座っている方が、見た目的に無難だよね。それから、今回は、ちゃんと魔法を意識した。
ルークの意識の表層に入る。中は、綺麗に片付けられて、すっきりとしている。この空間は、何かの結論が出たという雰囲気がする。
- 魔法の特訓をしよう。少し急いだ方が良い -
え。魔法の特訓?
- そう。君は、魔アルマジロ科の50歩を、羨ましいと思ったのだろう? それに、近い将来、町の外に出ることになる。生存するために必要なことだ -
あ。うん。生存する。こちらは、生き残って、元の世界に帰りたい。
- だが、意識体の魔素流で魔法を発動するにせよ、この身体の魔素含有総量が、余りにも心許ない。早急に魔素粒子をこの身体に補充する必要がある。まずは、これを食せ -
同時に、この食堂のイメージが、ルークの意識の表層に、ぽかりと浮かぶ。
彼の意思に導かれるまま、そのイメージを、注目する。すると、大テーブルに、それなりの量の萎びた胡瓜のようなものが、皿に盛ってあった。
あの、ひょろ長い方のイエンが食べていた、萎びた胡瓜のようなもの。
え。あれを食べるの? ああいう、野菜がひねたのって、苦手なんだけど。
- 干し長魔瓜ではない。その奥の方だ -
ルークの言葉と共に、その場所がズームアップされる。すると、干し長魔瓜が盛ってある皿の奥に、美しい模様の象嵌細工が施された壺が、陰に隠れるように、こじんまりと置いてあった。
その壺の本体部分は、白金色の金属のようにも、白地の磁器のようにも見える、不思議な色合いを見せている。
こちらは、この壺を知っている。
この壺をミランダさんが大事にしていた。それを、こちらが見つけた時、その中には、南サガラの米から取れる魔糠が入っていると、彼女から聞いた。
以前、カークが、南サガラの交渉相手の相手さんは、魔糠を目当てに米を栽培をしていると言っていた。
なので、この魔糠を手に入れるのは、とても大変だったと思う。何と交換をして手に入れたのだろう。
うん。魔糠が、貴重品なのは解る。
だけど、所詮、糠だよ? 元より、あれ自体は食べ物じゃないでしょ。そんなの嫌だよ。
- 魔糠は優秀な食料だよ。我が探索したところ、この食堂の中で、一番魔素含有濃度が高いのが、あの壺の中身だ -
うーん。……ルークが、そこまで言うのだったら、口にしてみるよ。
- では、約束をせよ。戻って、必ず食せ -
え。約束? うー。分かった。約束をする。
身体の方へと戻る。戻る時も、魔法であることを意識すると、微かに、きらりと光るものが、こちらの周辺に纏わりつくのを感じた。
椅子から立ち上がり、魔糠が入っている壺がある、大テーブルへと向かう。
うん。この壺だね。
ルークのイメージで、予め位置を確かめていたから、壺は難なく見つかった。
だけど、改めて思うと、蓋を開けてもいいのかな。これ。
美術品かと見紛うほど、美しい文様の象嵌が入っている。なので、この壺を手に取るのを躊躇う。
すると、横から気配がした。
『オメエ。どうした』
従魔長のゴンザ氏だ。イエンを叱って腹が減ったのか、食べ直しに来たみたい。
『なあ。その壺に興味があるんか。この大テーブルにあるもんは、食ってもいい。んだけんど、その壺は壊さんようにな。オイラは、中身を諦めた』
そう言って、彼は大テーブルにある食べ物を皿に取り、すぐに行ってしまった。
へ。どゆこと?
戦闘系の鰐種の筋肉質の肉体で力が強いゴンザ氏も、開けられない?
- ナオト。君は、その壺の中身を食すると、約束をした -
うん。約束したよ。だけど、この蓋は開けられないようだよ。
- その壺の文様を良く見て。文様の周辺に、魔素流が見えないかい? -
え。魔素流? それって、物質にもあるの?
- その通り。だが、厳密に言えば、物質そのものではない。物質に、特殊な模様を刻むことで、その物質の振動波が変化する。その変化した波長によって、魔鉱石が共振をする。その共振エネルギーにより、魔鉱石内部に保持されていた魔素粒子が放出される。それらが積み重なって、独自の魔素流が形成される。これが、紋様力学でいう魔力紋の正体だよ -
じゃあ。この壺は魔法の壺なんだね。この壺の魔素流の動きを見るの?
- そうだ。この壺の魔力紋は、比較的単調な繰り返しになっている。これなら、君にも、そのままの形で魔素流の動きが見えるはずだ。そうなれば、自ずから対処方法が解るだろう -
あ。特訓って、これのこと?
- まずは、この壺の中身を食せ。それが約束だ -
うー。もう。
ルークがこうなると、埒が明かない。
これは、やるっきゃないよね。
魔法の壺とにらめっこをする。
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◇何度か表現の変更と語句の修正をしました。ルークは難しいけど好きなキャラ。まだまだ覚束なくて。表現力の向上を目指して努力をしていきたいです。




