192 「ロードムービー」
こんにちは。
今回はこちらの本のご紹介を。
相変わらず辻村作品ですみません!
今回は、前回ご紹介した辻村先生のデビュー作「冷たい校舎の時は止まる」の人物たちやかれらに関連のある人物たちを中心にした、過去や未来を描いた短編集です。
とはいえ、本編を読んでいなくてもわかるようになっていますし、これ単体としても十分読めます。作家の腕ですね! すごい!
〇「ロードムービー」(文庫)
辻村深月・著 / 講談社(2011)(単行本は2010年初版)
こうしてみると、「冷たい校舎の~」から数年間があいているのですね。
短編集ですから生徒に勧めやすいのはもちろんなのですが、ミステリー仕立てであることもお勧めポイントですね。
あとがきの吉田大助氏によると、辻村先生はこの本の中の特に「道の先」という作品で、いわゆるミステリーとしての描写よりも人物たちの内面を掘り下げた人間模様に比重を移す方へ少し舵を切られたのではないか、とあります。
とはいえ「道の先」でも「冷たい校舎の~」を既読である読者にとっては隠された「秘密」がありまして、最後にそれがうっすらと明かされます。これまた読み応えがすごい!
そのほかの短編もそうなのですが、読み進んでいくと最後の最後になって「ああ、この人は『冷たい~』のあの人(あるいはその人つながりの人)なんだ!」とわかる仕掛けが色々と。
本編を読んでいてこそ楽しめる部分も多いですが、先にも申したとおりでこれ単体でも読めますし、学校図書館にあってもよい作品かなと思います。
本編では高校生である主人公たちが小学生だったころを描く最後の作品「雪の降る道」があることで、中学生の心にも届く作品になっているかなと。
いつも思いますが人物描写が丁寧で、きれいごとだけでは済まない人間を描きつつ、決して環境は甘くないけれども、ちゃんと光もある。今という時代を学生として生きている人たちのそばに寄り添ってくれるような作品の数々だったと思います。
それでは、今回はこのあたりで。





