182 「ぼくのメジャースプーン」
こんにちは。
今回はこちらの本のご紹介を。
〇「ぼくのメジャースプーン」
辻村深月・著 / 講談社(2009)(単行本は初版年2006年)
恥ずかしながら今頃読みました……。考えてみれば、私も子育てでちょうど大変な時期だったことを思い出します。この初版年だと、手に取るタイミングを完全に逸していたと思われます(苦笑)。辻村先生というと、あの「ツナグ」や「かがみの孤城」を思い出すわけですが、こちらも大変よかったです。
前回ご紹介した本では首をひねってしまったわけですが、こちらは中学校の図書館にある意味が十分あるのではないかと思いましたので、こちらにご紹介しております。
ということで、ネタばれを避けつつ少しだけストーリーのご紹介を。
主人公は小学四年生の少年「ぼく」。彼の一人称でずっと話が進むため、ずっと「ぼく」のままです。
「まさか本当に??」と思って本を見返してみたのですが、やっぱり彼の名前そのものはどこにも出てきていませんでした。これはちょっと衝撃。
さてその「ぼく」には、小学校から友達になった女の子「ふみちゃん」がいます。ふみちゃんは、幼いころからいろんな習い事をしていて、もの知りで話すのが上手で、勉強ができ、クラスのリーダー的な存在。だれとでも仲良くできて、うさぎ小屋のうさぎたちをとても可愛がっています。
ところで主人公の「ぼく」には不思議で特別な能力があります。どうやら遺伝で伝わってきたらしいこの能力を、お母さんはあまり「ぼく」に使って欲しくない様子。とても心配していて、「ぼく」が二年生のとき、はじめてふみちゃんにその力を使ってしまったときも大変叱られてしまったのでした。
さて、そんなことはありながらも平和だった「ぼく」の学校生活は、とある事件によって大変なことに。
うさぎの世話当番のために早く登校したふみちゃんが、校門の前で不気味な青年と出会います。その男は面白半分に、彼女が大切にしていたうさぎたちを惨殺したのでした。
ひどい心的ショックを受けて言葉を失い、心を壊されて心を閉ざしてしまったふみちゃんを、「ぼく」は心から心配し、犯人の男に対して自分だけができる復讐をしようと心に決めたのでした……。
あああ、不穏。小学生が主人公なのにここまでハードな内容。私も何度も涙しそうになりましたが、それでも読む手が止まらない。
「ぼく」は母親から紹介された、自分と同じ能力を持つという大学の先生に会い、どうやって犯人への復讐を果たすべきなのかを悩み苦しみながら考え抜くことになります。
この秋山先生と「ぼく」との問答が秀逸。
「自分だったらどうするだろうか」と中学生なら十分考えられるのではないかと思いますし、命の重さや意味、罪と罰との関係などなど、大切なテーマがたくさん詰まっています。
ぜひとも今を生きる若い人たちには読んで欲しいなと思う作品でした。
ちなみに、あとがきを読みますと、辻村先生は他作品に登場したのと同じ人物がリンクするという手法を取られる作家様のようで。
今回の作品に登場する人物は、辻村先生の「子どもたちは夜と遊ぶ」「凍りのくじら」「名前探しの放課後」にも登場するそうです。これは読んでみなければ!
ではでは、今回はこのあたりで。





