179 課題図書2026(2)
こんにちは。
今回は前回の続きで、課題図書の2冊目です。
〇「チーム・テスならだいじょうぶ」(英題:「Gut Reaction」)
カービー・ラーソン&クイン・ワイアット・共著 / 杉田七重・訳 / すずき出版(2025)
ということで、恒例ですが2冊目は海外小説。例年、中学校の課題図書はまず日本の小節、そして海外の小説、そして9類以外のテーマの書籍となっていますよね。
前回少しご紹介したとおり、大きなテーマは「クローン病」という難病です。
けれども病気そのものよりは、苦難を抱えた主人公が悩みを持ちながらも自分の夢を叶えようと奮闘する、希望のある物語だったと思いました。
それではストーリーを少しご紹介。
主人公は日本で言うところの中学二年生の少女・テス。
とある理由で転校してきたばかりですが、他人に対していきなり自分をオープンにしたり、多くの人の間でうまく立ち回ったりするのが苦手な性格であるうえ、体調の不安もあってなかなか友達ができません。
けれどもテスには、かつてトニーズ・ベーカリーという菓子店を営んでいた父親ゆずりの、素晴らしいお菓子作りの才能があります。
その才能を生かして美味しいお菓子を作り、それを持っていくことで友達づくりのきっかけをつかんだのでした。
テスの身体の問題は、テス自身もそれを人の目から隠そうとしていることもあって、なかなか他人には理解されません。「ちょっと生理が重いの」とか「食べ過ぎたみたい」「アレルギーなの」等々、他人の目をごまかす台詞が次々と彼女の口から出てきます。
実はテスは、なんのきっかけがあるとも言えないタイミングで、いきなりお腹が激しく痛くなるのです。小説の中ではその痛みが「キツツキ」とか「ヤマアラシ」とか「ナイフ」という言葉で表現されています。ときにはあまりの痛みで気が遠くなり、気を失ってしまうほど。
実の父はおらず、新しい土地で仕事をはじめたばかりの母親にはあまり頼れず、まださほど親しいわけでもない母親の新たなパートナーの男性には当然、相談できません。下の妹はまだ4歳。とても頼るわけにはいかないのです。むしろテスが妹の世話係をしなくてはならない状況。
こうした困難を抱える中で、それでもテスにはとある夢が。それは、かつて参加して決勝まで残ったことのある名誉あるお菓子作りコンテスト「ベイクオフ」に、もう一度参加して優勝すること。
実の父の問題と自分の身体の問題があって真剣勝負のお菓子作りからしばらく遠のいていたテスですが、新たな友人たちの励ましを受けてこのコンテストに参加することを決めるのでしたが……。
筆者であるカービー・ラーソン氏とクイン・ワイアット氏は、あとがきを読むと実の母子だそうです。娘のクインさんが実は本当にクローン病を患っておられ、物語中のテスの体験の多くは彼女の実体験に基づいたもの。
なるほど、描写がリアルなわけです。体調のこともそうですが、思春期の女の子がそれに直面したときの感情の動きといい行動といい、本当に説得力が凄いのです。
そして、本当のことから生まれる希望が胸を打つ作品です。
これからを生きる子どもたちが、色々な困難があっても必ず希望はある、生きていていいんだと思えるようにという作者の願いがこもった作品でした。
ではでは、今回はこのあたりで。





