177 「オズの魔法使い」
こんにちは。
今回も本のご紹介なのですが、こちらはもう語る必要もないほどの名作ですよね。
そんな名作をこの年になるまで、実はちゃんと読んだことがなかったわたくし……(苦笑)。
でも色々と思うところもありましたので、ご紹介がてら書かせていただこうかと。よろしかったらお付き合いください。
〇「オズの魔法使い」
L・F・バウム・作 / W・W・デンスロウ・画 / 福音館書店(1990)
ご存じの方も多いと思いますが、こちらは福音館書店で長年、世界の名作を集めた「古典童話シリーズ」として刊行されている本のうちのひとつ。昔ながらの懐かしい装丁の本ですよね。「クォ・ヴァディス」や「砂の妖精」、「神秘の島」や「ハイジ」「ジャングルブック」など、錚々たる作品の数々が収められているシリーズです。
こちらの「オズの魔法使い」も名作中の名作ですが、アメリカ人によってはじめて書かれた本格的なファンタジー童話。冒頭には「この物語は1899年に書かれました」とあり、アメリカでの初版年はなんと1900年です。古典も古典です。
けれどいざ読んでみると、これが本当によいのです。
なにより、読んでいる間じゅう心が穏やかに、明るくしあわせな気持ちになります。書き手がいかに「子どもたちを楽しませるために」と心を尽くして作り上げた作品かがよくわかります。
一応冒頭のストーリーを紹介しますと、主人公のドロシーはアメリカはカンザスの大草原で、おじさんとおばさんと犬のトトと暮らしている女の子。みんなで小さな小屋に暮らしていたのですが、ある日襲ってきた巨大な竜巻によって家ごと巻き上げられ、トトとふたりきりで不思議な国へ飛ばされてしまったのです。
そこは奇妙な人々が暮らす、見たことも聞いたこともない国。帰り方もまったくわかりません。それでもなんとかして故郷のカンザスに帰ろうと、エメラルドの国にいるという大魔法使いオズのいる城を目指して旅をはじめます。道中、かしこくなるために脳みそが欲しいというかかし、体じゅうをブリキに変えてしまって心臓をなくしてしまい、心臓を取り戻して愛情を感じられるようになりたいというブリキのきこり、そして百獣の王と言われていながら非常に気弱でこわがりの、勇気を欲しがっているライオンに出会い、ともに旅をするのでしたが……。
まず、こちらの本に関して言えば、アメリカでの初版本のイメージをなるべく壊さないようにと細心の注意が払われているところが素晴らしいです。的確で躍動的で本当に魅力的な挿絵が100枚以上、ふんだんに入っているので、字だけの本を読みにくいと感じている人でも読みやすいのもいいところ。それぞれの国にはイメージカラーがあって、挿絵も二色刷りながらその色で統一されているのもわかりやすい。
そして何より「行きて帰りし物語」である、ということ。
波乱万丈の冒険譚であったとしても、子どもたちに与える本というのは根本のところに「安心」「安全」がきちんと担保されていなければならない。多くの名作と呼ばれる子ども向け作品に共通する点ですが、こちらも全編を通してその信念に貫かれていました。
この原作を読まずにあのディズニー映画「ウィキッド ふたりの魔女」を先に観てしまった私ですが、やっぱり読んでおくべきだったなと改めて思いました。
福音館書店のこのシリーズは特に、小学校にはもちろんですが中学校にも置いてよい本ではないかと思います。もちろん、それぞれの学校と司書さんたちのご判断ですが。
ではでは、今回はこのあたりで。





