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第九話 「交流会」

土曜日。


夕方。


女子寮の食堂では、寮生たちが集まり交流会の準備をしていた。


「今日は楽しもうね!」


輝夜が笑顔で声を上げる。


「はい。」


雪音も静かに頷いた。


その時。


「雪音さん!」


美羽が手を振りながら近付いてくる。


「こんにちは。」


「こんにちは、美羽さん。」


三人は並んで食堂へ入った。


⸻


「それじゃあ、班ごとに料理を作りましょう!」


寮母の一言で、交流会が始まる。


雪音、輝夜、美羽の三人は同じ班になった。


「よーし!」


「頑張るよ!」


輝夜が腕まくりをする。


「西ノ宮さん。」


雪音が穏やかに声を掛ける。


「包丁はこちらで使いますので、西ノ宮さんは野菜を洗っていただけますか?」


「うん!」


輝夜は元気よく返事をした。


しかし数分後。


「あっ!」


野菜を洗っていたボウルを落としそうになる。


雪音は素早く受け止めた。


「大丈夫ですか?」


「ご、ごめん!」


「気になさらないでください。」


雪音は微笑み、野菜を洗い直した。


その様子を見ていた美羽が小さく笑う。


「息ぴったりですね。」


「そうかな?」


輝夜は照れくさそうに笑った。


⸻


料理は無事に完成した。


「いただきます!」


寮生たちは一斉に箸を取る。


「美味しい!」


「この煮物、誰が作ったの?」


「雪音さんです。」


輝夜が自慢げに答える。


「えっ、すごい!」


寮生たちから感嘆の声が上がる。


雪音は少し困ったように頭を下げた。


「ありがとうございます。」


⸻


食後。


寮生たちは自由時間となり、それぞれ談笑していた。


「雪音さん。」


輝夜がジュースを持ってやって来る。


「今日はありがとう。」


「料理も全部助けてもらっちゃった。」


「お気になさらないでください。」


「でも。」


輝夜は笑う。


「次は私もちゃんと役に立てるように頑張る!」


雪音はその言葉を聞き、静かに頷いた。


「楽しみにしております。」


「任せて!」


輝夜は胸を張る。


その姿に雪音は思わず小さく笑った。


⸻


夜。


交流会も終わり、自室へ戻る雪音。


廊下を歩いていると、バルコニーから夜空が見えた。


雪音は足を止める。


満月が静かに輝いている。


「……。」


学院へ来てから一週間。


慣れない日常。


だが、不思議と悪くはない。


そう思え始めていた。


しかし、その頃――。


一ノ瀬組本部では、雪影が静かに部下へ命じていた。


「雪音の様子はどうだ。」


「問題なく学院生活を送っております。」


「そうか。」


雪影はゆっくりと目を閉じる。


「だが忘れるな。」


「学院生活は目的ではない。」


「五条を超える力を手に入れることこそが、あいつの役目だ。」


雪影の冷たい声が部屋に響く。


その言葉を知らず。


雪音は静かな月を見上げていた。

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