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第七十二話 「秘密」

更新遅くなって申し訳ナイス!豪華三本立てで送りします!

学園祭が終わった翌日。


天女学院は、久しぶりの静けさを取り戻していた。


昨日までの喧騒が嘘のように。


廊下を歩く生徒たちも、いつもの学院生活へ戻っている。


「……。」


雪音は一人、廊下を歩いていた。


昨日のことが頭から離れない。


父との戦い。


五条会本家。


そして。


輝夜に正体を知られたこと。


「……。」


雪音は小さく息を吐く。


「どうすればいいんだ。」


その時。


「雪音。」


後ろから声がした。


振り返る。


輝夜だった。


「……輝夜。」


「少し、時間いい?」


雪音は黙って頷いた。


二人は人の少ない中庭へ向かう。


ベンチに座る。


しばらく。


輝夜は何も言わなかった。


やがて。


「昨日のこと。」


雪音の表情が固まる。


「……うん。」


「聞きたい。」


「何を?」


「あなたのこと。」


輝夜は真っ直ぐ雪音を見る。


「千夜雪音じゃなくて。」


「一ノ瀬雪音として。」


雪音は目を伏せた。


「……そうだな。」


「話すよ。」


そして。


少しずつ口を開いた。


「俺は一ノ瀬組の若頭。」


「父親は一ノ瀬雪影。」


「昨日、五条会本家を襲ったのも……父親だ。」


輝夜は黙って聞いている。


「俺は父を止めるために、あそこへ行った。」


「そして……。」


雪音は言葉を止める。


「もう、全部終わった。」


輝夜は小さく頷く。


「そうだったんだ。」


「……怖くないのか?」


「何が?」


「俺が男だったこと。」


輝夜は少し驚いたような顔をした。


そして。


「それだけ?」


「……え?」


「私が聞きたいのは、そんなことじゃない。」


輝夜は雪音を見る。


「どうして私に隠してたの?」


「……。」


雪音は答えられなかった。


「私は。」


輝夜が続ける。


「あなたのことを千夜さんだと思って、一緒に過ごしてた。」


「でも。」


「今まで一緒にいた時間が嘘だったとは思ってない。」


雪音が顔を上げる。


「……輝夜。」


「だから。」


輝夜は微笑む。


「これからは、私には本当のあなたでいて。」


雪音はしばらく黙っていた。


そして。


「……分かった。」


小さく頷く。


「ありがとう。」


輝夜は立ち上がる。


「じゃあ、教えて。」


「何を?」


「本当のあなたのこと。」


雪音は少し困ったように笑った。


「……長くなるぞ。」


「いいよ。」


二人は中庭を歩き始める。


秘密を一つ失った雪音。


その代わり。


初めて。


本当の自分を知ってもらえる相手ができた。

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