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第七十一話 「帰還」

天女学院。


戦いの後。


校内には、まだ緊張した空気が残っていた。


真昼は一輝と向かい合っている。


一輝の刀は床に落ちていた。


「……俺の負けだな。」


一輝が笑う。


真昼は刀を収める。


「もう終わりだ。」


「そうだな。」


一輝はそれ以上抵抗しなかった。


その時。


「真昼。」


紫雲が駆け寄ってくる。


「大丈夫?」


「ああ。」


真昼は周囲を見回す。


「雪音は?」


「まだ戻ってきてない。」


「……そうか。」


真昼は少し考える。


「真人は?」


「五条会本家。」


「なら、俺も行く。」


真昼は歩き出す。


「雪音を迎えに行く。」


――――


五条会本家。


しばらくして。


屋敷の外へ、一台の車が出てきた。


車内には真人と雪音がいる。


雪音は窓の外を眺めていた。


「……。」


その手には。


桜色の刀が握られている。


「雪音。」


真人が声を掛ける。


「はい。」


「学院へ戻るか?」


雪音は少しだけ考える。


「……戻る。」


「輝夜が待っている。」


その言葉に。


雪音の表情が僅かに緩んだ。


「そうだな。」


その時。


前方から別の車が近づいてくる。


「……?」


車が止まる。


扉が開く。


降りてきたのは真昼だった。


「雪音。」


「真昼。」


二人は向かい合う。


真昼が雪音を見る。


「無事だったか。」


「ああ。」


雪音は頷く。


「そっちは?」


「終わった。」


真昼は短く答える。


「一輝も、もう戦う意思はない。」


「……そうか。」


雪音は小さく息を吐いた。


「なら、これで全部終わったんだな。」


「いや。」


真昼が学院を見る。


「まだ帰ってない。」


「……。」


雪音はその言葉に少し笑う。


「そうだな。」


真人が二人を見る。


「なら行くぞ。」


三人は再び車に乗り込んだ。


――――


天女学院。


校門の前。


輝夜は一人で待っていた。


夕暮れが学院を包んでいる。


「……遅いな。」


その時。


遠くから車が近づいてきた。


「……!」


輝夜が顔を上げる。


車が止まる。


扉が開く。


最初に真人が降りる。


その後ろから。


白い髪が見えた。


「……雪音。」


雪音が学院へ戻ってくる。


輝夜と目が合う。


二人とも、しばらく何も言わなかった。


やがて。


輝夜が一歩近づく。


「……おかえり。」


雪音の目が僅かに揺れる。


「……ただいま。」


その隣では。


真昼も静かに学院を見ていた。


紫雲も後ろから降りてくる。


「やっと帰ってきましたね。」


「ああ。」


真昼は答える。


学園祭最終日。


長い一日だった。


そして。


この日を境に。


学院での二人の関係も。


少しずつ変わっていくことになる。

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