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第七話 「休日の買い物」

日曜日。


女子寮の食堂。


休日ということもあり、いつもより穏やかな時間が流れていた。


「おはよう、雪音さん!」


輝夜が笑顔で手を振る。


「おはようございます。」


雪音は一礼し、向かいの席へ座った。


朝食を食べながら、輝夜が口を開く。


「ねぇ、雪音さん。」


「はい。」


「今日、一緒に買い物行かない?」


「買い物、ですか。」


「うん!生活用品が足りなくてさ。」


「それに、街も案内したいし!」


雪音は少し考えたあと、小さく頷いた。


「分かりました。」


「ありがとうございます。」


「やった!」


⸻


昼前。


二人は電車で街へ出ていた。


休日の商店街は、多くの人で賑わっている。


「すごい人ですね。」


雪音が周囲を見回す。


「休日はいつもこんな感じだよ。」


輝夜は慣れた様子で歩いていく。


「まずは雑貨屋さん!」


店内には日用品や文房具が並んでいた。


「洗剤……歯ブラシ……。」


輝夜は買い物かごを持ちながら悩んでいる。


「どっちがいいかなぁ。」


雪音は商品を見比べる。


「こちらの方が容量が多く、お得だと思います。」


「ほんとだ!」


「雪音さん、ありがとう!」


輝夜は迷わずそちらを買い物かごへ入れた。


⸻


次に訪れたのは書店。


「私、料理できるようになりたいんだよね。」


そう言って料理本のコーナーへ向かう。


「この本どうかな?」


雪音も手に取る。


「初心者向けで分かりやすそうですね。」


「じゃあこれにする!」


輝夜は嬉しそうだった。


一方、雪音は音楽コーナーへ足を運ぶ。


そこにはバイオリンの楽譜が並んでいる。


「……。」


ヴィヴァルディ。


『四季』。


静かに一冊手に取る。


「バイオリン、本当に好きなんだね。」


後ろから輝夜が声を掛けた。


「はい。」


「心が落ち着きます。」


その表情は、いつもより少しだけ柔らかかった。


⸻


買い物を終えた二人は、商店街の甘味処へ入った。


「いただきます!」


輝夜は抹茶パフェを前に笑顔を浮かべる。


雪音は温かい抹茶と和菓子を注文していた。


「甘い物はお好きなんですか?」


「うん!」


「疲れた時は甘い物!」


雪音は小さく微笑む。


「そうなのですね。」


「雪音さんは?」


「和菓子の方が落ち着きます。」


「なんか雪音さんらしい。」


輝夜は笑った。


二人は他愛のない話をしながら、穏やかな時間を過ごした。


⸻


夕方。


寮へ戻る道。


両手いっぱいに買い物袋を持つ輝夜を見て、雪音が口を開く。


「お持ちします。」


「えっ?いいよ!」


「気になさらないでください。」


雪音は自然に買い物袋を受け取る。


「ありがとうございます……。」


輝夜は少し照れくさそうに笑った。


「雪音さんって、本当に優しいね。」


その言葉に、雪音は少しだけ足を止める。


「……そうでしょうか。」


「うん。」


「すごく優しい。」


雪音は返事をしなかった。


ただ、胸の奥が少しだけ温かくなるのを感じていた。


春の夕日が、二人の帰り道を優しく照らしていた。

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