第五九話 「共闘」
「俺を楽しませろ。」
一輝の声が響いた。
次の瞬間。
「行け!」
一輝の号令と共に、兵達が一斉に動き出す。
「うおおおっ!」
大勢の男達が、真昼と雪音へ迫る。
「……!」
雪音は短刀を構える。
しかし。
その前に真昼が立った。
「下がれ。」
「……は?」
「お前は兵を相手にしろ。」
真昼が刀を構える。
「一輝は俺が止める。」
雪音は真昼を見る。
「ふざけるな。」
「俺も一輝を――」
「今のお前じゃ無理だ。」
「……!」
雪音の表情が険しくなる。
だが。
真昼はそれ以上何も言わない。
迫ってきた兵の一人を、一瞬で斬り伏せる。
「まずはこいつらだ。」
雪音も短刀を握り直す。
「……分かった。」
二人は背中合わせになる。
「邪魔する奴は、全員斬る。」
雪音の声は冷たい。
「それでいい。」
真昼が答える。
同時に。
二人が走り出した。
――ザンッ!
雪音が一人の兵の懐へ潜り込む。
短刀が閃く。
男が倒れる。
「次!」
別の兵が襲い掛かる。
雪音は身体を捻り、刃をかわす。
そのまま腕を取り、地面へ叩きつける。
「まだ来るのか!」
次々と兵が押し寄せる。
雪音は止まらない。
しかし。
一人。
また一人。
数が多い。
「……多すぎる。」
その瞬間。
雪音の背後から刃が迫った。
「危ない!」
真昼が割って入る。
――キィン!
兵の刀を弾き飛ばす。
「後ろだ。」
「……助かった。」
「気を抜くな。」
「分かってる。」
二人は再び背中を合わせる。
周囲には倒れた兵達。
それでも、まだ残っている。
一輝はその光景を見て笑っていた。
「いいな。」
「そうだ。」
「それでこそだ。」
一輝は刀を抜く。
「二人で俺の兵を倒すか。」
「なら――。」
一輝が一歩踏み出す。
「俺も混ざろう。」
真昼が一輝を見る。
「来るか。」
「ああ。」
一輝の瞳が狂気に染まる。
「俺が欲しいのは、お前との殺し合いだ。」
真昼も刀を構える。
「なら、来い。」
雪音は真昼の隣に立つ。
「……俺もいる。」
一輝が笑う。
「そうだ。」
「白夜叉。」
その呼び名に、雪音の目が鋭くなる。
「その名で呼ぶな。」
「なら。」
一輝は刀を構えた。
「一ノ瀬雪音。」
「お前も一緒に来い。」
次の瞬間。
一輝が地面を蹴った。
真昼も同時に動く。
雪音も短刀を構える。
三人の距離が、一瞬で縮まった。
――キィンッ!!
刀と短刀が交差する。
学園祭最終日。
天女学院は。
完全な戦場へと変わっていた。




