↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/84

第五十話 「若頭」

五条会本家。


白鞘と刀が激しくぶつかり合う。


――キィンッ!!


「……やはり強いな。」


雪影が呟く。


その表情には余裕があった。


「昔から変わらない。」


「五条真人。」


真人は答えない。


ただ静かに刀を構える。


「お前も。」


「一ノ瀬も。」


「ここまで来たか。」


二人の間に、長年積み重なった因縁があった。


その時。


⸻


天女学院。


学園祭最終日。


真昼は突然、足を止めた。


「……」


空気が変わった。


さっきまで感じていた違和感。


それが、確信へ変わる。


「真昼?」


紫雲が心配そうに見る。


「五条会本家で何か起きている。」


その言葉に、紫雲の表情が変わる。


「分かるの?」


「ああ。」


真昼は目を閉じる。


父の気配。


五条会の空気。


長くその世界にいたからこそ分かる。


「一ノ瀬か。」


静かに呟く。


⸻


その時。


一人の五条会組員が学院へ駆け込んできた。


「若頭!」


「大変です!」


真昼は振り返る。


「……報告しろ。」


「一ノ瀬組が……五条会本家を襲撃しました。」


周囲の空気が凍る。


紫雲達も息を呑む。


真昼はしばらく黙っていた。


そして。


「そうか。」


それだけだった。


怒りを露わにすることもない。


ただ静かに歩き出す。


「真昼……。」


紫雲が呼び止める。


真昼は振り返る。


「大丈夫だ。」


「俺は戻ってくる。」


短い言葉。


だが。


紫雲には分かった。


これは昔の真昼ではない。


ただ敵を殺しに行く顔ではない。


大切なものを守りに行く顔だった。


⸻


一方。


五条会本家。


雪影の一撃が真人へ迫る。


その瞬間。


真人は刀で受け止める。


「……。」


互いに一歩も譲らない。


そこへ。


「会長。」


側近が駆け込む。


「若頭がこちらへ向かっています。」


雪影の目が僅かに動く。


「……真昼か。」


真人は静かに目を閉じた。


「来る必要はないと言ったのにな。」


しかし。


どこか嬉しそうでもあった。


⸻


学院。


雪音はまだ知らない。


自分が追い続けてきた存在が。


今、自分の父と五条会の戦場へ向かっていることを。


そして。


この学園祭の日が。


自分の運命を変える一日になることを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。