↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/84

第四十二話 「開戦」

一ノ瀬組本部。


広間には幹部たちが整列していた。


誰一人として私語はない。


雪影は静かに立ち上がると、床の間に置かれた刀を手に取る。


鞘から数センチだけ刀身を覗かせる。


鈍く光る刃。


再び静かに納刀した。


「行くぞ。」


その一言だけだった。


「はっ!」


幹部たちは一斉に頭を下げる。


待ち続けた日。


一ノ瀬組が長年描いてきた計画が、今まさに始まろうとしていた。


⸻


同時刻。


五条会本部。


一人の若い組員が勢いよく襖を開けた。


「会長!」


「一ノ瀬組が動きました!」


部屋の空気が張り詰める。


五条真人は静かに目を開いた。


「……そうか。」


驚きはない。


まるで、この報告を待っていたかのようだった。


「各支部へ連絡。」


「迎え撃て。」


「ですが会長、一ノ瀬組は各地で同時に——」


「聞こえなかったか。」


真人の低い声に、組員は息を呑む。


「迎え撃て。」


「……はっ!」


組員は慌てて部屋を飛び出した。


真人はゆっくりと白鞘の刀を手に取る。


「昼花……。」


静かに呟く。


「どうやら、お前との約束を守るのは難しそうだ。」


その瞳には、覚悟だけが宿っていた。


⸻


天女学院。


文化祭は変わらず賑わっていた。


笑い声。


拍手。


子どもたちのはしゃぐ声。


誰も外で起き始めている出来事を知らない。


「雪音さん!」


輝夜が駆け寄る。


「次のお客様だよ!」


「はい。」


雪音は笑顔で頷く。


「いらっしゃいませ。」


その笑顔の裏で。


雪影の命令を受けた一ノ瀬組は、各地で五条会への襲撃を開始していた。


血で血を洗う戦いが始まる。


だが。


学院だけは、まだ静かな時間が流れていた。


嵐が訪れるまで、あとわずかだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。