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第二十七話 「忍び寄る影」

火曜日。


昼休み。


「雪音さん!」


いつものように輝夜が笑顔で駆け寄ってくる。


「今日は食堂にしない?」


「はい。」


雪音は微笑み、三人で食堂へ向かった。


「オープンスクールのお手伝い、大変そうですね。」


美羽が尋ねる。


「そうですね。」


「ですが、お引き受けした以上は精一杯務めます。」


「雪音さんなら絶対大丈夫!」


輝夜は笑顔で親指を立てた。


雪音も小さく笑みを浮かべる。


そんな穏やかな昼休みだった。


⸻


放課後。


雪音は一人で学院を後にする。


校門を出た瞬間。


背後に微かな視線を感じた。


「……。」


振り返る。


だが、そこには誰もいない。


(気のせい……でしょうか。)


雪音は歩き出す。


しかし。


電柱の陰から、一人の男が雪音の後ろ姿を見つめていた。


「間違いない……。」


男は小さく呟く。


「港にいた白い髪の女だ。」


男は先日、倉庫街から唯一逃げ延びた男だった。


「見つけたぞ……。」


男は誰かへ電話をかける。


「例の女を見つけた。」


「学院から出てきた。」


「……ああ、しばらく泳がせる。」


電話は切れた。


男の口元に笑みが浮かぶ。


⸻


その頃。


女子寮。


「雪音さん。」


輝夜がラウンジで手を振る。


「おかえり!」


「ただいま戻りました。」


「今日ね、美羽ちゃんとケーキ焼いたんだ!」


「よかったら食べて!」


「ありがとうございます。」


三人はラウンジでケーキを囲む。


「どうですか?」


美羽が少し不安そうに尋ねる。


雪音は一口食べ、微笑んだ。


「とても美味しいです。」


その一言で。


美羽はほっと胸を撫で下ろした。


「よかった……。」


輝夜も満足そうに笑う。


「次はもっと上手に作るからね!」


穏やかな笑い声が響く。


⸻


しかし、その夜。


学院の外。


黒い車が静かに停まる。


中には数人の男。


「ここが天女学院か。」


「ああ。」


「しばらく様子を見る。」


男たちの視線は。


女子寮へ向けられていた。


まだ誰も知らない。


穏やかな学院生活に、少しずつ裏社会の影が近づいていることを。

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