第二十四話 「若頭の仕事」
金曜日。
放課後。
「雪音さん!」
輝夜が鞄を持って駆け寄ってきた。
「今日も一緒に帰ろ!」
「申し訳ありません。」
雪音は少しだけ申し訳なさそうに微笑む。
「今日は少し用事があります。」
「そっか。」
輝夜は残念そうに笑う。
「じゃあ、また月曜日ね!」
「はい。」
「お気を付けて。」
雪音は一礼し、学院を後にした。
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夕方。
一ノ瀬組本部。
「若頭、お帰りなさいませ。」
組員たちが一斉に頭を下げる。
雪音は軽く会釈を返した。
そのまま組長室へ向かう。
「失礼します。」
「入れ。」
雪影は窓際に立ったまま口を開く。
「今日は、お前に一つ任せたい仕事がある。」
「仕事……ですか。」
「そうだ。」
雪影は机の上に一枚の写真を置いた。
写っているのは一人の男。
「この男は、我々と長年取引のある商会の代表だ。」
「最近、敵対組織から執拗に狙われている。」
雪音は写真を手に取る。
「護衛任務でしょうか。」
「その通りだ。」
雪影は頷く。
「お前が護衛に付け。」
「敵が現れた場合は。」
一瞬、部屋が静まり返る。
「……排除しろ。」
「承知いたしました。」
雪音は迷いなく答えた。
⸻
夜。
港の倉庫街。
黒塗りの車が停まる。
雪音は白い着物ではなく、黒いスーツ姿だった。
腰には桜色の刀。
護衛対象の男が頭を下げる。
「若頭、本日はよろしくお願いいたします。」
「お気になさらず。」
「後ろへ。」
男を庇うように雪音が歩く。
その時。
「来たか。」
物陰から数人の男が現れた。
全員が刃物を手にしている。
「その人を渡してもらおうか。」
雪音は静かに刀の柄へ手を添えた。
「お断りします。」
「なら力尽くだ!」
男たちが一斉に駆け出す。
次の瞬間。
――キィンッ!!
夜の倉庫街に、刀の音が響いた。




