第十八話 「一通の手紙」
月曜日。
昼休み。
「雪音さん!」
輝夜がいつものように笑顔でやって来る。
「今日のお弁当も一緒に食べよ!」
「はい。」
雪音は弁当を持ち、輝夜、美羽と三人で中庭のベンチへ向かった。
「この前は楽しかったね!」
「また四人で出掛けたいな。」
「そうですね。」
雪音も静かに頷く。
美羽も微笑んだ。
「次は私も行ってみたいお店があります。」
「本当?」
「じゃあ今度みんなで行こう!」
穏やかな笑い声が響く。
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放課後。
雪音が教室を出ようとすると、担任の宮里蘭が声を掛けた。
「千夜さん。」
「はい。」
「理事長がお呼びです。」
「理事長、ですか。」
「ええ。」
雪音は一礼すると、理事長室へ向かった。
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「失礼いたします。」
扉を開けると、春野薫が優しく微笑んだ。
「いらっしゃい、千夜さん。」
「お呼びいただき、ありがとうございます。」
薫は一通の封筒を机の上へ置く。
「これは?」
「入学時に保護者の方から預かったものよ。」
「『学院生活に慣れてから渡してください』と言われていたの。」
雪音は少し驚く。
封筒を受け取り、一礼した。
「ありがとうございます。」
「急ぎの用事ではないから、お部屋でゆっくり読んでね。」
「はい。」
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夜。
自室。
雪音は机に座り、静かに封筒を開けた。
中には短い手紙が一枚。
雪音へ。
学院生活には慣れたか。
お前が何を学ぼうと自由だ。
だが、一つだけ忘れるな。
お前は一ノ瀬の跡取りだ。
一ノ瀬が五条を超え、頂点へ立つ。
そのために、お前は強くならなければならない。
雪影
雪音はゆっくりと紙を畳む。
「……。」
静かな部屋。
昼間、輝夜たちと笑い合っていた時間が頭をよぎる。
そして父の言葉。
『一ノ瀬が頂点へ立つ。』
雪音は手紙を引き出しへしまった。
「忘れてはいません。」
誰もいない部屋で、小さく呟く。
しかし、その表情はどこか晴れなかった。
学院で過ごす穏やかな毎日と、自分に課せられた使命。
その二つが、少しずつ雪音の心の中でぶつかり始めていた。




