第十六話 「中間テスト」
五月。
中間テスト当日。
教室には、いつもの賑やかさはなかった。
「緊張する……。」
「昨日もっと勉強しておけばよかった……。」
生徒たちは教科書を開き、最後の確認をしている。
一方。
雪音は静かに席へ座っていた。
机の上には筆記用具だけ。
「雪音さん。」
隣の席の輝夜が小声で話しかける。
「全然焦ってないね。」
「準備はしてきましたので。」
「すごいなぁ……。」
「私はもうダメかも。」
雪音は優しく微笑んだ。
「西ノ宮さんなら大丈夫です。」
「昨日、最後まで頑張っていましたから。」
その一言だけで。
輝夜の表情が少し明るくなる。
「……うん!」
「頑張る!」
その時。
担任の宮里蘭が教室へ入ってきた。
「皆さん、席についてください。」
「これから中間テストを始めます。」
教室が静まり返った。
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数日後。
テスト返却の日。
「それでは答案を返します。」
宮里が一人ずつ名前を呼んでいく。
「千夜さん。」
「はい。」
雪音は答案を受け取り、一礼して席へ戻る。
「西ノ宮さん。」
「は、はい!」
輝夜は恐る恐る答案を受け取った。
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昼休み。
「終わったぁ……。」
輝夜は机へ突っ伏した。
「どうでしたか?」
雪音が尋ねる。
「赤点はなかった!」
「でも平均くらい!」
嬉しいのか悔しいのか分からない表情だった。
「それは良かったですね。」
「雪音さんは?」
雪音は答案を見せる。
ほぼ満点だった。
「えっ!?」
輝夜は思わず立ち上がる。
「すごすぎる!」
その声に周囲の生徒も集まってくる。
「本当だ!」
「すごい!」
「転校してきたばかりなのに!」
雪音は少し困ったように笑う。
「運が良かっただけです。」
「いやいや!」
輝夜は首を横に振る。
「運でこんな点数取れないよ!」
周囲も同じ意見だった。
⸻
放課後。
寮へ戻る途中。
「約束!」
輝夜が笑顔で言う。
「テスト終わったし、今度みんなで遊びに行こう!」
「美羽ちゃんも誘って!」
雪音は静かに頷いた。
「はい。」
「私も楽しみにしております。」
その言葉を聞いた輝夜は嬉しそうに笑った。
少しずつ。
雪音にも、学院での「楽しみ」が増えていくのだった。




