第十五話 「初めてのテスト」
五月。
新学期が始まってから、一か月が過ぎようとしていた。
教室では、生徒たちが慌ただしく話している。
「もうすぐ中間テストだね……。」
「全然勉強してないよ~。」
そんな声があちこちから聞こえてくる。
雪音は教科書を静かに閉じた。
「中間テストですか。」
その隣で、輝夜は机に突っ伏していた。
「終わったぁ……。」
「まだ始まってもいませんよ?」
「そうなんだけど!」
「勉強苦手なんだもん!」
雪音は苦笑する。
「お力になれることがあれば。」
輝夜は勢いよく顔を上げた。
「本当!?」
「はい。」
「でしたら、本日放課後にでも。」
「やったー!」
教室中に響くほどの声だった。
⸻
放課後。
図書室。
雪音、輝夜、そして美羽の三人は同じ机を囲んでいた。
「じゃあ、ここ教えて!」
輝夜は数学の問題集を雪音の前へ置く。
雪音は問題を見る。
「こちらは、この公式を使います。」
分かりやすく、一つひとつ説明していく。
「なるほど!」
「そういうことか!」
輝夜は嬉しそうに頷いた。
一方、美羽も英語の問題を解いていた。
「雪音さん。」
「この文法は合っていますか?」
「はい。」
「ですが、こちらの表現の方が自然ですね。」
「ありがとうございます。」
美羽はメモを取りながら微笑んだ。
⸻
一時間後。
「疲れたぁ……。」
輝夜が大きく伸びをする。
「でも今日はいっぱい分かった気がする!」
「それは良かったです。」
雪音は静かに微笑む。
「雪音さんって、本当に教えるの上手だね。」
「そうでしょうか。」
「うん!」
「先生になれるよ!」
その言葉に雪音は少しだけ照れたように目を逸らした。
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帰り道。
「雪音さん。」
輝夜が歩きながら言う。
「テスト終わったら、どこか遊びに行かない?」
雪音は少し考える。
「皆さんがよろしければ。」
「もちろん!」
「美羽ちゃんも誘おう!」
輝夜は嬉しそうに笑った。
その笑顔を見て、雪音も小さく微笑む。
学院へ来て一か月。
気付けば、一人でいる時間よりも。
誰かと過ごす時間の方が増えていた。




