第十二話 「生徒会の仕事」
放課後。
授業が終わり、生徒たちが帰り支度を始める。
「雪音さん!」
輝夜が席へやって来た。
「今日、一緒に帰ろ!」
雪音が返事をしようとした、その時。
「千夜さん。」
教室の前から声がした。
藤田皐月だった。
「少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」
「はい。」
雪音は頷く。
「輝夜さん、申し訳ありません。」
「生徒会長に呼ばれちゃったなら仕方ないよ!」
輝夜は笑顔で手を振った。
「また明日ね!」
「はい。」
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生徒会室。
「失礼いたします。」
雪音が一礼して部屋へ入る。
「どうぞ。」
皐月は優しく微笑んだ。
「今日はお願いがあって来ていただきました。」
「お願い、ですか?」
「はい。」
机の上には文化祭で使う資料が積まれている。
「文化祭に向けて、生徒会も準備を始めているんです。」
「その資料整理を手伝っていただけないでしょうか。」
雪音は資料へ目を向けた。
「もちろんです。」
「ありがとうございます。」
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数十分後。
「終わりました。」
資料は種類ごとに綺麗にまとめられていた。
皐月は驚いた表情を浮かべる。
「もう終わったんですか?」
「はい。」
「確認も済ませてあります。」
皐月は資料を見て感心する。
「すごいですね……。」
「こんなに綺麗に整理されているなんて。」
雪音は静かに答える。
「慣れておりますので。」
「慣れている……ですか。」
皐月は少し笑った。
「雪音さんは、本当に何でもできるんですね。」
その言葉に。
雪音の表情がほんの少し曇る。
「……。」
皐月はその変化に気付いたが、それ以上は聞かなかった。
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帰り道。
校門で輝夜が待っていた。
「あっ!」
「雪音さん!」
「お待たせしました。」
「全然!」
輝夜は笑う。
「せっかくだし、一緒に帰ろ!」
「はい。」
二人は並んで歩き出した。
「生徒会長に何頼まれてたの?」
「資料整理です。」
「それだけ?」
「はい。」
「雪音さんなら、あっという間だったでしょ?」
雪音は少しだけ微笑む。
「それほどでもありません。」
「またまた。」
輝夜は笑いながら歩く。
その何気ない会話が。
雪音には少しずつ心地よく感じられるようになっていた。
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その夜。
女子寮。
部屋で本を読んでいた雪音のスマートフォンが震える。
画面には一件のメッセージ。
『無駄な学院生活を送るな。』
送り主は――父・雪影。
続けてもう一通。
『強くなれ。それだけがお前の価値だ。』
雪音は静かに画面を閉じる。
「……はい。」
誰に聞かせるでもなく、小さく呟いた。
窓の外では、雨上がりの月が静かに輝いていた。




