↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/84

第十二話 「生徒会の仕事」

放課後。


授業が終わり、生徒たちが帰り支度を始める。


「雪音さん!」


輝夜が席へやって来た。


「今日、一緒に帰ろ!」


雪音が返事をしようとした、その時。


「千夜さん。」


教室の前から声がした。


藤田皐月だった。


「少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」


「はい。」


雪音は頷く。


「輝夜さん、申し訳ありません。」


「生徒会長に呼ばれちゃったなら仕方ないよ!」


輝夜は笑顔で手を振った。


「また明日ね!」


「はい。」


⸻


生徒会室。


「失礼いたします。」


雪音が一礼して部屋へ入る。


「どうぞ。」


皐月は優しく微笑んだ。


「今日はお願いがあって来ていただきました。」


「お願い、ですか?」


「はい。」


机の上には文化祭で使う資料が積まれている。


「文化祭に向けて、生徒会も準備を始めているんです。」


「その資料整理を手伝っていただけないでしょうか。」


雪音は資料へ目を向けた。


「もちろんです。」


「ありがとうございます。」


⸻


数十分後。


「終わりました。」


資料は種類ごとに綺麗にまとめられていた。


皐月は驚いた表情を浮かべる。


「もう終わったんですか?」


「はい。」


「確認も済ませてあります。」


皐月は資料を見て感心する。


「すごいですね……。」


「こんなに綺麗に整理されているなんて。」


雪音は静かに答える。


「慣れておりますので。」


「慣れている……ですか。」


皐月は少し笑った。


「雪音さんは、本当に何でもできるんですね。」


その言葉に。


雪音の表情がほんの少し曇る。


「……。」


皐月はその変化に気付いたが、それ以上は聞かなかった。


⸻


帰り道。


校門で輝夜が待っていた。


「あっ!」


「雪音さん!」


「お待たせしました。」


「全然!」


輝夜は笑う。


「せっかくだし、一緒に帰ろ!」


「はい。」


二人は並んで歩き出した。


「生徒会長に何頼まれてたの?」


「資料整理です。」


「それだけ?」


「はい。」


「雪音さんなら、あっという間だったでしょ?」


雪音は少しだけ微笑む。


「それほどでもありません。」


「またまた。」


輝夜は笑いながら歩く。


その何気ない会話が。


雪音には少しずつ心地よく感じられるようになっていた。


⸻


その夜。


女子寮。


部屋で本を読んでいた雪音のスマートフォンが震える。


画面には一件のメッセージ。


『無駄な学院生活を送るな。』


送り主は――父・雪影。


続けてもう一通。


『強くなれ。それだけがお前の価値だ。』


雪音は静かに画面を閉じる。


「……はい。」


誰に聞かせるでもなく、小さく呟いた。


窓の外では、雨上がりの月が静かに輝いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。