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第十一話 「雨の日」

火曜日。


朝から雨が降っていた。


窓を打つ雨音を聞きながら、雪音は制服を整える。


白い長髪をいつものようにポニーテールに結び、鏡の前で身だしなみを確認する。


「……よし。」


小さく呟き、部屋を出た。


廊下へ出ると、ちょうど輝夜も部屋から出てきた。


「おはよう、雪音さん!」


「おはようございます。」


「今日はすごい雨だね。」


「そうですね。」


二人は傘を差し、校舎へ向かった。


⸻


昼休み。


窓の外では、まだ雨が降り続いている。


「今日は外に行けないね。」


輝夜が少し残念そうに言う。


「教室で食べよう!」


「はい。」


雪音は頷き、弁当を机へ置いた。


その時だった。


「あの……。」


美羽が二人の席へやって来る。


「ご一緒してもいいですか?」


「もちろん!」


輝夜が笑顔で答える。


三人は机を寄せて昼食を始めた。


「そういえば。」


輝夜が雪音を見る。


「雪音さんって雨は好き?」


雪音は少し考える。


「嫌いではありません。」


「静かですから。」


「分かる!」


輝夜は嬉しそうに頷く。


「でも私は晴れの方が好きかな。」


「洗濯物も乾くし!」


その答えに、美羽が小さく笑った。


「輝夜先輩らしいです。」


⸻


放課後。


雨はさらに強くなっていた。


昇降口。


「うわぁ……。」


輝夜が外を見て肩を落とす。


「忘れちゃった……。」


「傘。」


雪音は自分の傘を見る。


少し考えた後、静かに口を開いた。


「西ノ宮さん。」


「もしよろしければ、一緒に帰りませんか。」


輝夜は目を丸くする。


「いいの?」


「はい。」


「ありがとうございます!」


二人は一本の傘に入り、寮への道を歩き始めた。


⸻


「ごめんね、少し狭いよね。」


「問題ありません。」


雨音だけが静かに響く。


「雪音さん。」


「はい。」


「学院には慣れた?」


雪音は少し空を見上げた。


「まだ分からないこともありますが。」


「皆さんが親切なので。」


「過ごしやすいです。」


その言葉に、輝夜は嬉しそうに笑った。


「そっか。」


「よかった。」


雪音はその笑顔を横目で見つめる。


なぜだろう。


その笑顔を見ると。


胸の奥が少しだけ温かくなる。


雨はまだ止まない。


しかし。


雪音にとって、その帰り道は少しだけ心地よい時間になっていた。

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