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問:兄が自害したので家督を引き継いだ瞬間に歴オタだった前世の記憶がよみがえり、詰んでる事を理解してしまった私、朝倉景恒の心境を答えよ  作者: 麺樽豆腐
第一部 歴史改変への道

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答05:無理なスカウトはしません。コイツ以外はね!

永禄年間に今立郡はまだ無い?そうでしたっけ、ウフフ

永禄7(1564)年9月下旬、越前国今立郡 南沖鍛冶工房


「失礼!篤定(あつさだ)親方はおられますか?」


「つ、敦賀様!?は、はいおります。ですが今来客中でして・・・」


 突然の訪問に職人達がざわめく中、構わずに中に乗り込んでいきます。


「その客にも用があるのです、入りますよ。無礼は許してもらいます」


 親方の性格と客の()からしてわざわざ客間を使ったりせず、鍛冶場におるでしょうし。


「おい、これもう筒直すの無理だぞ!もう諦めてバラさせろ!」


「いや、拙者はこの鉄砲を諦めるわけには・・・」


 鍛冶場の一角でボロボロの鉄砲を挟んで親方と客人が揉めて?います。

 親方は早く鉄砲のからくりを調べるためにバラしたいが、客人は仕官が叶うまでは鉄砲を喪うわけにはいかないってところでしょう。


・・・丁度いいところに立ち会えたものです。


「親方、明智殿。お邪魔しますよ」


 ()()()を携えて二人の間に割って入ります。


「鷹瑳じゃねぇか、なんのようでぃ。今取込中だぞ」


「今は還俗して朝倉彦四郎景恒と名乗っています。次からは彦四郎と呼んでください」


「敦賀郡司様!?」


 おっと、明智殿を驚かせてしまいましたか。朝倉景恒()如きがかの有名な明智十兵衛光秀殿を驚かせるとか早々あるものではありません。

・・・もっとやりましょうか。


「明智十兵衛殿とお見受けします。其方の鉄砲の腕、長良川での軍配、聞き及んでおりますよ」


「なんと・・・某如きをそこまで存じておられるとは、よく聞こえる耳をお持ちで」


「残念ながら私の耳はそれほど良くありません。其方の才が凄まじいが故にこの耳に届いたに過ぎないのです」


 某野望ゲーの能力値の差を考えると・・・哀しくなりますね、これ以上いけない。

さっそく本題に入るとしましょう。


 まずは手土産(親方用)である、ボロボロのブツと白い粉を手渡します。


「親方、愛発関の倉庫の奥に放り込まれていた、古の官給弩の残骸と鞠山(金ヶ崎の裏山)から採れた石灰です。好きに使ってください。足りないならまた持ってきます」


「おお、ありがてぇ!約束通りお前さんの突拍子もない与太話に付き合ってやらぁ」


与太話って・・・歯車巻き(クレインクイン)(クロスボウ)もローマンコンクリートも現時点(1564年)で実在しているのですが・・・西洋では、ですが。

 まぁどう思っていようと実験&改良を請け負ってくれる好奇心旺盛な工房などここぐらいです。仕事をこなしてくれるならそれでよしとしましょう。


 さて、次は明智殿です。


「明智殿、その使い込まれた雑賀筒ですが、良ければ親方に譲って頂けないですか?」


言いながら、明智殿の前に手土産(明智殿用)である、新品の鉄砲を置きます。


「代わりに、この鉄砲を進呈しましょう。国友筒故に若干使い勝手が変わるかもしれませんが」


 一瞬驚いた顔を見せた後、すぐに平静な顔に戻る明智殿。

 冷静に裏の意図を探りだしたんでしょうが・・・嵌めるつもりなどありませんから、遠慮せず受け取って頂きたいものです。


「なんでい、随分気前良いじゃねぇか。どういうつもりでぃ」


「親方、確かにただの手土産って訳じゃありません。しかし明智殿にとっても悪い話ではない・・・と思うんですが・・・」


 ちょっと自信持てないですねぇ。


 これからする提案はちょっと変わった仕官の誘いで、条件は悪くしないつもりです。

 しかし、私が第六天魔王(織田信長)より良い主君かといわれるとねぇ・・・


「敦賀様。御用向きをお伺いしても?」


 あ、明智殿がなんか覚悟決まった風情になってます。

 先の評定内容が耳に入っていれば、景鏡に鉄砲玉(893的意味で)を送ろうとしてると判断されてもおかしくないでしょうし、鉄砲に長けている明智殿は適任ですしね。


・・・違いますよ?そんな勿体ない使い方できる訳ないでしょう!


「あぁ失礼しました。率直に言うと仕官の誘いです。今貴殿の頭をよぎったような使い捨ての刺客を求めている訳ではありません」


「左様ですか。しかしながら躊躇うような御態度は一体・・・」


 やべ、魔王(信長)と自分の能力差にへこんでました。あっちに仕えたほうがいいのかもとか考えていましたなんていえるわけないですし。


 しかしこのまま座して幕府&織田家に取られるわけにも行かないのです。


「ちと条件が特殊なのです。明智党を召し抱えたい。()()()()()()()()()()でね」


 明智殿の顔色が驚愕に染まっています。桁一個間違ってるのでは?って顔に出てしまっていますねぇ。

 まぁ確かに守護不入地を除けば敦賀郡の石高は1万5千石強ほどなので、侍大将待遇になります。実際これ以上となると、半田の爺様(軍奉行・家老)位ですし。


「・・・お待ちを。俸禄、でございますか?」


「左様です。知行地は、ありません。切米か永楽銭による定期支給を行う予定です」


「・・・・・・」


 長考に入る明智殿。石高で見れば侍大将クラス、しかし知行地なしというのは善く見積もっても物頭まででしょう、常識的に考えて。


「某如きに務まるかは別として、敦賀様のご期待が本物であることは理解いたしました。仮に某以降に召し抱えるものがいたとして同じく俸給になると考えても?」


「っ!?・・・その通りです。このわずかな会話だけで善くそこまでたどり着けるものですねぇ・・・」


 知謀能力高い武将って凄まじいですねぇ。

 たったこれだけで武士と土地を切り離し、中央集権制に移行する目論見を見抜きましたか。


「明智城を出てより、様々な事を味わいましたからな。敦賀様の現状、聞き及ぶ先の評定の件も鑑みて、某に声をかける理由を考えての判断となりまする」


 美濃明智の地を喪って越前国まで流れてきてなお、鉄砲・志能便(忍者)・河原者など常識にとらわれない手管や汚れ仕事を用いて、かろうじて郎党衆を維持している明智殿だからこそ、土地と武士を切り離す発想が出来たのでしょうが・・・


「それでも、普通は土地に縛られた武士としての常識から逃れられるものではないと思うのですが・・・」


「そこは経験からですな。組織というものは頭と手足がしっかりしていれば案外胴体は細い方が機敏に動けるものです。」


そこから土地に縛られた(南条郡の)国人(代官)を切り捨てた私の意図を見抜いた、と・・・


「期待以上の慧眼ですね・・・して、回答は頂けますか?」


「お受けいたします、殿。これよりは光秀か十兵衛とお呼び下され」


よし明智光秀をゲットしました!!頑張って待遇上げた甲斐がありましたねぇ・・・


 おかげで現時点ではもう新たなスカウトをする余裕が無くなりましたが、歴史知識を用いた青田買いなど残り年数を考えれば意味をなさないし、現時点で優秀な人物を引き抜く力は私にはありません。

 だから元より有名武将に対して無理なスカウトをする気は無いのです。コイツ(明智光秀)以外はね!!


「真ですか、助かります十兵衛。仕事は軍役のみならず諜報総括、徴税、訴訟取次、普請などと多岐にわたります。

 人を集め適性に応じて割りあてるのが最初の仕事です。苦労は大きいが見あうだけの報酬は出します。足りぬようであれば遠慮無く言ってください」


「は・・・ははっ!微力を尽くしまする」


何だか引いた顔色をしていますが、十兵衛ならこの位難なくこなすでしょう。魔王(信長)の無茶振りはこんなもんじゃないはずですし。



南沖尋定:越前国の刀匠。生没年不詳。作刀期間1493〜1526年。

嘘偉人ですのでご注意願います。


南沖篤定:越前国の刀匠・発明家。尋定の孫で南沖鍛冶工房3代目工房主。

真柄一族の体格にあわせた大薙刀、大長巻などの外連味溢れる武器を作る一方、戦国弩や戦国錬石(※ローマンコンクリートに酷似)といった新しい発想を活かした作品を多く残す。

※嘘偉人からの嘘派生です。ご注意を



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読んでいただきありがとうございます。


よろしければブックマーク・★評価・感想等お願いいたします。


・・・メンタル作者名どおりなんでお手柔らかだと嬉しいです。


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