↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢ですが、侍女もたぶん転生者です。お互い、口が裂けても言いませんけど  作者: 夜凪 蒼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/32

第21話「近いから、言えないこともある」

破滅はほぼ回避できた。


ジルベールとミリアは、順調に距離を縮めている。セレスティアとは和解した。断罪フラグは二本とも折れた。


あとは卒業の舞踏会を波風なく終えるだけ。そうすれば、私は婚約者候補から外れ、晴れて自由の身になる。


——そして、静かにここから消える。


それが最初からの計画だった。


辺境の、小さな町。誰も私を知らない場所で、ぬるい紅茶を飲みながら、本を読んで暮らす。前世から願っていた、穏やかな余生。


その準備を、私はこっそり進めていた。


小さな家を借りる手配。当面の生活費。誰にも告げず、舞踏会の夜にふっと姿を消すための、段取り。


「お嬢様。なに見てるんです?」


ロロの声に、私は慌てて、書類を伏せた。


「な、なんでもない。ちょっとした書きもの」


「ふうん」


ロロが首をかしげる。その目が少しだけ、引っかかったように見えた。


胸がちくりとした。


ロロには言っていない。私がここから消えるつもりだということを。


最初は当たり前だと思っていた。誰にも告げず、ひとりで消える。それが悪役令嬢のいちばん綺麗な退場のしかた。


でも今は。


一緒に作戦を練って、一緒に笑ってきたこの子に「実は黙って消えます」なんて言えるだろうか。


——近いから、言えないこともある。


遠い相手になら、平気で言える。「お世話になりました」って。


でも近くなりすぎた相手には、別れの言葉ほど、口にするのが怖くなる。


私は伏せた書類を、そっと引き出しの奥にしまった。


次話:「踏み込めない一線がある」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。