表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/12

だからスランプから脱出できないのです☆

 いつもはカタカタと音をたてているパソコンは今日は起動すらしていません。


 それもそのはずで、オウマは漫画を読みふけっていました。


「とうとう愚民の本性をあらわしましたね☆ 毎日書かないと筆力が落ちますよー♪」

「いや、マジでスランプになった。助けてほしいくらい。前回のスランプってスランプじゃなかった。本気で危ない」


 よく見ると漫画のページが進んでいません。どうやら読むことすらもできずに無気力になっているようでした。


「あれ? 本気で萎えてますね。しかも、気力のエネルギー不足型のほうですね」

「なにそれ? いいや、やっぱり考えるのも面倒になってきたから何も言わないでくれ」

「仕方ないですねぇ。それなら、人間のエネルギー源の成り立ちや管理について説明しましょう☆」


 さすがまっちーです。今日もオウマのテンションに関係なく説明していきます。なにせ、まっちーの前ではすべてが霞んでしまうのですから当たり前ですね。


「ハツラツとするためのエネルギーの源は6つあります。金力、職力、家力、趣力、体力、己力の6つです」

「最初の金力って、なかなか凄いことを言ったな」

「お金という単語を使うとなんとなく汚く見えますが、これってけっこう大事な話ですよ。金力、これは気にせずに使えるお金の量なのです。これって例えば、すぐ近くのコンビニで文具を買う簡単に済ませられるけど高いから、安売りしている隣町の店に行くだとかいう葛藤のことですね。お金が不足していると労力が必要になります。それを省くためにあるのです」


 例えば、小金持ちなら勉強をするために気軽に喫茶店に行けたりだとかいう要素を得ることができます。選択肢があるというのは、意外と馬鹿にならないアドバンテージの源です。

 またアレが欲しいこれが欲しいなど、お金があれば冷静に考える余裕ができていらないと判断する場合がありますが、お金がないときはとにかく我慢の一択ですので体に悪いのです。また諦めるという流れを繰り返すことになりますので、気持ちも萎縮しやすくなってしまうでしょう。


「次は職力、職場の雰囲気やあなたへの評価です。だいたいいる場所なので影響を受けやすいです」


 例えば毎日テストをやる進学校なら毎日悪い点数を取ったら悲しみで気力に傷がつきます。またイジメとか受けていたなら日々の気力が削れていくので最悪でしょう。


「次に家力、家族の雰囲気やあなたへの評価を表します。気持ちを落ち着ける場所なのでここが不味いと大変なのです」


 家はリラックスする場所のため、ここが整っていなければ気力の回復が遅くなります。勉強するも執筆するも家でやることも多いため環境を整える必要があるでしょう。


「趣力、あなたがはまっているもの。趣味が充実していると気力回復の源になります」


 人間は生きることを楽しみたくて生きていると言っても過言ではないでしょう。ならばこの値は生きる気力に繋がるため、ここも気力回復には重要な位置付けなのです。


「体力、あなたのタフネスですね。疲れていると当たり前ですがやる気は起きないですからね。肩凝りとかはここに分類されます」


 また、肩凝りは気づいたら慢性的に体力が減っていることが多いです。ゲームで言う毒状態と似ていて、ダメージ自体は低いですがずっとダメージを受けているのは大変です。

 不規則な生活でのタフネス低下を阻止するには、運動習慣がタフネスの上限を上げることができるのでおすすめです。


「己力、これは自己肯定力ですね。どれだけ自分の力を信じられるかの値です」


 ここはとても重要です。この値が無ければ成功する自分を信じられなくて、努力する気持ちが萎えてしまうでしょう。

 自分の行った努力が実ると信じていなければ目の前にある困難に対して怯んでしまいます。芸能人などがやたらに前向きな人が多いイメージがあるのは、己力が高いと成功しやすいのかもしれません。


「自分を信じるのは当たり前だろ? ここにいる自分がすべてなんだから。ここが無い人なんているのか?」

「基本的に備わっているはずですが、育った環境によるものです。あとは人間不審とか鬱のレベルになるとものすごく下がってしまいます」

「あれはどうなんだろうな。心が軟弱なだけとか言う人もいるだろ?」

「個人的には人間に軟弱とかは無いと思いますよ。人間という同じ種族なんですから差分はあれどもほぼ同レベルかと思います。例えば、親の隠れた借金が発覚して名義がなぜか自分だったとか、資格試験と認知症の家族の介護が重なったとか、そこで介護疲れで陰鬱な顔だったからあなたは障気に満ちているとか言う宗教家に狙われて集団勧誘されまくったとか、断り続けたらこんなにあなたを想っているのにあなたはそれを無下にする酷い人間だから悪魔に違いないとか敵認定されてつきまといが攻撃的になったとかありますか?」

「そんなの変な不幸あるわけないよ」

「ある人にはあるんですよ」


 実感がこもっているような本気の声で断言しました。


「こういったものは、コイン投げで連続で裏が出るようなもので、確率として少ないだけで確かに存在するんですよ。攻撃的な意味で軟弱という言葉を使う人は、運が良く裏が出なかった人であって、偶然に裏が出てしまった人をいじめてるだけですよ。軟弱と叫ぶのは相手に感情移入できない空気を読めない系の人の自己紹介みたいなものです」

「なるほど。そんなものかもしれないな」

「ちなみに、好きなことを仕事にというのは、金力、職力、趣力が手にはいるので得に見えますが、逆に言えばつまずいたときは一気に3つとも落ちるので危ないかもしれません」

「じゃあ、いわゆる好きなことは仕事にしない方がいいって言う大人ぶった意見は実は正しいってやつか?」

「正しいかどうかではなくて、メリットとデメリットの話です。逆に言えば趣力が発揮できれば、職力がアップします。そこから反映されて金力もアップします。体裁がよくなりますので家族から評価されて家力にも余裕が出てきて、そうなればゆっくり休む環境が整いますから体力も整います。一個上がると連鎖反応するのですよ」 

「一点特化の型と、保険をかけたバランス型ってやつか」

「ちなみにそれぞれの相互作用を意識しないで過ごすと、たとえば職力が少なくなってきて、力が評価されなくなるなら気力が弱るので趣力に走るパターンがあります。いわゆる試験前に無性に漫画を読みたくなる流れのことです。これをやるともちろん職力は落ちますし、ならば家族からの信頼が失われるので家力が落ちたりだとか、家でゆっくりできないなら、趣力が発揮できなくなります。悪い連鎖反応が起こる可能性があるのです」

「全体的に何となくわかった。で、これから俺はどうすればいいの?」

「対策としては、まずは己力を基礎まであげましょう。次に、とにかく一点特化して力を付ける。そうすれば類似のステータスがあがるのでそれを鍛える。鍛えた類似のステータスが他に影響して。。。と繰り返していけば理屈上は全部が最強になります」

「己力って意外と上げるのは難しくないか?」

「己力はこのステータスの中で、ゆいいつ気持ち次第の値なのですよ。しかも、幸運なことに気持ちってけっこう変わるものなのですよ」

「具体的には何をすれば変われるんだ?」

「なんでもいいから開き直れってことです。鏡の前で「俺すげー!」と言い続けて自己暗示しても良いですし、小さな成功を重ねて「俺すげー!」の感覚を思い出していくとかでも良いでしょう。でも、気持ちにつながる部分ですので、一番大切なのは自分が納得するかなのです。だからこの部分って自分が思い付いた心の鍛練とかを思い付く限りやり続けて、自分が納得する意味でしっくりくるものを探すことがベストなのです」


 自分の心の問題のため自分に合ったものは自分で探すしかないとまっちーは断言しました。

 そのため、悩み続けても答えが出なく、自身の体感で納得するものなのだから、思い付いた己力の強化方法を片っ端から全て実行すべきだと言い放ちました。


「分からないでもないけど、かなりスパルタだなぁ。その続けていくっていうのが大変だと思うけど」

「続けられるなら気合いをいれずに漫然とでも良いですよ。例えば今はまっちーはおなかがすいていたとして、3時間後にご飯をもっていってあけたらどうですか? 実はさっきプリンを食べたあとだから、今はご飯はいらないんだよー!と言うかもしれません。数時間程度の日常ですらこんなものなんですから、人生っていうのはこの単位の連続ですのでもっと変わりやすいのかもしれませんね。だから、いま悲しくても、あとで笑顔になれるかもしれません。信じて続けることが大切なのですよ。それを掴むための己力の強化なのです☆」



◇◇◇



 『まっちーの助言12』

 とりあえず自信をつけよう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ