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さよならの夜 作者:中川あき
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……ドンッ

「ねぇ、この間、田野口先生が言っていたんだけど」
「国語の?」
勇哉はこくりとうなづく。
「なぜ、人は花火と桜を恋人と見にいくのかって話。聞いたことある?」

……ドンッ

「……ないよ」
「……それはね」

……ドンッ

「花火も、桜も、恋も、儚いものだからなんだって」
「……そっか……」

……ドンッ

「……そしてね、田野口先生は言っていなかったけど」
勇哉の口調が暗くなった。
「僕はね、思うんだ」

……ドンッ

振り返ってみると、勇哉は俯いている。
「……儚いものは、それだけじゃない」

……ドンッ

「……それはね」
「……人の命」
耐えきれなくなって、その言葉の続きを言ってしまった。

……ドンッ

「……その通りだよ」

……ドンッ

私は、あの事故でそのことを思い知らされたのだ。それを言おうとして、口を開く。
「だってあの事故は……」







「……友香の命を簡単に奪っていったから」







私の言葉を、勇哉が継いだ。
予想外の言葉で。
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